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悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


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Scene 9 王都なら「口が悪い」

修理を終えた水路を眺めながら、レティシアは黙って立っていた。


流れる水の音が、静かに響いている。


(王都では――)


ふと、昔の言葉が蘇った。


――そんな言い方をしなくてもいいでしょう。


――もっと優しく言えばいいのに。


――高慢な方ね。


何度も言われてきた。


自分はただ、思ったことを言っていただけ。


問題があれば指摘した。


間違っていれば直そうとした。


けれど。


それが、王都では「口が悪い」とされた。


「…………」


レティシアは水路へ視線を戻す。


ここでは違う。


「じゃあ次はこれを頼む」


そう言われる。


そして、自分が指示を出せば、住民たちは動く。


誰も怒っていない。


誰も不機嫌になっていない。


むしろ――。


頼られている。


(……不思議ね)


同じ自分なのに。


同じ言葉遣いなのに。


場所が変わっただけで、こんなにも違う。


「…………」


レティシアは小さく息を吐いた。


そして、流れていく水を見ながら。


ほんの少しだけ、口元を緩めた。


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