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クリスティナ・フォン・ロドゴ

なるほど、どこかで見たことがあるはずだ。

ヒーローである王太子エルヴィンの当て馬役1号である、フェリクス・フォン・ロドゴの双子の妹だ。

顔立ちがそっくりですやん、なんで気がつかなかったかなぁ。

女性だからって気を抜いてたわ。


フェリクス・フォン・ロドゴは宰相の嫡男で王太子の側近の美貌の幼馴染。

次期宰相として、エルヴィンに侍っているキャラだ。

エルヴィンが陽イケメンならフェリクスは陰なイケメンでこちらもかなりの人気があった。


(二次創作ものではエルフェリかフェルエリか、なんていい争いも…ゲフンゲフン)


クリスティナと同じ色を持つ彼は幼なじみで親友のエルヴィンとエリーゼの仲睦まじい様子をほほえましくみていながら、エリーゼのひたむきな姿に心を奪われひそかに恋い慕っていく。

ちなみにアイリーンとはエルヴィンと同じく幼少期からの知り合い。

だけどエルヴィンの迷惑を顧みずに彼にべったりなアイリーンに対して辟易しておりますのでいつも冷淡な対応です。


でも…たしか漫画にフェリクスの妹は人物としては出てこなかったはず。

それもあって気づけなかったわ。

エリーゼがフェリクスの屋敷を訪ねたとき、飾られた家族の絵に、彼と同じ顔の女性が描かれていたんだよね。

それで『フェリクスと同じ顔の女性は誰?』って聞くエリーゼにフェリクスは「双子の妹だ」と答え、寂しそうに続けた。


「妹は、ここにはいない」


その後、宰相である父との口論のなかで、彼が涙ながらにこぼす場面がある。

「家族を顧みないあなたのせいで、クリスは…」


けれど、クリスに何があったのかは、結局描かれなかった。


クリスティナは、もともと体が弱く、学園も休みがちだったという。

クラスも違うから、エリーゼが知らなかったのも仕方ない。私もそうだし。


フェリクスの裏事情として宰相である父親とうまくいっていないことがある。

仕事ばかりで家の中を顧みないのに高慢で小言ばかりの父親に辟易していた。


エリーゼに対しても、彼女の力量不足に不満を持ってた宰相が「光属性といっても大したことないな」とか彼女に惹かれているフェリクスに気づいて「王太子の思い人に横恋慕して何になる」とか、小言を言われたりしていた。


そんな中、とうとう我慢しきれなくなったフェリクスが「あなたにそんなことを言われる筋合いはない」ってぶちギレて親子喧嘩になった。

その時「宰相の役職ばかり気にして家族を顧みないあなたのせいで、クリスは…」ってセリフと共に小さく描かれていた涙を流して懺悔しているフェリクスが密かに話題になってた。


(なんでも、陰イケメンの泣き顔が色っぽいとか…、エルヴィン派の私には刺さらなかったけど)


だけど、妹がどうしたかははっきり書かれてはいなかった。

そういえば宰相とフェリクスの間を取り持つのがエリーゼだったりするんだよね

フェリクスの心を慮って宰相への直談判みたいなことして、すれ違いのお悩み解決しちゃうの。


それで、実は宰相はフェリクスを大事に思っていて、小言も彼のために言っていただけで、ただすれ違っていただけだったっていうのが、その後のオチなんだけど、長年のお悩み解決してくれたエリーゼにますます傾倒して恋心が育っていく。

そして、エリーゼに対するアイリーンの態度にキツく諌めてくるようになって、エルヴィンだけじゃなくフェリクスまで取られたと思ったアイリーンが、さらにイラついていくって流れだったはず。

わお、悪循環。王道べた展開ね。


作中のフェリクスは王太子に忠誠を誓っているため思いを胸にしまい、二人を応援し続けたり、と、なかなかに自分の気持ちを押し殺して陰に徹してた。

エリーゼが光魔法を上手く使えずエルヴィンが周りに責められ続けて、二人の仲が少しギクシャクしてしまったときにエリーゼを励まし、エルヴィンにはエリーゼの頑張りを信じろと発破をかけるくらい、不憫系いいやつキャラ。

けれど貴族たちに二人が引き裂かれそうになった時に『自分じゃダメか』と思いのたけをぶつけてエリーゼがほんの少しだけフェリクスに心を揺り動かされる。

けどやっぱりエルヴィンがいいってなって『うそだよ、俺たちは友達だもんな』って悲し気に笑うシーンが泣けた。

振られた後、一人心に思うことは『もしエリーゼがほんとに自分を選んでくれたら躊躇なく奪い去るつもりだった』と独白するくらいエリーゼを愛していた。

今思い返しても、ほんとあのシーンは名作だわ。




「あの、ベルモット公爵令嬢、いかがなさいましたか?」

いけない、トリップしてたわ。


「いえ、何でもないわ。そう、ロドゴ侯爵令嬢でしたのね。宰相閣下はとってもお厳しいのですね。それなら波風はあまり立てない方が良いわね。…であればお友達に弁償するまでは隠しておいた方がよいかと思うの。返すまでお家の方に見つからないように参考書のカバーでもしておきなさい。決して見つからないようにするのよ」


みつかってこっちに飛び火されるのだけは避けたい。

トンズラするのに市井で遊んでたなんてばれたらかなりやばいもの。

隠ぺい工作大事よ。


「それから、今日はどのようにしてこちらにいらしたの?護衛はいらっしゃらないようですが?」

「学園を早退して歩いて参りました。護衛は行き帰りだけですので今はおりません。借りた本を何とかしなくてはと焦っていたので、他のことが考えられず勢いで来てしまいました…」


クリスティナは恥ずかしそうにつぶやいた。

ほんとに何も考えず行動してしまったらしい。結構直情型なのかしら。

ふーむ、そうなると学園の終わり時間にはお迎えが来てしまい、学園にいないことに気付かれて大騒ぎになりそうね。


正直彼女の素性を知ってしまったら、これ以上関わり合いたくはない。

だけどこのまま放っておけないよね。

どうみても箱入りぽいし、お金もないみたいだし、勝手に帰れは危なくていえない。

そして学園が終わる時間が近づいているし…


(やっぱり学園の近くまで送っていくしかないかなぁ)


幸いお忍びだから一見公爵家とわからないような馬車を使っているし、私が馬車から降りなければ大丈夫かな。


「では、学園の傍までわたくしの馬車で送ってあげますから、もう一度学園まで戻って何もなかったことにしなさい。できるわね」

「ですが…、よろしいのですか?その、ご迷惑では…」


提案に不安げな表情で聞いてくるクリスティナに「問題ない」と伝えると安堵の表情を見せた。

きっとどうやって帰ろうか考えていたのだろう。


「いろいろと便宜を図っていただきありがとうございます。それと本当にいろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありません。その、後程お礼のお手紙を送りたいのですが…」


「ありがとう、でも気持ちだけ頂くわ。こちらが勝手にしたことでもあるしね。それに、わたくし実は数日後には療養でしはらく王都を離れる予定なのよ。行き違いになると失礼だから大丈夫よ」

「ベルモット公爵令嬢はお怪我されて休学中でしたわね。そのような大変なときに重ね重ね申し訳ありませんでした」

「ええ、その代わり、わたくしとここであったことは絶対、誰にも、話さないと約束してくださいませ。ぜーったいです!」

「承知しました。今日のことは心の中にしまっておきますわ。」

「それから、もしロマンス小説がお読みになりたかったら、図書室でお読みなさい。いくつか寄付をする予定だから。今日のように危ないことはなさらないで」


小説、たくさん仕入れたからね。

侍女やメイドに下げ渡しもするけど、寄付もいいなと思ったのよ。

本当は公爵家に呼んで貸してもいいかなって思ったけど、私しばらく不在だしなぁ。

シャーロッテは一つ下だから学園での交流はそこまで多くはなさそうよね。

何より私がエルヴィンとエリーゼに近しいものとの関わりたくない。

フェリクスの妹なんて地雷でしかないわ。

小説友達になれそうだったけど、アデュー、クリスティナ。



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