第20話:シルバーの勝利
シルバーは満足げに笑い、部下たちに命じた。
「さあ、掘れ! 掘りまくれ!俺たちの財宝を取り戻すんだ!」
海賊たちがシャベルを手に取り、一斉に地面を掘り始めた。土と岩が飛び散り、洞窟内に激しい音が響く。
ジム、ヘレン、アダムスは固く縄で縛られ、洞窟の冷たい岩壁に跪かされていた。
三人の手首は後ろ手に縄に縛られ、足も動かせないほどに固定されている。
ジムは唇を噛み、ヘレンは震える声で「信じられない……」と怒りを口にし、アダムスは無言で睨みつけていた。
「さあ、掘れ!」
シルバーの号令一下、海賊たちがシャベルを振り下ろした。
土が飛び、岩が砕け、激しい音が洞窟内に反響する。何度も何度も地面を抉り、深く掘り進める。
汗だくになった海賊の一人が突然叫んだ。
「船長! 何か当たりました!」
皆の視線が集中する。さらに数回シャベルを入れると——
ガシャン……!
金貨が溢れ出す音がした。
次の瞬間、大量の金貨、銀貨が土の中から雪崩のように流れ出した。
続いて宝石の詰まった木箱が姿を現し、蓋が開くとルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドが煌びやかに輝いた。
スペインのガレオン船から奪ったであろう巨大な金塊、象牙の彫刻、真珠の首飾り、宝石を散りばめた王冠までもが、次々と掘り出されていく。
洞窟全体が黄金の光で満たされた。
「うおおおおっ!」
シルバーの隻眼が見開かれ、興奮で体が震えた。
「これだ……これこそが俺の求めていたものだ!この世の全てが買える……王座も、権力も、女も、酒も、すべてが手に入る!
ははははっ! 王にだってなれる! 王様になるんだ!」
海賊たちは狂喜乱舞した。
誰もが目を見開き、震える手で金貨を掴み、宝石を胸に抱きしめ、歓声を上げた。
中にはあまりの感動で泣き出す者さえいた。
長年の苦労、血と汗と裏切りを経て、ようやく手に入れた「無限の富」。
その高揚感は、彼らを完全に狂わせていた。
シルバー一味は総出で宝を箱に詰め、縄で縛り、外へと運び始めた。
何往復も繰り返し、ついに最後の宝石の袋までが洞窟から運び出された。
洞窟内は再び静かになった。
シルバーは義足をコツコツと鳴らしながら、縛られたジムたちの前に立った。口元に残忍な笑みを浮かべている。
「ふん……よくここまで連れてきてくれたな、ジム。お前のおかげで宝は全部俺のものだ。礼を言わねばならんな」
シルバーは部下から大きな火薬の包みを受け取り、それを三人の足元に置いた。導線が長く伸び、火薬の量は尋常ではなかった。
「これは置き土産だ。この量じゃ、怪我は避けられねえだろうよ。たとえ生き延びたとしても……この洞窟は崩れ落ちて終わりだ。潮が満ちれば、綺麗に海の底だぜ?」
ヘレンは叫んだ。
「シルバー、あなたは最低の人間よ……!」
アダムスが低く唸った。
「頼む!娘は……助けてくれ……!」
ジムはシルバーを睨みつけ、悔しさを込めて言った。
「……おじいちゃんの宝を、お前なんかに好きにさせるものか……」
シルバーは大笑いした。
「はははっ! もう遅いんだよ、小僧!永遠にこの暗い穴の中で、トム・ゴールドのことを恨め!」
シルバーは部下に合図を送り、導線に火を点けさせた。
火花が勢いよく走り始め、火薬の包みに向かって容赦なく近づいていく。
「じゃあな、ジム・ホーキンズ。楽しかったぜ」
シルバーは義足の音を響かせながら、部下たちと共に洞窟の出口へと去っていった。
残されたのは、ジムたちと、刻一刻と迫る導火線だけだった——




