フェリクスを堕落への道に誘うわよ
昨日投稿しようとしたけど、例のログイン問題にはまりました(;▽;)
今日は2話投稿予定です
あれから、私は黒装束の者たちについて身元の割り出しから手がかりがつかめないかと思いアベルに指示をだし、同時に、宰相の真意を探るべくハンナを通して情報収集に動くことにした。
アベルは危険なことに首を突っ込みそうな、(いやもう突っ込んでるか…)な私に不満げだが忠犬なので最終的には「御意」と了承してくれた。
ハンナちゃんも、表面上は通常業務の顔をして動いてくれているけれど、心の中では「また厄介事を…」と思っているに違いない。
でも、できる侍女なので任せておけばいいかな。
世間にも、宰相にも、二人をここで匿っていることは当然内密にしている。
いま連れ戻しに来られても困るし、何より行方不明となった自分の子供たちに対して「父親として」どう動くのかを見極めたかったからね。
ということで、二人がここにいることは極秘ということに。
フェリクスが「エルヴィンが心配する」なーんて寝言をほざいたが。
ははん、そんなの知ったこっちゃないね。
エルヴィンはきっとエリーゼのことで精一杯だわよ、
…とは言わずに「お怪我の原因を言えないと思うので、まずは治療に専念してください」で押し切ったよ。
魔石の件は一旦保留。
フェリクスにもまだ言えていない。
だって、現状どう説明していいかさっぱりわかんないんだもん。
とりあえず、今の私ができるのはここまでかなー。
フェリクスもクリスティナも温泉につかったり、優雅なお茶の時間を楽しんでもらったり、まさに“療養”しているので日々元気を取り戻しつつある。
特にクリスティナは念願のロマンス小説にどっぷりはまっており、
おかげで、私だけじゃなくハンナやメイドたちとも胸熱な読書感想会が日々広げられている。
一方、フェリクスといえば、怪我が治りきってもいないのに鍛錬を始めていた。
しかも、なんだか鬼気迫る執念を感じる。
やっぱり、未熟な自分を恥じて、強くならなきゃと焦っているのかしら。
放っておいても、将来は魔王討伐メンバーに選ばれるくらい強くなるというのに。
……いや、まって。
これ以上強くなられたら断罪される側の私が困る!
仕方がない、ここはひとつ堕落への道に誘ってしまおう。
ということで私が提案したのは、別荘の庭園でのティータイムだった。
「まぁなんて綺麗なお花でしょう」
もちろん、クリスティナも一緒だよん。彼女は色とりどりの薔薇を眺めて微笑んだ。
フェリクスと二人きりなんて、気まずくて間が持たないもん。
「ほら、クリスティナ様。あちらの噴水には珍しい青い鳥が来ることもありますのよ」
「本当ですか!? 見てみたいです!」
お喋りに花を咲かせ、お互いの好物を教え合う。なんて素敵な時間!
おほほほ、念願の女子友達ができたわー。
はぁ、こうやってクリスティナと仲良くなればなるほど思う。
彼女はやっぱり最高に可愛らしい。こんなに愛らしい子がモブ死扱いだなんて原作の設定はどうかしてるわ。
大丈夫よ、私が守ってあげるからね。
私はとっておきのスイーツをテーブルに用意させておいた
「これは、料理長に言って特別に作らせたフルーツタルトですわ。甘いものは精神の安定に一番なんですのよ。さあ、フェリクス様もぜひ召し上がってくださいませ」
「ああ、いただく」
フェリクス様は慣れた手つきでナイフを入れ、一口食べたとたん彼は目を見開いてフリーズした。
「……甘さ控えめだがフルーツの酸味が良いアクセントになっているな」
「でしょ?たしかフェリクス様は甘いものが苦手でしたわよね。これなら召し上がりやすいかと。糖分を摂れば心も落ち着きますわ。あまり難しく考えず今は羽を休めてくださいまし」
よしよし、作戦通りね。
こうやって美味しいもので胃袋を掴み、温泉や読書でだらだらとした時間を過ごしてもらえば、鍛錬なんて放り出すに違いない。
こうやって少しでも私に好印象を持たせて、さらにこれ以上強くならないようにコントロールするのよ、ほほっ。
私たちは三人で穏やかなティータイムを堪能していた。
それは、原作で彼らが歩むはずだった、血塗られた運命とは程遠い穏やかで温かな時間だった。
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