↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/196

Scene 7 「本物」の意味

「ねえ、アルベルト様」


悪役レティシアが、静かに口を開いた。


「もし私が、“悪い部分”なら」


アルベルトが顔を上げる。


「怒ることも、悪いの?」


「……」


「嫌なことを嫌だと言うことも?」


アルベルトは答えられない。


悪役レティシアは続けた。


「自分が傷つけられそうになったとき、自分を守ることも?」


「それは……」


言葉が詰まる。


「全部、悪いの?」


「…………」


広間が静まり返る。


誰も口を挟まない。


悪役レティシアは、アルベルトの顔をじっと見つめた。


「だって、そうでしょう?」


「私が持っているものが全部“悪い部分”なら」


自分の胸元へ手を添える。


「私は、何を残しておけばよかったの?」


答えは返ってこない。


アルベルトは苦しそうに視線を落とした。


彼にも分からない。


怒ることが悪いとは言い切れない。


反論することも。


嫌なものを拒むことも。


自分を守ることも。


けれど、それらが強すぎれば、人を傷つけることだってある。


では。


どこまでが悪くて。


どこからが必要なのか。


誰にも分からなかった。


悪役レティシアは、ふっと視線を逸らした。


「……分からないのね」


「……ごめん」


アルベルトの声は小さかった。


「僕にも、分からない」


その言葉だけが。


広間に残った。


優しい人格だけを残せば。


人は、本当に完全になるのだろうか。


誰も、その答えを持ってはいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。