移動中-車と超能力者-
「ねえ、アオ。」
私の横でハンドルを左右に動かしながら、
アオはチラリとこっちを見る。
「何ですか?先輩。
車運転してる途中なんですけど?」
不機嫌そうに口を尖らせるアオなど関係なしに私は続ける。
「やばい。さっき食べたラーメン吐きそう…。」
一瞬の沈黙の後、アオはダラダラとあせをかきはじめた。
「ええええ!ちょっ!えええ!?
豚骨ラーメン10杯も食うからですよ!
ここでは吐かないで下さいよ!」
「ゴメン
ちょっとヤバい。
うっぷ。」
その直後、アオの「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」という叫び声が響いた。
「ごめん。」
気持ちを込めていない謝罪に対し、アオは
「本当にふざけんなです。」
と怒りをあらわにしながら蔑みの目を向けてくる。
その視線に耐えきれず、
「クリーニング代は払うからさ……。
ねぇ?」
と言うと、アオは本日3回目のため息をつき
「仕方ないですね…。」
と諦めを帯びた声を発した。
場を和ませたくて、
「安全運転よろしくなっ!」
と言ってみるが、
「先輩に言われたくないです。」
と、ビシッと言われてしまい更に気まずくなってしまう。
「……ごめんね?」
「何で疑問系なんですか………。」
「サーセン。」
「もう謝る気も無いですよね?」
「こんな先輩でも許してちょ。」
「仕方ないですねぇ。」
「ありがとう?」
「だからなんで疑問系なんですか!?」
なんてたわいもない会話をしていると、『もうすぐ着きますよ』と
カーナビの録音された音声が車内に流れる。
「やっと着くわねぇ。
あぁ、疲れた……。」
と言うと、アオに
「先輩は思いっきり豚骨ラーメン吐いただけじゃないですか。
他は何したんですか?」
と、小馬鹿にした表情でこちらを見てくる。
「う…
うるさい!
これからいっぱい超能力使うから良いの!
アオこそ運転で疲れたとか言ってサボんないでよ!」
と言ってやる。すると、アオはクスクスと笑い
「そんなことしませんよ。
先輩こそ。」
と言われ、少しだけ考え込んでしまう。
「いや、考えるところじゃないでしょう!?」
というツッコミに思わず笑ってしまう。
アオも気付いたのか、優しく笑う。
このあと本当にテロリストと戦うのかというほど、
ほんわかとしたふいんきになる。
「…はあ。このあと戦いたくないなぁ。」
と、心の底からの声を出すと、アオは柔らかな笑いのまま
「先輩は俺が守るんで…。」
と言うものだから、ビックリしてしまい
「ええ!?今なんて!?」
と聞き返すと、
「聞き間違いですよ。」
と言われてしまった。
「ラブコメも良いかもね。」
と言うと
「俺はそんなの嫌ですよ。」
と返されてしまった。




