第25話:アジトへの潜入
一行は森を抜け、シルバーの隠れ家へと近づいていった。島全体がアジトになっているというトッポの言葉通り、岩壁や木々の間に不自然な通路や隠し入口がいくつも見えた。
「……ここ全体が、シルバーのアジトなのか」ジムが小声で呟いた。
トッポが頷き、岩の隙間を指差した。
「ああ。表向きは自然の洞窟に見えるが、中は違う。ついてこい。音を立てるな」
彼らは狭い岩の裂け目から中へ潜り込んだ。
最初は冷たい岩肌の洞窟のようだったが、進むにつれて様子が変わっていく。途中から木造の廊下が現れ、梁や柱がしっかりと組まれていた。岩と木が奇妙に混ざり合った、不思議な形をしたアジトだった。
「まるで……迷路みたいだわ」ヘレンが周囲を見回しながら息を潜めた。
廊下は入り組んでおり、どこに何があるのか全く分からない。扉がいくつも並び、階段が上下に分かれている。
だが、幸いなことに、すぐに敵の気配は感じられなかった。
ジムが息を潜めながら周りを見回した。
「……誰もいないみたいだ。今のうちに手当たり次第に探そう」
トッポが小さく頷き、先頭を歩き始めた。「ここは迷路みたいになってる。一度迷ったら簡単には戻れねえぞ」
一行は慎重に進み、手当たり次第に部屋の扉を開けていった。
最初の部屋はがらんとした空き部屋だった。ホコリが積もり、古い樽が転がっているだけ。
「何もない……」ヘレンが小声で呟いた。
次の部屋は酒樽が山積みにされた倉庫だった。ラム酒の甘い匂いが漂う。
「ここは酒蔵か。宝はなさそうだな」アダムスが短く言った。
さらに次の部屋を開けると、壁に銃や刀がずらりと並ぶ武器庫だった。ジムが息をのんだ。「こんなに武器が……シルバーは相当警戒してるんだな」
トッポが銃を一本手に取り、すぐ戻した。
廊下を進むたびに、木造の梁が軋む音が微かに響く。岩と木が混ざり合った奇妙な構造のせいで、どこからが洞窟でどこからが人工の建物なのか分からなくなる。階段を上ったり下りたりし、行き止まりにぶつかっては引き返す。
「ここ、本当にどこがどこだか分からないわ……」ヘレンが不安そうに呟いた。
一時間近くが過ぎた頃、細い廊下の角で見張りが一人、壁に寄りかかって居眠りをしていた。軽くイビキまでかいている。
トッポが小さく手を上げ、合図を送った。「今だ。静かにやれ」
アダムスとトッポが音もなく後ろに回り込み、見張りの口を押さえ、後頭部を正確に打った。男は声も出せず、その場に静かに崩れ落ちた。
「よし、眠った」アダムスが短く報告する。
ジムが安堵のため息をついた。
「危なかった……。この先にもっと見張りがいるかも」
「なら、もっと慎重に行くぞ」トッポが先を促した。
さらに奥へ進むと、他の扉とは明らかに違う、一枚の厳重な扉が現れた。
厚い木材に鉄の金具が幾重にも打ち付けられ、大きな南京錠がいくつもかかっている。隙間からは、かすかに灯りの明かりが漏れていた。
ジムが息をのんだ。
「……ここだ。この扉だけ、明らかに違う」
一行はその厳重な扉の前で足を止め、固唾を飲んで立ち尽くした——




