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【第一章完】重機王フェリドゥン ~ロボで戦う社畜、気付けばハーレムラブコメ展開になる~  作者: 沢クリム
第二章

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17.報告書作成。意見集約。



朝礼の後、皆を見送り、エルさんとの二人きりの作業になった。


開発室での報告書の作成は、事前に用意されたテンプレートを埋めていく作業だった。

データ元から、コピーアンドペースト、貼り付けるところは楽だったのだが、やはり文面は苦労した。


大学でレポートは何度か書いていたが、報告書では客観性がより重視される。

ただ、主観的意見を記入するところもあり、入社半年過ぎたが、未だに慣れない。


それでも、過去の報告書を参考にしながら、昼前には仕上げることが出来た。

一度印刷して、自分で読み返していた。


すると、エルさんが文面の確認を申し出てくれたので、有難くお願いした。

俺はその間、朝礼でも言ったダブルチェックを行っていた。


「エルさん、チェック終わりました」

「お疲れ様、ガズくん。こちらも報告書の文面確認、終わったわ。少し振り返りがてら、休憩にしましょうか」

「ありがとうございます。お茶入れてきますね。エルさんもお茶で良かったですか?」

「ええ、ありがとう」


エルさんはコーヒーが苦手らしい。

俺もブラックはちょっと苦手だ。砂糖かミルク、どちらかあれば平気だ。

黒鉄姉妹、ティアさんとニワさんはコーヒー好き。

レイさんは現場では、麦茶一択、と言っていた。だが、休憩時間は甘いジュースを飲んでいる。


お茶とお礼を交換して、対面に座った。


「…さて、ガズくんの報告書だけど、内容に問題はなし。でも、アドバイスが一つ。聞いてみる?」

「お願いします」


より良くなるというのなら、知りたい。俺の返答に、エルさんは微笑んだ。

そして、報告書のシミュレーション時との相違点、という項目を指した。


「この『まず、次に、最後に』という書き方、日本語としては問題ないわ。

 でも、報告書としては、箇条書きにした方が見やすい。

 報告書は文章としては正しさよりも、分かりやすさ重視でね?」


「はい。今からでも、変えていいですか?」

「もう少し、休憩してからにすれば?ずっと画面を見てて疲れたでしょ。デスクワークでも、知らず知らず疲れが溜まるものよ?」

「…そうですね」


もしかしたら、俺の様子を見て、休憩を提案してくれたのだろうか?

少し肩を回すと、なんとも言えない音が鳴った。首をあげて、天井を見れば、首の後ろの筋肉が解れるようで心地よい。


「……んーっ…!」


視線をエルさんに移すと、エルさんも伸びをしていた。

年上の女性にこんなことを思うのも失礼だが、体躯の小ささもあって可愛らしい。



「それにしても、シミュレーター後でも報告書は書いていたの?」

「はい。今回の報告書ほど詳細じゃありませんでしたけど…」

「そう。半年もしないうちに、ちゃんと客観的な事実と主観的な意見を分けられるように書けるようになったのね。ちゃんと結論から入ってるのも分かりやすいし、伝わりやすいわ」

「…ありがとうございます」


褒められると少し照れる。

実は持ち帰りで作業出来なかった分、報告書の書き方などを調べたりしていたのだ。

だから、シミュレーター室通いの頃は、もう少しわかりにくい文章だったと思う。

特に注意はされなかったが、今後は改善していこう。



「ねぇ、意見書を読んで、ガズくんはどう思った?」

「……なんとかして、安価で量産出来ないか、でしょうか?」

「まとめるとそうなるわね。言い方も様々、立場も異なるけど概ね、ね」


公開された情報には、生産する場合にかかるコスト等の資料もあった。

性能もコスト面も、過去類を見ないフェリドゥン。量産も厳しいらしい。

そして、その原因とも言えるパーツは、操縦席周りだ。

何重もの安全対策に、寄せられた意見の中には批判的なものもあった。


「サイコー、スバラシー、すぐに全国配備しちゃえ!…みたいな意見もあるわよ?」

「そうでしたか?…全部チェックしたと思ったのに…」


「ああ、ごめんなさい。意見書の中じゃないの。

 三連休最終日、フェリドゥンの情報が一般公開されたのよ。SNSでトレンドに入ってたわよ?」

「そうだったんですか。あまり、チェックしないもので…」


SNSは情報が多くてあまり得意では無い。

学生時代に浮世離れしていると指摘されたことがあるが、これが原因だった。


それにしても、肯定的な意見もあるのか…。


「なるほど。じゃあ、オペレーターくんのモチベーションを保つためにも、肯定的意見を集めるのも、サブオペレーターの役割かしら?」

「いや、そんなことは……」

「でも、種類をチェックしてる時に深まってた眉間のしわが、すっかり解けてるわよ?」


眉間を指刺しながら、エルさんは笑う。どうやら、分かりやすい反応をしていたようだ。


「さて、私達のフェリドゥンに会いに行く前に、もう少し机仕事を頑張りましょう?」

「ああ。…じゃなくて、はい、そうですね」


俺の休憩の最後は、少し気まずそうに軽く眉間を解して終わった。



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