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チビと私の平々凡々【本編完結/番外編続編スタート】  作者: 愛賀綴
番外編(続編)

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09.一度落ちた信用度はなかなか回復しない

 ルシア先輩のレポートが無事に仕上がり、カーラさんの心も落ち着いたので、ニット先輩との住まいの交換も終わりとなった。

 カーラさんは頭では()()()()()と理解していても、とことん頑張ってしまう性格なんだと思う。今回のように、自分で一旦落ち着こうと自覚してリフレッシュしたいと言ってくれただけいい。カーラさんが一人鬱々となってしまったら、母親の不安を感じてエバンスくんも不安定になってしまいかねない。

 スライムが棲み着く以前は山小屋の二階にある一室を妖獣世話班メンバーの宿泊部屋として使っていた。スライム騒動で妖獣世話班メンバーが泊まることはなくなっているけれど、いつでも使えるようにしている。ニット先輩とカーラさんにそう言ったら、たまに泊まらせてくれと言ってくれた。ちょっと嬉しかった。


 山小屋に戻ったのでスライムに苔部屋の前に佇む理由を聞き出そうとしたのに、私がトイレに行っている間に姿を消してしまい、その後数日間見かけない。ただ、気がつくとリビングの床にネダヤラリが並んでいる。私が質問責めすると察して逃げているのだろうか?

 ……そうかもしれない。

 そう思うと申し訳ない気持ちになるけれど、スライムが苔部屋前に佇んで何を伝えようとしてくれていたのかわからず、もやもやが解消できなくて落ち着かなかった。


 シャーヤランの春の長雨にはまだ早いのに日中に小雨がぱらつくため、ヴィスランティ家でのチビのミニコンサートの日程が定まらない。多少の小雨ならへっちゃらなシャーヤランの住民だけど、王子殿下と王子妃殿下に子どもたちが雨に濡れながら踊るのを見ていただくのもどうなのか。空の機嫌を伺う毎日だ。


「で? その目の下の隈はなんだ?」

「えっと」

「その顔をアイツらに見せたら心配される。何よりばあさんの説教が長くなるぞ」

「……」


 髪を整え、髭のないかっこいいトウマに説教されている。

 対する私は、肌はなんとかネダヤラリから抽出したローションとトウマが買い増してくれたベリア大先輩謹製のクリームなどのお陰で保っているけれど、産毛処理もせず、髪に艶があると言えない状態。さらに今は、妖獣への朝の餌やりを終えてシャワーを浴びて、汗臭くなくて血臭がなければいいやと、髪を風任せで乾かしながら山小屋に戻ってきたのでボサボサだ。

 朝の妖獣たちへの餌やりを終えて山小屋に戻ったらトウマが来ていた。来るなら事前に連絡をしてよとボソッと言ったら、オニキスが抜き打ちで私のところに行って少し叱れとトウマに告げ口したのだと言う。オニキスーッ!


 私もチビの相棒として、そして子どもダンサーズの見守り役としてミニコンサートに赴くため、「疲れた顔で行くな」と、妖獣世話班のメンバーみんなが気遣って身だしなみを整えるようと言われているのだが、ジトーッと見てくるトウマから目を逸らす私は確実に寝不足顔。

 オニキスは私のことをトウマの(つがい)と認めて、あれこれと小言をくれるようになった。以前トウマが言っていた「口うるさい保護者が増えた」の意味が物凄くよくわかった。

 とくに身だしなみ。

 気づくと野人化するトウマに口酸っぱく身だしなみの大切さを説くオニキスが、気づくと目の下に隈を住まわせて寝不足顔となる私にも懇々(こんこん)と説教するようになった。

 聞き流していたわけではないが、ベッドに潜っても気になって仕方なく、起き出して調べてしまう。

 少し前のルシア先輩に似た状態だと自覚はあって、寝なきゃだめだと薬草茶を飲んで寝る努力はした。

 けれど、結果はこの有り様。

 彼氏に酷い格好を見られて、ため息混じりで怒られている。


 トウマのいうアイツらは王子殿下ご夫妻で、ばあさんとは侯爵夫人。アイツらなんて言い方はだめだと咎めたいけど、今は言い返せる雰囲気じゃない。

 侯爵夫人は私の多忙を理由にマナー研修という名の女主人教育をしばらく休みとしてくださっているけれど、今の私を見たら頭痛を引き起こしそう。

 トウマに淡々と詰められて言い返せない。


 こういうときにチビがいたら執り成してくれ……ないな。美容に関しては私をまったく信用していないので、ペニンダさんやアビーさんに言いつけていないだけまだいい。

 チビは討伐班からの至急依頼で森の奥に討伐した魔獣の引き取りに飛んで行ってしまって、帰ってくるのは夕方。

 ジトッと見てくるトウマ。

 助けはない。


「寝る時間を確保できないくらいどうにもならない勤務じゃない限り、寝る時間は確保するようにしろ。研究職員だからとかなんとかいう言い訳は聞かないぞ。オンオフしっかりしている職員の方が多いだろう」


 耳に痛い。

 私が仲よくしている研究職員さんが睡眠不足になりがちなだけで、大半の職員は寝食削ってまで研究に没頭しない。

 妖獣世話班メンバーは研究と妖獣の世話の兼務で時間がタイトだが、サリー先輩とシード先輩、ニット先輩はたまにうっかりがあっても時間管理ができているほうで、リーダーとルシア先輩、私が研究に没頭して睡眠不足に陥りがちだ。


「外見を整えるのは面倒かもしれんが、アイツらが気に病まない程度の外見にしておかないと、あとあとリリカは絶対落ち込むぞ? そうだろう?」

「……うん」


 トウマに言われて自分を想像する。

 王子妃殿下に体調や日々の生活について心配されるような声がけをされたら、どうして心配されるような姿でお目文字してしまったんだと私は落ち込む。

 人は外見ではないと言うけれど、そう言っても外見を整えることはやはり大事だと頭ではわかっている。

 今の私は、よくない。


「ベリアばあさんかアビーあたりに遭遇していたらどうにかなっていたかもしれんが、会わないときは会わないからなあ」


 そうなのだ。会わないときはぜんぜん会わない。

 突撃で山小屋に来てくれたトウマによる説教は少々長くなったけれど、「リリカがリリカなら俺はどんな格好でもいいが、俺もその時々で整えることに努力している。同じように頑張ってくれ」と、頭をわしわしと撫でられた。

 こんなボロボロの姿なのに、嫌われるどころか認めてくれるトウマにキュンとしてしまう。

 なんでこんな素敵な人が私のことを好きなのかが不思議だ。

 ひとしきり怒られ、髪を梳くときに艶出しを使う約束をし、早速その場で髪を梳いた。


「よし、昼にすっか」


 トウマのいいところはこうして雰囲気を気持ちをスパッと切り替えてくれるところ。

 午後の妖獣たちの担当まで時間はまだある。昼にするには少し早い時間だったけれど、トウマが持ってきてくれた惣菜弁当を一緒に食べることにした。


 トウマは王子殿下ご夫妻の滞在もあるが、毒苔の発覚をきっかけにジュニオル様とともにヴィスランティ家でうっかりの不備が他にないか念入りに確認するため管理所を休んでいる。

 またお互いに連絡を取り合わない二人になっていたけれど、トウマはほぼ毎日オニキスから私のことを聞いていたという。

 だから私の身だしなみがよくないことが伝わってしまったのだが、「リリカは他の人が寝不足でおかしくなると心配するのに、自分のことはだめなんだよな。同じように周りは心配するんだぞ?」と言われて猛省しかない。


「管理所にどこまで情報がきてるかわかんねぇが、妃殿下は思ったよりは元気だ。ただ日によって起き上がれないことがあるから、ミニコンサートは天気もあるが妃殿下の体調もだな」

「下の街でもお元気そうって噂が回っているって、売店で聞いた」

「たまに前庭のほうに散歩に出て屋敷の麓のやつらにお姿を見せているからな」

「そうなんだ」


 トウマが食べている弁当箱にひょいとチーズ入りのリオナソーセージを移したら、代わりに玉子焼きをくれた。どうにもチーズの入ったソーセージはあまり好きじゃない。チーズとソーセージが別々なら問題ないけど、一緒にされると手が伸びないのだ。おかず交換を自然と受け入れてくれるトウマ。ありがとう。


「そういやクララさんのあの強烈なソーセージは結局どうなったんだ?」

「不採用だって。ソーセージなのにチーズの味しかしなさすぎって」

「ま、だよな」


 トウマが私からもらってくれたリオナソーセージを食べながら、クララさん試作のリオナソーセージを思い出して聞いてきた。

 緑色の激辛ソーセージは面白枠で商品化されたけれど、チーズ入りのものは他の人の試食評価もよくなくて商品化されなかった。あれはどこまでもチーズだった。でも見た目は詰め込んでいる肉の色。非常に不思議でならない代物だった。


 トウマはヴィスランティ家でのことをどこまで言っていいのか、管理所にはどこまで伝わっているのか測りかねている様子だと思い、違う話に切り替える。

 私が睡眠不足となった理由の発光苔のことだ。

 スライムは私に何かを伝えようとしたところまでは推測したけれど、現在どこかに姿をくらましてしまっている。


「苔部屋の前なぁ。前に水槽を溶かされたのは怒らせたからだろう? 佇むなんてぬるい脅しはしない気がするし、何かを伝えようとしているみたいなのはあいつの揺れでそう思ったってところか」

「うん。佇んでいたっていうのもカーラさんからで、私はその姿を見てないんだ」

「で、質問責めしてなにか引き出そうとしたかったが、なぜか姿を見せなくなって、悶々と調べていたと」

「ねっ、寝なかったのは反省した! 今夜からちゃんと寝る!」

「ああ、ちゃんと寝ろ。睡眠不足は自分の不調に跳ね返ってくるだけだからな」


 しまった。説教に戻りそうになった。

 けれど、ここで再び説教モードにならないのがトウマ。

 弁当の容器を軽く洗ってリサイクル回収用のゴミ箱に入れようとしたら、トウマが帰るときに職員寮にある回収ボックスに入れてやると言って数個あった他の容器も一緒にまとめてくれた。


「苔の成長を覗き見……るなら勝手に侵入しているだろうしな。師匠の教授には相談してないのか?」

「どう相談するか悩んじゃって連絡できてないの」

「あー、制約」

「うん。居住者守秘義務制約にスライムのことは混ぜられているって聞いた。ゴードンたちも外でスライムのこと言わないんじゃなくて言えないって、前にマドリーナに教えてもらった」

「そっか」

「スライム抜きで教授に相談するにしても、私、うまく言える自信がなくて。『何がきっかけでそう考えたんだ?』って聞かれるだろうし、そうなると制約でスライムのことは言えなくなってつっかえちゃって気まずいことになるし、私自身がもう少し情報整理しないと相談できないんだ」

「誤魔化すのが下手なのは、嘘がつけないというリリカのいい面でもあるが」


 トウマにサラリと褒められて照れる。


「まあ、リリカの研究のことだし、気になってしょうがないのはわかった。でも、寝ろ。薬を飲んででも寝ろ」

「うう、努力する」

「努力することでもないと思うんだが」

「努力する」

「……」


 しばらく黙って私のことをジトーッ睨んでいたトウマが、オニキスに見張らせるかとなかなか怖いことを言った。

 寝ます。

 絶対、寝ます。

 優しいのか、過保護なのか。何にしても私には出来過ぎの彼氏だよ。

 私の説教と昼食を終えたらトウマは帰り支度。


「こう言ったらあれだけど、本当に私を叱りに来ただけなんだね」

「おうよ。オニキスが打ちひしがれてリリカのことを言ってきたからな」


 相棒はすぐに野人化し、その相棒の(つがい)も身だしなみに無頓着。

 オニキスの苦労に報えるようになろう。


「なにも念入りに頑張れなんて言わねぇから、まず寝る。一ヶ月に一度くらい産毛は剃る。眉を整える。髪はここぞというときはちゃんと櫛使え。野人と言われるときの俺だって、わざとああなるように時間かけて整えてんだぞ? オニキスは一向にわかってくれないが」

「……」


 トウマから視線を外して体を縮こめるしかなかった。

 今夜はお風呂に入る前に産毛は剃ろう。髪の艶出しもあるからちゃんと使おう。

 トウマはゴミ回収ボックスに持っていってくれるゴミの袋をバイクの荷台に乗せ、次に私と会うのはミニコンサートのときだろうなと浮遊バイクに跨った。


「屋敷に親父か俺がいないとウゼェ輩の対応ができないことがあってな。ヨーダとジルミル、ジャパスでだいたい撃退してくれるんだが、親父もあっちこっちの商会や組合に顔出さなきゃなんねぇし、今日はジジイとばあさんが来てくれたから、今の時間だけ抜けてきたんだ」

「それは……、なんて言っていいか……」


 管理所の職員内連絡網で回ってきたけれど、王子妃殿下を見舞いたいとアポなしでヴィスランティ家に突撃訪問というトンデモナイ人たちがいて、警備の方々も一苦労している内容だった。屋敷周辺の住民たちにも同じ内容の通告が出ていて、変な人を見かけたら警備隊に連絡するようにと呼びかけている。


 通常の王族との面会の正規のルートは国として窓口があり、王族がいらっしゃる滞在先に直接申請ではない。そして王族との面会許可が下りた場合に日程調整が行われる。

 正規のルートをぶっ飛ばして王族のいる場所に押しかけるのは、一般常識的にだめな人たち。

 とくに警備で困っているのは、『王子妃殿下の快復を祈る会』と称する、斜め上の行動をしでかす王族ファンの方々で、不法侵入を当たり前にやらかす。

 ヴィスランティ家の敷地周囲にモジャが張りめぐらしている障壁にぶつかって警備隊に捕まっているけれど、留置所の収容人数にも限界がある。いったい何人逮捕者が出ているのかと連絡網を読んだとき遠い目になった。

 私も王都の学校に通っていた一時期、劇団にハマって何回か通っていた際、関わり合いたくないイッちゃってるファンがいた。そうした人たちの迷惑な言動で、同じファンと一括りにされて嫌な思いをしたこともある。

 モウリディア王国では王族人気が高いけれど、誰も彼もがトンデモナイ人と同じだと思われたくはない。


「敷地の直ぐ近くでテント生活しようとするアホもいてだな」

「迷惑……」

「ついでとばかりに親父と俺に媚売りに来る女たち! ウゼーッ!」


 トウマ、大絶叫!

 ジュニオル様かトウマに会うのを目的にして、あわよくば王子殿下か王子妃殿下にお目文字を、なんてことを考えるトンデモナイ人もいるのはメイリンさんからも聞いている。

 侯爵位を賜っているのはヴィスファスト家だが、世の中の目は分家のヴィスランティ家とヴィスナムナ家も含めて侯爵家と見る。

 ジュニオル様とトウマは分家のヴィスランティ家の家名を継ぐ立場でシャーヤランの商売の要。下衆な話だがお金目当てだったり、本家ヴィスファスト家への繋がりを持ちたい人はかなりいて、なおかつトウマは王子殿下と仲がいい。

 どうやら近々ではヴィスランティ家の資産目当てを隠しきれない()()()()()()()()()()が突撃訪問してきたらしく、ジュニオル様もトウマも鬱憤が溜まって疲れたそうだ。


「あー、そうだ。親父が暴走して買っちまった苔な。奥の奥に仮設で苔小屋を作ってるから、ミニコンサートのときに時間が取れたら見てくれ。こっちに持ってきてもいいんだが置く場所ないだろう?」

「うん。こっちに置き場があれば引き取りたいけど、発光苔優先で水槽置く場所確保したくて。今はごめん」

「親父の暴走だから気にすんな。じゃ、またな」


 浮遊バイクに跨っていたトウマの横に立っていたけど、スッと伸びてきたトウマの手が後頭部に添えられ、トウマの顔の近くに引き寄せられて軽いキス。

 驚いている間に浮遊バイクが発進してしまい、あっという間にトウマは山道を下りていった。


「ちゃんと寝るんだぞー!」


 なんだよー! もー! なんだよー! もー!

 キスしたあとにしっかり説教の言い逃げだなんて、守るよおー!


「世話係、真っ赤っ赤」

「中等学生の青春」

「初等学科だろ」

「一応世話係はオトナだぞ?」

「あれでか」

「あれでだ」


 山小屋の周辺の草木の影からガサゴソと妖獣たちが出てきて、みんなニヤニヤしている。

 山小屋近くでのんびりしている妖獣たちに見聞きされていたことを失念していた。


「さささささっ、さっきはトウマが叫んでうるさくしてごめんね!」

「そこまで照れなくてもー? 唇と唇が触れ合うなんざ単に皮膚の触れ合いだって。ニヒヒ!」

「指先と指先の触れ合いと変わらんっ変わらんっ」

「照れ照れ、ニヤニヤ。真っ赤っ赤!」

 

 見られていたことに慌てて、トウマの雄叫びを思い出して謝ったら、ニヤニヤと誂われた。

 言われた内容に頭の隅でそれもそうだなと思うが、トウマとキスしたのはまだ片手で数えられる回数しかなく、妖獣たちに見られたことが恥ずかしいけれど、思い出してニヤニヤしてしまう。


「いいじゃないの!」

「こりゃぁ午後の世話係はぽやぽやモードだな」

「たまにはいいんじゃねーの? わいたちはゆっくりすっから」

「夕方のおやつよろしくー」

「おっと、チビから念伝言。『アビーに会ったから、産毛剃りって何日起きにやるもの? って聞いたんだけど答えてくれなくて山小屋に行くって言ってた』だとさ」


 は? チビ、何をアビーさんに聞いてるの?

 どうしてその質問しちゃったの?

 今日の今日まで告げ口しなかったのに、なんでなんでなんで?

 アビーさんがいい笑顔だったって?

 ねえ、妖獣たち、それをなんでもっと早く教えてくれないの?

 チビと異能で会話していたのに、今の今までわざと言わなかったね?

 と言うことは、この車輪の音は……


 その後、妖獣たちに囲まれながら、アビーさんによる生活指導だった。

 同乗してきた医務職員さんにも健康面の指導を受け、途中からキィちゃんまで参加してきて、その場で産毛剃りと髪の艶出しをさせられた。


「リリカの情報端末の通信利用状況と山小屋の動力使用状況を逐次確認しないとだめかしらね?」


 夜遅くまで起きていないか確認するぞと脅された。

 職員寮では夜中に明かりが消えない部屋の職員は、何かあったのかと確認されたり、それが不摂生だと生活指導になる。

 ちなみにルシア先輩がそこそこの常習犯。

 私は職員寮ではないので真夜中にも明かりがついたままか目視確認できないけれど、情報端末と動力源の使用量で監視できると言われ、それを実行できるアビーさん。

 シャーヤラン管理所職員としてスカウトされて所長やアビーさんに初めて会ったとき、私は痩せ気味どころか痩せすぎで顔色も悪かった。巨大竜チビの出現で私のプライベートが赤裸々に流出して心が壊れそうになっていたこともあり、アビーさんは衰弱していた私の印象が根強い。所長や医務職員さんもそう。こうして寝不足を叱られるのも親身になって心配してくれるからだ。


「寝るのよ?」

「はい」

「本当に寝るのよ!」

「はい」

「……泊まろうかしら」


 私の信用度はゼロだった。


評価や感想などを頂戴できましたら、執筆の励みになります。

引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

たまに活動報告も記しております。お時間があればご確認をお願い申し上げます。

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