表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/13

村長に会いに行こう


「私ったら大事な事を忘れてたわ。アイリ先生、マヨネーズ村の村長にはお会いした?」


「そうだ。村に来たら、いの一番に村長に会わなければならない。それがこの村のローカルルールというものだ」



⠀家庭教師初日を終え帰りの支度をするアイリに、今思い出したとばかりにオリビアとローガンが訊ねる。



「まだです。今日このお家に来る前に村長さんのお宅に行ったのですが……留守だったみたいで、ご挨拶できなかったんです」


「念の為詳しく聞いてもいいかしら?」


「えっ?⠀えっと……村長さんのお宅までは着いて、ドアの前にお爺さんがいました。それで……」



⠀やや言葉に引っかかったが、この夫婦の言う事なら珍しくもないと思い直し記憶を辿る──。



回想


「あのぉ……村長さんにご挨拶したいのですが……あなたが村長さんですか?」


「んぁ?⠀わっしゃあ村長なんてモンじゃないわい」


「しっ失礼しました!村長さんはいらっしゃいますか?」


「んが?⠀だれじゃそれっ!」


回想終



「って感じで……変わったお爺さんがいるだけでした」


「その人が村長よ」


「ええっ!?」



(ってこと改めて、村長さんにご挨拶に行くぞ!)


「ごめんねロックスくん。もうすぐ夜なのに道案内してもらっちゃって」


「謝ることないのだ!⠀夜道を女の子一人に出歩かせない。それが男のグローバルルールというものよってママが言ってたのだ!」


「そこはパパじゃないんだね」



⠀そういうのを教えるのは父親かと思ったが違ったらしい。

⠀言い回し的にもローガンかと思ったが、そうじゃなかったらしい。

⠀とはいえ、夜道を幼い子供一人に出歩かせない事こそ、年上のお姉さんのオフィシャルルール。

⠀村長への挨拶が終わったら、宿に戻る前にこの子を家に送り届けようと決めるアイリだった。



「着いたのだ!⠀村長の家なのだ」


「案内してくれてありがとうね。私一人じゃ道に迷ってたかもしれないよ」


「お安いごようなのだ!」



⠀Sランク冒険者だったアイリは、既にこの村の地図は頭に叩き込んでいる。

⠀この村に来るのは初めてだが、冒険者としての必須技能でそれくらいは容易い。

⠀故に予定時刻5分前にはロックスの家に着いたし、その前に村長の家にも足を運んだ。宿もマヨネーズ工場も協会も全て記憶している。

⠀それとは別に、道案内してくれた男の子の気位を立てる。

⠀これはただのアイリの人柄。



「村長がいるのだ!」


「さっきの人だ……本当に村長なんだ」



⠀数刻前にアイリが来た時と変わらず、大きな家のドアの前に立つ老人。



「なんで村長さんはずっとドアの前にいるの?」


「村長はご飯の時と寝る時以外はずっとあそこにいるのだ」


「どうして?」


「さあ?⠀こんにちは村長!⠀もうすぐこんばんは。両方言えるお得な時間なのだ」



⠀何にお得さを見出したのか、ロックスが村長に話しかける。



「んぁ……?⠀おーい村長!⠀呼ばれとるぞ」


「あなたが村長なのだ。スキル鑑定の日は泊めてくれてありがとうなのだ!⠀おかげで寝坊しなかったのだ!」


「そっかそっかあ。よかったな。んで誰じゃお前」


「僕はロックスなのだ」


「んがぁ?⠀しばらく見んうちに大きくなったのおマサヒコ」


「僕はロックスなのだ。今日は村長に挨拶に来た人がいるのだ。アイリ先生、挨拶お願いしますなのだ」


「あ、うん」



⠀何となく分かったと思えばいいのか、よくないのか。

⠀ともあれ目的通り、村長に挨拶をしなければならない。

⠀村長の目の前に立ち丁寧にお辞儀する。



「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。王都から来ましたアイリと申します。ロックスくんの家庭教師の為、暫しこの村でお世話になります。こちらつまらないものですがお召し上がりください」



⠀丁寧に挨拶し、村長に渡す為の菓子包みを渡す。



「んお、あんがとな村長」


「私は村長ではありません」


(何言ってんだろ、私……)


「思い出した思い出した……わっしゃあ村長じゃったわ。菓子ありがとなシャルロット」


「私はアイリですよ……?」


「ちょっと惜しいのだ」


「惜しくない惜しくない!⠀一文字も合ってなかったよロックスくん。ロックスくんはしっかりしてて?」


「悪いのお、村長。こいつは最近物忘れ激くてな……」


「私は村長ではありません(二回目)」


「僕は物忘れ激しくないのだ!」


「おおそうじゃ!⠀わっしゃあロックスなんじゃ」


「ロックスくんはこの子です!」


「惜しいのだ村長!」


「何が惜しいのロックスくん!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ