第21話:島の男「トッポ」
導火線が激しく火花を散らし、火薬の包みに迫る中——
突然、岩の隙間から影が飛び出してきた。
「動くな!」
低い声とともに、短剣が振り下ろされ、導火線が一瞬で切り落とされた。火花が地面で散り、爆発は寸前で防がれた。
ジム、ヘレン、アダムスが驚いて顔を上げると、そこに立っていたのはボロボロの服を着た、髭面の男だった。日焼けした黒い肌、鋭い目つき。上陸した時からずっと感じていた、あの殺気のない視線の正体だった。
「誰だ……お前は……」ジムが息を切らして尋ねた。
男は短剣を手に、素早く三人の縄を切りながら答えた。
「俺はトッポだ。この島にずっと一人で住んでる。お前たちを……上陸した時から見張っていた。最初はただの侵入者かと思ってたが……シルバーの奴らがお前たちを縛って宝を奪う無惨な光景を見て、放っておけなくなった。悪い奴らじゃないと確信したよ」
トッポは素早い手つきで三人の縄をすべて切り落とした。
ジムは解放された手首をさすりながら、よろよろと立ち上がった。左腕と肩の傷が激しく痛み、血がシャツに染み出している。ヘレンがすぐに寄り添い、傷口を布で押さえた。「ジム、大丈夫? 動かないで……」
「平気だ……ありがとう、ヘレン。それより……トッポさん、どうして俺たちを助けてくれたんですか?」
トッポは短剣を腰に戻し、洞窟の出口の方を一瞬警戒してから答えた。
「上陸した時から、お前たちをずっと見張っていた。最初はただの欲深い連中かと思ったが……シルバーの奴らがお前たちを縛り上げ、宝を奪う姿を見てな。あいつは昔から変わらねえ。仲間を平気で利用して捨てる男だ。お前たちは違う。命がけで仲間を守ろうとしてた。……それに、俺も元海賊だ。シルバーのことは昔から嫌いだった。放っておけなかったのさ」
アダムスが低く唸るように言った。
「恩に着る。だがシルバーはもう宝を持って船に戻ったはずだ。このままでは……」
ヘレンがジムの傷を押さえながら、悔しそうに唇を噛んだ。
「宝を取り返さないと……みんなの仇も、奪われたものも……」
ジムは痛む体を壁に預け、深く息を吐いた。
頭の中で様々な考えが渦巻いていた。シルバーの船から持ち出した地図のこと、トッポの言葉、そしてこれからの道筋。やがて彼はゆっくりと上着の内側に手を入れ、慎重に一枚の折りたたまれた紙を取り出した。
「トッポさん……これを見てくれますか?」
それはシルバーの船から盗んだ、二枚目の地図だった。
ジムは松明の灯りに近づけ、地図を広げながら続けた。
「シルバーの船に忍び込んだ時、宝の地図と一緒にこれを見つけたんです。何の地図か分からなくて……でも、シルバーが大事に隠し持っていたものだから、きっと重要なはずで……」
トッポは地図を受け取り、炎にかざしてじっくりと眺めた。
やがて彼の表情がわずかに変わった。
「これはシルバーの隠れ家の地図だ。宝島の東、別の小さな無人島にある秘密のアジト。洞窟をいくつも繋げて作った要塞みたいな場所だ。宝を手にしたシルバーは、間違いなくここに帰る。宝を取り返すなら……ここに行くしかないだろうな」
「やっぱり……そしてまだチャンスはある」
ヘレンが心配そうにジムの傷を見ながらも、力強く頷いた。
「ええ。一緒に取り返しましょう。みんなの仇も、奪われた宝も」
トッポは三人を順番に見つめ、静かに言った。
「俺も手を貸す。この島のことは俺が一番詳しい。」
洞窟の外では、シルバー一味の歓声がまだ遠くに聞こえていた。宝を満載した船が、ゆっくりと出航の準備を始めている。
だが、トッポという新たな味方の出現により、ジムたちの反撃の火種は、再び灯り始めた——




