表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/145

愛の余韻

「いい加減にして。アンタたちの『仲良しごっこ』には、吐き気がする」


ある朝、テオが書き残した置手紙には、そんな短い一言が記されていた。

テオの失踪。それは、私とアルフォンスにとって「演技の失敗」を意味する。まあ、それほど隠すほど騙せる子でもなかったけど。しかし、もしこの件が王妃様に知れれば、「愛の極致であるはずの家庭から、子供が逃げ出した」という、今や国家規模のスキャンダルになりかねない。


「……アルフォンス。もしテオが他国のスパイに捕まり、私たちの『本当の仲』を暴露したら、今度こそ私たちは反逆罪で処刑されますわよ」


「貴族だから処刑はされないさ。それに先に入ってる侯爵が、もしもの時は色々手助けしてくれるだろ」


「何を呑気な事を。あなたはどうなってもいいけど、道連れなんてごめんよ。軟禁なんて絶対に嫌」


「わかっている。……あのガキ、面倒なことをしてくれたものだ。……死ぬ気で(体面のために)連れ戻すぞ」


私たちは、かつてないほどの必死さでテオを捜索し始める。

私は魔道具の探知機をフル稼働させ、アルフォンスは騎士団を総動員して、血眼になって王都の路地裏から森の奥までを徹底的に洗い出す。


その時の私たちの形相は、まさに「怪物」そのもの。

髪は乱れ、瞳には殺気がこもり、邪魔をする者はすべてなぎ倒さんばかりの勢い。


市民たちは、その姿を見て震え上がっていた。

「見ろ……公爵夫妻が、愛する息子を失って、理性を失うほど嘆き悲しんでいる……!」

「あんなに美しい方々が、なりふり構わず泥にまみれて……。なんて壮絶な親の愛なんだ!」


((違う、ただの保身のための焦りよ!!))


一方、テオは王都外れの廃屋で、かつてモルガン侯爵に雇われていた「残りカスの傭兵たち」に捕まっていた。


「ふん、公爵夫妻の弱みを見つけたぞ。このガキを人質にすれば未払い銀貨も……」


そこへ、扉を物理的に破壊して、私とアルフォンスが同時に雪崩れ込む。


「……見つけたわよ、テオ。……私の平穏を乱した罪、じっくり償わせてあげますわ」(さっさと帰れ。王妃様にバレる前に!)


「……おい、暗殺者ども。その子に触れるな」(勝手な真似をするな。監督不行届になったらどうする!)


私たちが放った「殺意」は、暗殺者たちの戦意を瞬時に粉砕。

彼らは「親の怒り」という名の暴力的なオーラに圧倒され、戦う前に泡を吹いて倒れていった。


テオは、埃まみれになりながら、私たちの「あまりに必死(で形相がひどい)」な顔を見上げてくる。


「……ふん。……そんなに僕がいなくなって困るの? ……そんなに僕のことが『必要』なんだ」


テオの瞳が、少しだけ潤んだように見えた。

彼は、私たちの焦りを「自分を愛しているがゆえの必死さ」だと、あろうことか勘違いしてしまった。


「……仕方ないな。……そんなに泣きそうな顔(実際は怒りに震えている顔)をされたら、帰るしかないじゃない」


「……ええ。……さあ、帰りましょう。……家で、たっぷりと『説教(再教育)』をしてあげますわ」


翌日、王都の新聞には感動的な見出しが踊り狂う。

『愛の猛火! 奪われた子を救うため、地獄の業火となって暗殺者を焼き尽くした公爵夫妻』


テオは、それ以来、少しだけ素直に(?)私たちの毒味に付き合うように。

私たちの「演技」は、皮肉にもテオという「本当の絆」を内側に抱え込み、ますます外せない呪縛となって完成へと近づいていくことに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ