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悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


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Scene 8 突然の方針転換

### Scene 8 突然の方針転換


黒薔薇館の地下。


レティシアは魔獣を見ていた。


魔獣もまた、レティシアを見ている。


「…………」


「…………」


しばらくの間、誰も何も言わなかった。


やがて。


レティシアが小さく息を吐いた。


「……仕方ないわね」


「?」


ニーナが首を傾げる。


レティシアは腕を組み、魔獣を見ながら言った。


「ペットにしましょう」


「…………」


ニーナが固まった。


「……なぜそうなるんですか?」


「追い出すんじゃなかったんですか?」


「ええ」


「では、なぜ?」


「追い出せないから」


「だからペット?」


「そうよ」


「論理が飛躍しています」


レティシアは真顔だった。


「住む場所が必要なんでしょう?」


「はい」


「私も必要だった」


「…………」


ニーナの言葉が止まる。


レティシアは魔獣を見る。


魔獣は暖炉の近くでじっとしている。


「こいつだって、ここにいるしかなかったのよ」


そして、自分の胸元に手を当てる。


「私も……そうだった」


追放された。


行く場所がなかった。


帰る場所もなくなった。


けれど、ここには屋敷がある。


寒さをしのげる場所がある。


そして――。


「なら、ここに住めばいいじゃない」


「…………」


ニーナは完全に言葉を失った。


レティシアは満足そうに頷く。


「決まりね」


「何がですか?」


「この子は今日から私のペットよ」


「そこまでの話をしていましたか?」


魔獣が「グル」と小さく鳴いた。


レティシアが振り返る。


「ほら。本人も納得しているわ」


「たぶん違うと思います」


「いいのよ。細かいことは」


「細かくありません」


ニーナは頭を抱えた。


追い出す。


↓


追い出せない。


↓


だからペットにする。


(……どうしてこうなるのでしょう)


一方。


魔獣は暖炉のそばで、何事もなかったかのように丸くなった。


まるで――。


最初から、ここが自分の家だったかのように。


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