9. 小さな事件
キリキリと音を立てて頭の中の歯車は回る。回り続ける。
「やあみんな、作業は順調ですか?」
大部屋の入り口から朗らかな声があり、神父様、とみんなが一斉に顔を上げた。
ラセルも作業する手を止めた。お祈りのあと、今日はみんなでそれぞれ分担して教会の掃除と、掃除を終えてから飾り付ける青い花飾りを作ることになっていた。朝から祝祭の準備に関わる町の人々が続々とやってきて忙しくしていた神父様は、その合間に子供たちの様子を見にきたようだった。
「たくさん作ってくれてありがとう。今日は朝早くからよく頑張ってくれましたね」
神父様はそう言って子供たちを労い、中でも年少の子たちの頭を優しく撫でる。今日は本当に早起きだったので、年少の子たちの面倒を見ながら一緒に手作業をしていたラセルもさすがに眠かった。
バタバタと走る足音が近づいてきて、誰かが勢いよく部屋に転がりこんできたのは、そのときだった。
「み、みんな! 神父様! 大変だ!」
アルドだった。
掃除をしていたはずのアルドは文字通り転がるような勢いで飛びこんできて、部屋にいる子供たちと神父様の顔をもどかしそうに見回した。
「い、一体どうしたんです? そんなに慌てて……」
神父様が驚きながら言葉をかけると、アルドは血相を変えて叫んだ。
「シエルとフィニアン兄ちゃんがいなくなってる……!」




