↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/208

第6話「口の悪い令嬢 Scene 1 相談された問題

レティシアは、先ほど声をかけてきた住民の男の後を歩いていた。


「それで、相談って何なの?」


「まあ、見てもらったほうが早い」


「……?」


街の中心から少し離れるにつれ、建物はまばらになっていく。


やがて二人は、街外れの草地へと出た。


その先には、古びた石造りの水路が伸びていた。


長い年月を使い続けてきたのだろう。


石はところどころ黒ずみ、苔が張りついている。


そして――


一部の石が崩れ、水が横へ漏れ出していた。


「これだ」


男が水路を指差す。


「昨日から水の流れが悪くてな」


レティシアは黙って水路を眺めた。


「このままだと畑に水が届かない」


「……なるほど」


しゃがみ込み、水の流れを見る。


確かに、崩れた部分からかなりの量が漏れている。


けれど。


レティシアは、ほんの数秒眺めただけで立ち上がった。


「……これ?」


「ああ」


「こんなの誰でも直せるでしょう」


男は少しも気にした様子もなく頷いた。


「じゃあ頼む」


「…………」


レティシアの動きが止まった。


男は、当然のような顔で彼女を見ている。


「…………」


「…………」


沈黙。


レティシアはゆっくりと自分を指差した。


「……私?」


「そうだ」


「私に?」


「うん」


「…………」


レティシアは、隣にいるニーナを見た。


ニーナは何も言わず、にこやかに微笑んでいる。


「…………まさか」


レティシアの顔が、わずかに引きつった。


「本当に私がやるの?」


「頼んだ」


「いや、そうじゃなくて――」


レティシアは水路と男を交互に見た。


「私、昨日ここに来たばかりの令嬢なのだけど?」


「知ってる」


「……」


どうやら、この男には関係ないらしい。


レティシアは額に手を当てた。


――どうしてこうなったのかしら。


昨日までは王都で、悪役令嬢だの何だのと言われていた。


それが今日は。


「水路を直してくれ」


である。


「……グランフェルって、本当に変なところね」


「そうか?」


男は首を傾げた。


「困ってるんだから、直せる奴に頼む。それだけだろ」


「…………」


レティシアはもう一度、水路を見る。


そして、小さくため息をついた。


「……分かったわよ」


こうして。


追放された悪役令嬢の、グランフェルでの最初の仕事が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。