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最低な答え合わせ

「改めてお聞きしますわ。クリスティナ様は一体どのようなお力を持ってらっしゃるの?」


宰相はティーカップを置くと一息つき思い口を開いた

「クリスティナは生まれつき魔力を持たない。それは聞いてるか?」

「ええ、お二人から」


「その代わりに、あの子の身に宿っているのは神聖力だ」

宰相閣下のその言葉に、応接室の空気がピリリと震えた。


「神聖力…」


フェリクスも始めた知らされたのか驚愕に目を見開いている。


閣下は沈痛な面持ちで続けた。

「神聖力は魔力と対極にある力だ。魔力と同時に持つことはできない。そしてその力は神樹を見守り、力を与える。ひいては神樹の結界そのものを開くことさえ可能にする」


原作にない知らない情報が次々と出てくる。頭が飽和状態になりそう。


「同時に神聖力は闇の魔法にも干渉し影響を及ぼすことができる。その性質を利用して魔王を生み出し、圧倒的な力をもって世界を牛耳ろうと画策しているのが例の教団だ」


「魔王を、生み出す…?」


「そうだ。具体的な手法までは不明だが、奴らはクリスティナの神聖力を魔王となる者に捧げ、その力を神聖なものから闇へ反転させることで、現世の理を混沌へと塗り替えようと目論んでいる。エリーゼ嬢が今、光属性に目覚めたのも、クリスティナの神聖力が強まった影響を受けた証拠だと私は考えている」


閣下は、ひと呼吸置いて、低く付け加えた。


「……私がエリーゼ嬢を王太子妃に推したのも、そのためだ。教団の目が神聖力に向く前に、世間の関心を、分かりやすい光属性へ逸らす必要があった。表向きは、王家の意向に沿った形にして、クリスティナから視線を外させたかったのだ」


(……エリーゼを推したのは、そういう理由だったの? 宰相が、王家の意向に乗っただけじゃなかったなんて)


いやエリーゼのことは一旦置いておく。今の宰相の言葉のなかでもっと大事な部分。

(ちょっとまて、魔王? 復活?…ここにきて、それかー)


背筋に冷たいものが走ると同時に、私の脳内で前世の記憶、原作の断片が恐ろしいほどの速度で組み合わさっていった。

原作ではクリスティナはモブ扱いで早々に姿を消していた。

けれど教団は何かしらの方法で彼女から神聖力を奪いとっていたのではないだろうか。

それを魔王になる者に捧げた…。


原作でアイリーンは魔王になった。

つまりは神聖力はアイリーンに捧げられた…?


本来魔力と神聖力は同時に身に宿すことはできないとされているけど…、

どうやってかそれを可能にして、魔王が誕生した。


謎が多いけど…、アイリーンが魔王として誕生したのは確かだ。


だけど、そうなると『魔力と神聖力は同時に身に宿すことはできない』という前提は覆される。

だって原作では事故なんて起きてない。アイリーンの魔力量は豊富のままだった。


……もしかして神聖力を取り込んで抑え込むには膨大な魔力が必要ってことなのかもしれない。だから教団は魔王の器として、稀代の魔力保持者であるアイリーンを選んだ。


ここで思い出したことがある。

リカルドが言っていた深層階の魔力の話だ。

いくら膨大な魔力量といってもアイリーンの魔力だけでは神聖力を抑え込むのが難しかった。

だから深層階の魔力を開花させて神聖力を闇に変えるくらいの魔力を生み出しアイリーンを魔王にした…と考えるのはどうだろう。


(……うわー、最悪だ!辻褄有っちゃったよー!)


私が悪役として断罪され、誰からも顧みられなくなった隙を狙って、教団は私を魔王への変換用の器として利用したんだ。







………いや、逆かも?






アイリーン(私)の存在が必要で、どうしても手に入れたいと思っていたから、アイリーン(私)の心を壊した、としたらどうだろう。


その為にアイリーン(私)の断罪すら仕組まれていた、とか…



「…………っ」



思わず口元を押さえた私を、アベルが案じるように見つめている。

フェリクスも、父親への怒りを一瞬忘れ、私の異変に気づいたようだ。


「アイリーン嬢、顔色が悪い。やはり無理をさせてしまったか」

「…いえ、大丈夫ですわ」


私は込み上げる嫌悪感と怒りを強引に飲み込み、平静を装った。

けれど、私の意識は先ほどの思考の渦にとらわれたままだ。


エリーゼを引き立たせるためだけのシナリオなんかじゃない。



まさか明確な悪意を持って、仕組まれたルートを歩かされていただけなんてね。

その結果として、私の家族まで地獄へ突き落とされたというのか?


あの、優しくて温かい家族を?

ハンナとアベルまで?



そんなの許せるわけがない。




私は静かに震える指先をそっと隠した。


やっと、ここまで公開できた~!

原作裏話であったアイリーンの闇落ちは仕組まれたものでした。の回


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