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8 〜征司 ver 2 〜
「それじゃあ、先輩、いってきますね。」
「もう、そんな時間?」
ダイニングで、のんびりしていると、わざわざ、声をかけに来てくれたらしい。
「いろいろと準備が必要なので、時間がかかるんです。」
「…準備?」
そういうと苦笑いする彼女。
「人前に出れるように、メイクや服装を用意してくれるんです。 私が、ゴネたら、用意してくれるようになって……」
「そうなんだ。」
「はぁ〜、嫌だけど、そこまでされたら、断れなくて。 アッ、担当さん、来たみたいなんで、行きますね。」
手にしていたスマホを見ると、俺にあいさつし、ダイニングを出る彼女についていく、俺。
靴を履いて、俺を見る彼女。
「別に玄関まで、来なくても…」
「いや、俺もついていこ『こなくていいです!』…」
俺の言葉を遮られる。
冗談だけど…、ちょっと、本気だったかな?
ため息をつく彼女を見ながら、笑う。
「見送りたいなって、思ってね。 なんだろ、不思議だね…」
「そうですか…」
「うん。」
「私も…、ちょっと不思議です。」
「?」
「見送られる事、ないですからね。 じゃあ、いきます。」
そう言うと、彼女は、ドアを開けて、出かけた。




