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逃げ切った…はずだよね

あれから、お父様に学園に忘れものをとりに行った際、クリスティナ嬢がさらわれそうになったところに“偶然”遭遇してアベルに捕まえてもらった、なーんて嘘を交えながら報告をしておいた。


お父様は若干頭を抱えていたが『偶然』遭遇したのだから仕方ない。


(万引きの話はできないしねー。そんで全部が嘘ではないしね)


警邏がその後状況について聞きに屋敷に来たが、アベルの姿を見るなり「あれだけに人数を一人で取り押さえた」という話に納得して帰っていった。

大事にはならなそうでよかったわー。


学園を訪れた件も、王妃やエルヴィンの耳には入っていない様子で、思ったより穏やかに日々は過ぎていった。


(フェリクスは私のことエルヴィンやエリーゼには言わなかったのかしら?まあ、クリスティナの醜聞が絡んでくるから、公にはしづらいわよね)


そうして、少しだけ警戒しつつも無事に療養先へ移動完了。

重たい雰囲気まみれの社交も、王妃の横やりも、エルヴィンとエリーゼの噂も、すべてが遠ざかる。


(やった……逃げ切ったわ……)


別荘について馬車から立ち降りた瞬間、

大きなつばのついた帽子と身バレ防止のために念のため掛けている色付き眼鏡。

白のワンピースをはためかせながら仁王立ちする私は「フフ…ッ、フハハハハハハ!!」と高笑いが止まらなかった。


それを使用人たちは見て見ぬふりをしながら、手際よく荷物を運び込んでいった。

よくできた使用人たちである。


だけど運んでいる荷物の中に、例の小箱が視界に入った瞬間、私はすっと目を逸らした。


(見ない見ない、私は何も見てない)


そう、問題があるとすれば、あの怪しい魔石をどうすればいいかわからないまま、結局別荘までもってきてしまったことだけだ。


触るのも怖い、だけど、放置するのも不安。


せっかくの療養というエンジョイライフなのに、小箱の存在だけが私の心に妙に重く心にのしかかっていた。



ここまでで第1章終了です。お付き合いいただきありがとうございます。

この後、療養先でさらにアイリーンとアベルが活躍していきますよー。引続きお付き合いください。


【作者からのお願い】

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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