第29話:海賊VS島民
陸上に、張り詰めた緊張が走った。
港に集まった住民たちが武器を握りしめ今かと待ち構えていた。子供や老人はすでに内陸へ避難し、残った男たちと若い女たちがバリケードの影に身を潜めていた。
ジムも銃を手に、ヘレンとアダムスと共に最前列に立っていた。
その時——
シルバーの船団が一斉に舷側を向け、大砲の砲口を港に向けた。
「撃て!」
轟音が鳴り響いた。
大砲の弾が港の水面に着弾し、水柱が勢いよく噴き上がる。雷鳴のような爆音が街中に響き渡り、住民たちが思わず身を縮めた。
慌てて地面に伏せ、バリケードの陰に逃げ込む。その隙を突くように、シルバーの上陸用ボートが次々と岸に乗り上げた。
「上陸だ! 一人残らず片付けろ!」
海賊たちが怒号を上げながら砂浜に飛び降りる。刀を抜き、銃を構え、住民たちの防衛線に向かって突進してきた。
乱戦が始まった。
砂浜は一気に阿鼻叫喚の戦場と化した。
「突っ込め! 一人残らず斬り捨てろ!」海賊の一人が刀を振りかざして叫び、住民の防衛線に飛び込む。
「来るな! ここは俺たちの街だ!」漁師の男が銛を突き出し、勢いよく突進してきた海賊の腹を貫いた。相手が悲鳴を上げて倒れると、すぐに別の海賊が横から斬りかかってくる。
銃声が連続して響いた。若い男が銃を構え、至近距離で引き金を引く。「撃て! 撃て!」弾は海賊の肩を撃ち抜き、相手がのけぞる。しかし次の瞬間、別の海賊が背後から刀を振り下ろし、若い男はそれをかろうじて受け止めた。
「後ろだ! 気をつけろ!」別の住民が叫び、木の棒で海賊の足を払う。
女たちが屋根の上から次々と石や酒瓶を投げつけた。
「これでも食らえ!」「街を汚すな!」瓶が頭に当たり、海賊がふらついて転倒する。その隙に住民が群がり、組み付いて武器を奪い取る。
刀と刀が激しくぶつかり、金属音が連続して鳴り響く。砂煙が舞い、血しぶきが飛び、倒れた者の呻き声が混ざる。港の空気は火薬と血の匂いですぐに満たされた。
「守れ! 絶対に港を落とすな!」「シルバーの手下め、ここまでだ!」
住民たちの怒号と、海賊たちの咆哮が入り乱れる中、ジムもその中に飛び込み、住民と肩を並べて戦った。
一人目の海賊が刀を振りかざしてくるのを、銃で撃ち倒す。
二人目が横から襲いかかってきたが、近くの住民と協力して組み伏せ、組み付いていた刀で倒した。
三人目が銃を構えた瞬間、ジムは素早く身をかわし、至近距離で引き金を引いた。
「三人……!」
息を整えながら乱戦の中を見回したとき、ジムの目に映った。
少し離れた岸壁近くに停泊した旗艦の甲板に、威風堂々と立つ男の姿。
ジョン・シルバーだった。
義足をコツコツと鳴らしながら、隻眼で戦場をゆっくりと見渡している。部下が次々と報告に駆け寄り、シルバーは低く短い指示を飛ばす。
「左翼を補強しろ。港の奥に回り込ませるな」「大砲の予備弾を岸に運べ。住民どもを押し切れ」「ジムの顔を見たら、すぐに知らせろ」
その姿は、まるでこの乱戦すべてを掌の上で転がしているかのように堂々としていた。
砲煙と砂煙の中でも、シルバーの存在だけが異様に鮮明に浮かび上がっている。
「シルバー……!」
ジムは歯を食いしばり、声にならない声を絞り出した。胸の奥で、おじいちゃんの死、裏切られた怒り、奪われた宝、失った仲間たちの顔が次々と蘇る。
「あいつを……ここで終わらせる」
ジムは住民と海賊が入り乱れる混沌の中を、一直線に走り出した。目の前で漁師が海賊に斬りかかり、血しぶきが飛ぶ。横から若い男が「ジム! 危ない!」と叫ぶが、彼は止まらない。
弾が耳元をかすめた。刀を振りかざした海賊が正面から襲いかかってくる。ジムは身をかがめてかわし、近くに倒れていた銃を拾って至近距離で撃った。海賊が崩れ落ちる。
「どいてくれ……!」
倒れた敵を飛び越え、味方の住民の背中をすり抜け、砂煙の中をかき分けていく。
ただ、旗艦の甲板に立つシルバーの姿だけを見つめて、合間を縫うように進み続ける。
砲弾が近くに着弾し、土煙が舞う。その煙の中を駆け抜け、岸壁へと近づいていく。シルバーの元へと
合間を縫うように進み、ついに旗艦の近くまでたどり着いた——




