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悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


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Scene 4 魔獣発見

屋敷の奥へと続く痕跡を追い、二人は階段を下りていった。


地下へ近づくほど、空気が冷たくなる。


「……この先ね」


レティシアが足を止めた。


古びた扉が一枚。


その隙間から、わずかに光が漏れている。


「光?」


ニーナが小声で呟く。


「開けるわよ」


「お気をつけください」


レティシアが扉を開いた。


――ギィ……。


その先にいたのは。


「…………」


黒い毛に覆われた、大きな獣だった。


猫のようなしなやかな身体。


狼のような鋭い耳と牙。


そして何より目立つのは――。


暗闇の中で、大きく光る二つの目。


「…………」


魔獣がこちらを見る。


「…………」


レティシアも見返す。


「…………」


ニーナも見返す。


しばらく、誰も動かなかった。


魔獣が低く唸る。


「グルル……」


ニーナの肩がわずかに強張る。


けれどレティシアは怯えるより先に、魔獣の姿をじっと観察していた。


毛並み。


身体の大きさ。


爪。


そして、部屋の隅に置かれた食べ物の残骸。


「……なるほど」


「何がです?」


レティシアは魔獣から目を離さないまま答えた。


「こいつが幽霊の正体ね」


「……でしょうね」


魔獣は警戒するようにこちらを見ている。


敵意はある。


けれど、今すぐ襲ってくる様子ではない。


レティシアは一歩だけ近づいた。


魔獣の耳がぴくりと動く。


「屋敷に住み着いているの?」


「…………」


魔獣は黙っている。


「返事はしないわよね」


ニーナが淡々と答えた。


「魔獣ですから」


「それもそうね」


レティシアは腕を組んだ。


「しかし……」


目の前の魔獣を見る。


「思ったより大きいわね」


魔獣が、わずかに唸った。


「グルル……」


「何よ。大きさの話でしょう」


「グルル……」


「だから怒らないで」


ニーナが小さくため息をつく。


「お嬢様。魔獣と普通に会話しないでください」


「会話してないわよ」


「十分しています」


魔獣はそんな二人を見つめながら、じっとその場に座っていた。


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