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悪役令嬢レティシア、二人になりました  作者: 南蛇井


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第4話 断罪される悪役 Scene 1 王城からの呼び出し

――数日後。


ヴァレンフォール侯爵家。


朝の静かな時間を切り裂くように、王城から一通の書状が届いた。


封蝋には、王家の紋章。


それを見た悪役レティシアは、露骨に顔をしかめた。


「…………」


封を切り、中身を読む。


数行。


そして。


「……今さら何の話よ」


書状を机の上に置く。


隣にいたニーナが、内容を確認する。


「王城からの召喚状ですね」


「見れば分かるわ」


「はい」


「だったら、何のために呼び出すのよ」


レティシアは頬杖をつく。


書状には、人格分裂後の身分および処分について、再審議を行うと記されていた。


「おそらく、昨日の処分をどちらに適用するか決めるためかと」


「…………」


レティシアは眉をひそめる。


「どちらにって……」


「お嬢様と、もう一人のお嬢様。お二人が同時に存在している以上、法的な扱いを決める必要があるのでしょう」


「そんなの簡単じゃない」


レティシアは即答した。


「私は私。あいつはあいつでしょう」


「…………」


「同じ顔をしていても、別人なんだから」


当然のことを言ったつもりだった。


自分には自分の記憶がある。


自分の考えがある。


自分の意思がある。


そして、もう一人にも同じようにそれがある。


だから。


二人ともレティシア。


それで終わる話だと思っていた。


「まあ、王城もそこまで馬鹿じゃないでしょう」


レティシアは書状を指で弾く。


「説明すれば分かるわ」


ニーナは何も言わなかった。


ただ、少しだけ困ったような顔をしている。


「……何よ」


「いえ」


「何か言いたそうね」


「お嬢様は、王城の方々が同じように考えていると思っていらっしゃるのですね」


「当然でしょう?」


レティシアは不思議そうに首を傾げた。


――この時の彼女は、まだ知らなかった。


王城では。


すでに。


「どちらが本物のレティシアなのか」


という話が始まっていることを。


そして。


その答えが、自分にとって決して嬉しいものではないことを。


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