表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
重機王フェリドゥン ~ロボで戦う社畜、気付けばハーレムラブコメ展開になる~  作者: 沢クリム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

07.黒鉄・ニワ

 


「さて、我々、黒鉄重工が世界的企業になった背景。

 それは、いち早く他の企業が倫理観から躊躇った『コア』からもたらされた新機軸の技術の導入、それを貪欲に成し遂げたから、というのが一点。

 他にも、世界情勢の影響ががある。ガズくん、答えられるかな?」


「全世界の建設重機特需、ですか?」

 これは、先ほど聞いた話だった。


「その通り!巨大災害に対する各国の対応は様々でね。

 すぐに軍隊を派遣する国もあれば、事なかれ主義で24時間後の消滅を待つ国もあった。

 ちなみに、『ハザードマテリアル』の大気中の汚染度合いは、この時の対応で過激な対応を行った国ほど高い。

 皮肉な事に、軍事に強いの国ほど、初期対応で汚染は広がったのさ。


 いずれしてもスクラップの後にはビルドが来た!

 即ち、重機が求められる、建設重機特需だね。


 しかも、彼らは複数の重機で押さえ込む事が可能だった、というのも大きい。

 即ち、重機は人類既存の道具で唯一の対抗策にもなった!

 もちろん、火器、重火器を除く、ね。


 求める者も、企業も、国も増え、より高性能、より新機軸、それを実現したのが、我らさ!」


 スライドには、黒鉄重工の事業規模が表示されているが、年々右肩上がりだ。


「うん、この企業、黒幕の悪の組織っぽい!実は上層部が仕組んだ世界的テロでは!?

 …とは、思っても口にしてはいけないよ?SNSへの書き込みもね」


 しねぇよ。


「そして、我ら黒鉄重工の巨大災害解析班は、約20年前、出現パターンの解析に成功。

 アラートの開発に成功し、即、全世界へ技術公開をした。


 この発明により、事前避難と対策が可能となった。

 検知機とアラートシステムは、全世界に配備された。


 検知機設置箇所を対象とした現在の精度、的中確率は、

 1ヶ月前で20%、

 2週間前で40%、

 1週間前で80%、

 3日前で100%といった所かな?人的被害は劇的に減らせたのさ!


 ああ…ただもっと、早期に……いや、たらればは良くないな!

 その偉大な先輩の名は、社史にも刻まれているから読むといいよ!

 キミ達の学習の機会の為にも、ここでは触れないでおこう!」


 言葉の最後、ニワさんは明らかに取り繕っていた。

 俺は知っていた、その訳を。


 偉大な先輩の名は黒鉄・ミツキ。ニワさんの母親で、もう亡くなっている。

『ハザードマテリアル』に身体を汚染されながらも、研究を続けた偉大な発明家。

 アラートシステムの完成と配備を見て、旅立っていったそうだ。


 20年前に完成したとされているが、それは認可が下りた年だ。

 実物は22年前には、完成していたそうだ。丁度、俺が孤児になった年でもある。


 ニワさんの紺色縁の眼鏡の奥は笑顔だ。

 だが、そのもっと奥を、俺はこの話を聞いた時に見た。

 巨大災害への怒りと、後悔や罪悪感の混ざったような、複雑な色だった。


 俺には黒鉄重工に恩しかないと言うのに。



「おっと、スライドはここで最後か。

 『先端重機開発室の今後』という最後の項目は、場所を移して話すとしよう!


 そうそう、その前に最後の質問だね。

 工業専門学校卒業後、黒鉄重工整備部に就職、先端重機開発室設立当時から、とある重機の開発に従事してくれたレイくん!

 本日、最終点検を終え、現在格納庫で待機中の重機の名は?」


「はいっす!対巨大災害双腕重無限起動機!通称アジダハーカっす!」


「その通り!ワタシの我が子に等しいアジダハーカさ!

 さぁ、みんな!続きたまえ!この部屋には格納庫への直通道を作ってある!」


 意気揚々と全員を案内しようとするニワさん。

 だが、部屋の入り口へと向かわないニワさんへ、皆、どこか不審な目を向けている。


「ニワ姉様。今度こそ、普通の廊下ですよね?」

「…私以外にも被害者、居たのね…」

「…自分も昨日やられたっす」

「…実は、俺も今日……」


 このメンバーと仲良くなれる気がした。



 部屋の扉の一つを開けると何の飾り付けもない個室になっていて、そこに全員で入った。

 ニワさんが、なにやら操作パネルを弄ると、かすかな駆動音が聞こえたと思ったら、すぐに静かになった。


「ワタシは、司令部から格納庫に向かう移動装置が好きでね。

 故にこの横移動式エレベーターも作ったのだよ。初めての移動は、オペレーターの皆と一緒に、と決めて居たから、ワタシも乗るのは始めてさ!」


 移動中も音や、振動をあまり感じない。静音性、耐衝撃吸収性の応用、という技術がここでも使われているのだろうか?


「分かります!ニワ姉様!」

「……試運転はされましたよね?」

「遠隔では実施済みさ!」


 ティアさんは喜んでいたが、エルさんはまだ不安そうだった。


「そう言えばすけど、格納庫の隅で作業していたような気がするっす…。そんで、自分だけその周辺には立ち寄らないようにって、お達しが…」

「それもワタシだ。今日という記念すべき日には、色々な初めてを共有したいだろう?」


 その言い分は少し分からないが、随分張り切った準備だ。

 ケーキやチキン、シャンパンもあるのだろうか…。ないとは言い切れないな…。


 やがて、静かに扉が開いた。


 目に飛び込んで来た。

 巨躯で異形な、何度も見ているのに、初めて合う竜の頭を持った重機。

 それに向かって、一歩二歩、と無意識に足が進んだ。呟きも思わず漏れた。


「お前が、アジダハーカ…」


「その通りさ。現在ただ一人の正オペレーター、黒鉄・ガズくん」


 その言葉に高鳴った。仮想が、現実になってそこに居た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ