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アイリ先生と謎の少女


「ねえ。あたし人を探してるんですけど。手伝ってもらうけどいいですよね」


「えっ、急に……」



⠀あまりにも急に言われた。

⠀家庭教師の日程以外は勉強だったり、冒険者の勘が衰えないように郊外で特訓だったり、変な子供に注意したり、村長に村長だと間違えられたりと長閑な生活を満喫していたアイリ。

⠀朝日を浴びながら今日も頑張るぞ!⠀と気合いを入れ直していたところに、見知らぬ少女にいきなり言われた。



「……人を探してるの?⠀ごめんね?⠀私はこの村に来たばかりであまり詳しくないんだ」



⠀無礼な物言いの少女だが、無視をするわけにもいかない。

⠀とはいえ、村での人探しは自分では力不足だと申し訳なさげに断る。



「あたしは構わないけど?」


「伝わらないなぁ……」



⠀まるで引く気のない少女に、やや困惑。

⠀身なりの整った少女は、アイリの冒険者時代より以前の、貴族の令嬢だった時代を呼び起こす。

⠀服装、立ち姿、髪肌のツヤなどの全体像。

⠀総じて彼女を、どこかの貴族の令嬢だろうと結論付けるアイリ。

⠀年齢は自分より少し下といったところか。

⠀元貴族でありSランク冒険者故の洞察力だ。



「立ち話しながらお願いするのも失礼よね。カフェに案内してちょうだい。お代は払うわ」


「うーん……あのね?⠀はっきり言うけど、私は貴女の人探しを手伝う事ができないの。先週この村に来たばかりで詳しくないし……あと貴女の言い方は他人にお願いする態度じゃないよ。そんな頼み方だと他の人にも断られちゃうよ?」



⠀はっきり断りつつ、お節介を挟むアイリ。

⠀余計なお世話かもと思いつつも言ってしまった。

⠀年下相手だとつい甘くなってしまうなと、反省するが後悔はない。

⠀広くもないこの村での人探しならそんなに苦労しないだろう。

⠀自分ではこの少女の力になれないが、他の村人にちゃんとお願いして無事に探し人を見つけられるのを祈ろう。




「余計なお世話よ。なんでおばさんってのは口うるさいんだか……」


「待って今キレた」



⠀アイリ。キレた。

⠀聞き捨てならない事が聞こえた。

⠀許せない。絶対に許さない。



「誰がおばさんだって?⠀私まだ15歳なんだけどなぁ……!⠀貴女とそんなに変わらないと思うけどなぁ!!」


「そうなの?⠀意外ね」


「意外じゃないでしょ!?⠀見た目通りのはずだよ!?⠀初めてだよそんな風に言われたの!!」



⠀びっくりするほど傷付いた……。

⠀15年の年月で、おばさんと呼ばれたのは生まれて初めてだった。



「ま、まあ……同年代の女の子に比べて、色々経験はしてるのかもしれないけど……そ、それで風格と貫禄が出た……とか……?」



⠀貴族に生まれて実家を追放、冒険者デビューしSランクパーティーの一員で名を馳せたがまた追放と、思えばかなり波乱万丈な人生だった。

⠀家庭教師も追放されかけた。

⠀きっとそれで『大人の女性』に見られたのだろう。

⠀きっとそうだ、間違いない。とアイリは心の整理をする。



「怒んないでよお姉さん。それよりカフェに案内してちょうだい。お詫びに奢ってあげるからいいでしょ。そこで話も聞かせてあげる」


「そうだよ。お姉さんだからね……まったく……」



⠀名も知らぬ少女に乗せられてるのは気付いたが、またあれこれ言われるのは悔しいのでカフェに案内する事にした。

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