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っ忠犬が過ぎる!

すみません、昨日投稿出来ませんでした。m(_ _)m

私室に戻り、アベルから教団の不穏な報告を受けた後。

重たい気分を切り替えようと私はリハビリを兼ねて夕暮れの庭園を散歩していた。

アベルには「少し空気を吸ってくるね」と言って、置いてきてしまった。


アベルに抱っこしてもらうのもいいけど、たまにはこうやって自分の足で歩かなくちゃ太っちゃうわ。


庭園の先には大きな木の下で剣を振るう真似事をしている人影があった。

フェリクスだ。


彼は私に気づいて動きを止めると汗で貼りついたシャツの襟元をパタパタと仰ぐ。

隙間からその身体付きが垣間見え、何とも言えない色気が漂ってきた。

さすが当て馬1号!


(…おお、結構すごい胸筋ね。着やせするタイプなのね、眼福―!)


思いがけないサービスシーンに思わず拝みたくなる。


「フェリクス様。お怪我の具合はどうかしら?無理をして、あまり根を詰めすぎてはいけませんよ。」

不埒な考えを打ち消すように言葉をかける


「アイリーン嬢か。ああ、おかげさまで随分と動けるようになった。君の別荘は少し居心地が良すぎるな。帰りたくなくなるほどに…」

彼は自嘲気味に笑い、私の方へ歩み寄ってきた。

その距離が、以前の王太子側近と婚約者候補だった頃にはあり得ないほどに近い。


「あら、それは光栄ですわ。でしたら、いっそ、ずっとここにいらしては?  殿下には、わたくしから『フェリクス様は堕落の道を選ばれました』と報告しておきますから」

冗談めかして笑うと、フェリクス様はふっと表情を和らげ、私を見つめた。


「本気で誘っているのか? ならば、本当にそうしてしまいそうで怖いな」

あまりに真剣な声音に一瞬言葉を失う。


(急になにー?堕落生活が身についちゃった?)


私は逃げるように視線を外して話を逸らした。

「冗談ですよ。お身体が良くなられたらそろそろ殿下のもとにお帰りにならないとでしょう。殿下はきっとものすごく心配されているでしょう。ここにいることを知ったら、わたくしがフェリクス様をたぶらかしたとお叱りを受けてしまうでしょうね」


「そう、だな。エルヴィンには心配をかけていると思う。だが、ここで君と過ごす時間は不思議と、自分自身でいられる気がするんだ。不謹慎だとは思うが、エルヴィンの隣にいる間、私は常に完璧な側近でありたいと…そう見えるようにふるまっていた。だけど、どこかで無理をしていたのかもしれない。今は君といる時間が楽しくて、君の傍にいると、とても温かい気持ちになれる」


そういうとフェリクス様がそっと手を伸ばし、私の頬に触れた。

指先の熱が伝わってきて、心臓がうるさいくらいに跳ねる。

まって!こんなシチュエーション、無理よう!

前世も今世も男性に縁がないせいか妙にドキドキしてしまう


「……フェリクス、様?」

「アイリーン嬢。君が自由になったのなら、私は……」

彼が何かを言いかけたその時、カサリと背後の茂みから、あからさまに殺気の混じった不穏な音が響いた。

視線を移すと庭園の陰から影の中からアベルが音もなく現れた。


(やっぱりアベルか)


過保護ちゃんだから、陰にずっといたのねぇ。

っていうか、今のやり取りずっと見てたのか、妙に恥ずい!


アベルは無言のまま私の頬に伸びていたフェリクスの手を冷徹に遮断し、私を隠すように立ちはだかった。

その表情は氷壁のようで、何も言わないが圧がすごい。


「アベル、どうしたの?フェリクス様は私に危害なんて加えないわよ」

思わず口を挟むと、フェリクスは「手厳しい護衛ですね」と苦笑しつつ、アベルを真っ向から見据えた。

「もう!そんな睨んでどうしたの?フェリクス様、本当にごめんなさいね」

そういうも、なんだか二人の間に見えない火花が飛び散っていて……マジ怖いんですが?


よし、引き離そう!


「フェリクス様、うちの護衛がごめんなさいね。アベル、部屋に戻るわ。」

そういうと、これ見よがしにアベルは無言で私を抱きかかえ、踵を返して歩き出した。


「アイリーン嬢。先ほどの言葉、忘れないでほしい」

その瞬間、一歩前にでてフェリクス様が私の耳元で低く囁いた。

それだけ伝えると、彼は鍛練に戻っていった。


****

引きはがし作戦が上手くいってアベルと二人きりになったから廊下で忠犬にお説教をかます。

なんだかわかんないけどあんな態度は人としてどうかと思うのよ、ぷんぷん!


「アベル、お客様にあんな態度ダメじゃないの!」


だが、アベルの重苦しい視線が私に突き刺さる。


「わ、わかってるわ!ちょろいって思ってるんでしょ。でもあれは違うからね。彼はエリーゼが好きなんだし、助けてくれたお礼が重い感じなだけよ。意味なんてないの!」


「…御意」


アベルはそう短く答えると黙りこくってしまった。

けれど、静まり返った廊下で、珍しく彼が低い声で口を開いた。


「お嬢様は、少々無防備が過ぎます。……私がずっとそばでお守りしますのでよそ見はしないでください」


っ忠犬が過ぎる!


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