↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/176

Scene 2 幽霊屋敷

黒薔薇館の玄関をくぐった二人は、長い廊下を歩いていた。


古い屋敷だけあって、床板はところどころ軋み、壁には年代物の絵画が掛けられている。


静かだった。


静かすぎるくらいに。


「……そういえば」


ニーナが、ふと思い出したように口を開いた。


「この屋敷について、少しお話ししておきたいことがあります」


「何?」


「夜になると、うめき声が聞こえるそうです」


「…………」


レティシアの足が止まった。


「……他には?」


「廊下を誰かが歩く音が聞こえたり」


「…………」


「誰もいないはずの部屋から物音がしたり」


「…………」


「窓に人影が映ることもあるそうです」


レティシアはゆっくりと屋敷を見回した。


古い壁。


薄暗い廊下。


今にも何かが出てきそうな雰囲気。


「……それ、本当に大丈夫なの?」


「大丈夫ではないかもしれません」


「先に言いなさいよ!」


思わず声を荒らげるレティシア。


ニーナは平然としている。


「ですが、もう住むことは決まっていますので」


「そういう問題じゃないでしょう!」


「ちなみに、以前ここで働いていた使用人たちは、何人か逃げ出したそうです」


「だから先に言いなさいって!」


レティシアは改めて廊下の奥を見る。


「つまり、幽霊が出るのね?」


「そのようです」


「幽霊なんて存在するの?」


「私に聞かれても困ります」


「……そうよね」


レティシアが腕を組む。


「まあ、幽霊くらいなら――」


――ガタン。


「「…………」」


二人の動きが止まった。


今度は、はっきり聞こえた。


屋敷の奥から。


何かが動いた音。


レティシアがゆっくりと振り返る。


「……今のは?」


「知りません」


「見てきなさい」


「なぜ私が?」


「使用人でしょう?」


「お嬢様の侍女です」


「同じでしょう」


「違います」


「…………」


「…………」


しばらく無言で見つめ合う。


レティシアがため息をついた。


「……仕方ないわね」


「はい」


「二人で行くわよ」


「最初からそうおっしゃればよかったのでは?」


「あなたが先に行けばいいでしょう!」


「私はお嬢様の侍女ですので」


「今、自分で違うと言ったでしょう!」


古びた黒薔薇館に、二人の声が響いた。


――そして。


そのさらに奥で。


何かが、静かに動いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。