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重機王フェリドゥン ~ロボで戦う社畜、気付けばハーレムラブコメ展開になる~  作者: 沢クリム


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04.アスティリア・クロガネ



「やあ!ティア!愛おしき我が妹よ!お迎えに来てくれたのかい?」

「まぁ、ニワ姉様!まだ集合時間には早かったのですが、一足先に部屋で待機させてもらいました。すると、声が聞こえましたので…」

「ハッハハ、なんと健気!そして、ワタシはうっかり!そう言えば、今日のシミュレーションは速攻で終わったのだった!」


思考の迷路で迷子になっていると、芝居がかった仕草でニワさん室内に誘導された。

後ろでドアが閉まるのを感じる。どうやら、部屋間違い、という訳ではないようだ。

時間間違いではあるらしいのだが。


「しかし丁度良かった。ティアの特殊な事情を説明する時間を確保出来たと喜ぼう!ポジティブにね!」


もしかしたら、無限廊下含めて計算通り、なのかも知れない。


「では、話を戻して、ガズくんはなんと呼ばれたいのかな?」

「そうでした!私、日本で、お兄様か先輩に出会うのが夢だったんです!」


事情はこの後聞くにしても、お兄様は気恥ずかしさが勝ってしまうだろう。

だとしたら、先輩か?いや、高校は卒業させてもらった、こちらもないな。

というか、なんだその二択の夢は。


だが、キラキラした目を向けてくる推定外国人女子高生に、やめて、とも言い辛い。

絶対、創業一家の関係者だし。俺もある意味、それなのだが。


「お好きに呼んでください、ティアさん」


結局、相手に委ねるという逃げに走った。


「ありがとうございます!お兄様!」


大丈夫だよね。女子高生にお兄様って呼ばせてるって状況だけど、本人の希望だし、大丈夫だよね?


「やれやれ、堅いなぁ、ガズくん。今日のシミュレーションのような、流れるようなやりとりを出来るまで時間が掛かりそうだね」

「上司であるニワ姉様の前だからでしょう。いつものような調子を出さず、上司を立てる。実に立派な武士道精神です!お兄様」


ん?いつものような調子を出さず?なんの話だ。


「おや、そろそろ疑問で頭が一杯だね。ティア、私から事情を説明しても?」

「では、お願いします。ニワ姉様」


にっこり笑ったティアの隣に立ったニワさんは、こほんと咳払いを一つ。


「彼女はアスティリア・クロガネ!我が父、現黒鉄重工代表取締役、黒鉄・ガイの二番目の妻の子、つまりワタシとは異母姉妹にして、アメリカ育ちのハーフ!すでに高校課程は飛び級済みの16歳!その後、来日!

 大学の入学資格はあるが、我が先端重機開発室に是非とも欲しい人材だったので、18歳まで限定雇用させて貰ったのだよ。本人も希望もあったがね」


「だって、お姉様の元でロボの開発をしていると聞いたら、行くしかないじゃないですか!」

「つまり、黒鉄家のご多分に漏れず、ロボットマニアさ!」

「日本語はアニメで覚えました!初めて覚えてた日本語は合体です」


黒鉄の血が強い…!ロボットが遺伝子に刻まれたとでもいうのか。

……遺伝子の螺旋構造がドリルと言い出すんじゃないだろうな?


「現在は、私の補助業務兼、本人も言った通りサブオペレーター候補生。まぁ、候補生といっても、シミュレーション歴は一番長いよ?なんせ、キミの初めての相手でもあるからね!」


「ということは…」

「先ほどと同じ台詞、つまりテンドンだね!分かるとも!

 そう!彼女こそ、中の人なのだよ。今日も一戦共にした、ね?」

「今日はお疲れ様でした。オペレーター、いえ、お兄様!」


いや、テンションが違う!……俺もだったわ。なんも言えなくなるなこれ。

ん?…いや、まだ疑問は残ってるぞ。


「ともあれ、先端重機開発室の黒鉄家集合というわけだ。めでたいね」

「そうですね。ニワ姉様」


ティアを改めて見る。紺のスカート、赤いリボンのセーラー服。


「あの、一ついいですか?ティアさん」

「ええ、何なりとお聞きください。初めて見た作品でしょうか、それとも一押し作品?もしくは機体ですか?」


ロボットから離れてほしい。


「いや、その服……」

「私の年齢での自然な礼服、という建前ですが、やはり一番は日本に来たら着てみたかったからですね!どうでしょう、おかしいところはありませんか?」

「……よく、似合ってますよ」

「まぁ!ありがとうございます!お兄様」

「ハハハ、仲良きことは美しきかな!」


まさかのコスプレーヤー外国人。おかしいのは常識だ。と言えれば楽なのだが、トラブルを避けるべきと日本人感覚がそう囁いている。

なんだかドッと、疲れていると扉の開閉音が鳴った。衝立で誰が来たか見えないが、声は聞こえた。



「……あら、あなたもここに呼び出されて?」

「そうっすよ?なーんか、途中からずっと一緒だなー、とは思ってたっすけど」

「じゃあ、入りましょうか。…失礼します」

「失礼しまーっす」


衝立越しに、二つの影が見えた。




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