第八十一鈴 出来の悪い息子
響達は武術の国にてこの世界に残っている魔法使いの残党討伐を依頼されるのであった。
響達は空間スキルの魔法使いに息子の命を奪われた武術の国の王との戦いに勝ち対談の機会を得たのであった。
響がギュウ・格斬との戦いに勝ったその晩。響達は宮廷の宴会広場に招かれた。
「では改めて聞こうお前達は何者なんだ?」
「私達は空間スキルの魔法使い達を止める為に異世界を旅しているものです」
「空間スキル…それがこの世界に来た能力か?その力を見せてもらおうか」
「えっと…その力を持っている子がいるんですけど、実は今行方不明でして」
「今は、力は見せられないというのか」
「えっと…そうです」
響は自信なく答える。
「いいかギュウ、お前の息子リュウを倒したのは、空間スキルの魔法使いチー・スミスというやつだ。俺の世界もそいつに襲われた」
「ほう、ではお前達は我が息子の力を手にかけた魔法使いと戦ったということか?」
「そうだ。俺が倒してやったぜ」
「なに?あの打撃のスキルを倒しただと?」
「ああ、そうだ。俺もスーツ化スキルの保有者だからな」
「よく分からん力だな」
「なんだと!」
のなかは少し怒り気味に言う。
「話をまとめよう…お前達はこの世界に空間スキルの魔法使いを倒しに来たと言うのだな」
「そうだ」
「そしてわしの息子を殺した奴とは違う勢力であると」
「その通りだ!」
「だが…お前達がどのように世界を渡って来たかが分からんとお前達もあの魔法使いの残党と同じになるな」
「魔法使いの残党?」
「そうだ。異世界から来た空間スキルの魔法使い。そいつらの残党がこの世界いる」
「どう言うことですか?」
「この山脈を超えた平地に息子を襲ったフードの集団がいたと言う報告をもらっている。だが、山の平地近くは武魔という獣がいて我々も簡単に見にいくことができないんじゃ」
「ブーマ?あ、なんかおじいさんが言ってたけど、あのオオカミ男のことなんだね」
「お前達にその魔法使いの残党の討伐を願いしたい。その討伐がされるのであれば、我々はお前達を敵勢力ではないと認めよう」
「厄介払いということか?」
「こらのなか!でも私達は空間スキルの魔法使いを探しているんだし。一石二鳥じゃない?」
「そうかもな」
「おい、ギュウ。その話受けて立つ。だがな俺達が魔法使いを倒したって証拠はどうやって確かめるんだ?」
「わしの息子を連れて行け!おい!ナンジ!出でこい!」
ギュウは部屋の奥から人を呼んだ。
「っち!うっせーよ親父」
「態度の悪い息子だ。リュウと違ってお前は本当に出来が悪い」
「おい親父!それ息子に直接いうんじゃねぇっつーの!
「お前には何も期待していない。格斬家由来の流派流気術を身につけなかったお前はこの家に必要ない。怪しい奴の監視役が丁度いいだろ」
「あ!?俺がこいつらの監視役か?ふざけんじゃねぇっつーの!」
ギュウとナンジは喧嘩が始まった。
「な、なんだ?親子喧嘩か?」
「そうみたい…」
響とのなかはそれを観て呆然としている。
「ナンジ、お前はここでの役目はない。この宮廷の恥だ。王の座も収めないものとして国の為に貢献しろ。それがお前の役目だ」
「くっそー!このクソ親父!こんな派手な色したねぇちゃんに負けてるつーのに!」
「え?もしかして今私バカにされた?」
「もしかするとそうかもしれないな」
「わかったよ!俺がコイツらを監視してやるっーの!なんだったら魔法使いの残党の目撃された場所まで連れて行ってやるっつーの!」
「お前に選択肢はない。ナンジ。お前自身の命をこの国に捧げろ」
ナンジという少年は響達の元に歩いてくる。
「異世界人!お前達の監視役、ナンジだ。そいつの言うことを必ず守れ。そうしなければ我々はお前達を信用しない」
「ナンジだ。よろしく頼むっつーの。正直クソ親父の言い草には腹を立てているが俺はここで居場所がない。お前達を魔法使いの残党狩りに連れていく」
「のなかだ。よろしくなナンジ」
「響です。ナンジくんよろしくね」
「っち!気安く話しかけんなっつーの」
「なんだろうのなかこの子すっごく可愛くないね」
「ああ、クソガキの具現化した姿そのものだな」
響とのなかはナンジの指示に従いながら、魔法使いの残党の元へ向かうことになった。
◇
その日響とのなかはナンジの部屋で就寝することになった。
「ナンジさんはお父さんと仲良くないの?」
「ああ?父親の話出すんじゃねぇっつーの」
「ナンジさんちょっと口が悪いよ?」
「うっせーな。ねぇちゃん。こっちとら親父に強制的に除け者にされてイライラしてんだっつーの」
「打撃のスキルのせいか?」
ナンジはその言葉を聞いて動きが止まる。
「打撃のスキル…どんな相手も一撃で倒す最強の能力…そんなの持ってたら周囲の人態度は全員変わっちまうよな」
「お前の兄貴のスキル、打撃のスキルは今、空間スキルの魔法使いが奪っている。俺達はそいつと戦った」
「そうなのか?じゃあお前達が兄貴のスキルを持っているのか?」
「いや、結局その後、逃げられちまってな。ずっと追いかけているところなんだ」
「やっぱ、使えねぇ奴らだっつーの」
「ねぇ、ナンジさん。人のこと悪くいうの良くないよ?友達とかに注意されないの?」
「友達なんていねぇよ。この王国の息子ならどこ行っても一般人にはなれねぇ。だから俺は自由に生きてぇんだっつーの」
「そうなんだね」
「とにかく、明日の朝お前達を連れて魔法使いの残党がいると言われている森に向かう。今日はもう寝ろ」
「わかった。のなか。俺達も寝るっつーの」
「のなか、こんなことになっちゃってごめんね…モサちゃん探すのはちょっと時間かかっちゃう」
「響、こればっかりは仕方ない。俺達はそういうふうに見られて当然の存在だってことだ。モサ子ならきっと大丈夫だろ」
響とのなかはナンジの部屋で就寝についた。
◇
次の日、どんよりとした曇り雲が空一面を覆っていた。響とのなかとナンジそして村の入り口に大量の兵が響達を見送りにきた。
「ではナンジ、異世界人を連れて、魔法使いの残党どもを倒してこい」
「わーってるっつーのクソ親父」
「いいな異世界人。お前達は監視されている。逃げようものならナンジから連絡を受け我が兵がお前達を処罰する」
「まあ、前回戦った感じ余裕そうだがな」
「こら。のなか!」
響はのなかをどつく。
「分かりました。私達が魔法使いの残党を倒します。そしてこの国が平和になることをナンジさんを通して証明して見せます」
響達は村を後にするのであった。
◇
響達が村の門出で森に出ると1人のフードを被った女の人がいた。
「お前さん達…魔法使いの残党を倒しにいくのかい?」
「え?あ、はい。そうですけど?」
「もしよかったら、私に手相を見せてもらえないか?この先の旅の占いをしてやろう…」
「え?占い?」
「おい、響!怪しくないか?」
「私のスキルの音もなって無いし大丈夫だよ」
響は手を出してみた。
「左手で大丈夫ですか?お願いします」
女性は響の手を観てゆっくりと握りしめる。
「え?」
「流気術:波止耳石!」
「母さん!?」
ナンジはそう言ってフードから見えるの女性の顔が自分の母親であったことに気づく。
ーーーチリン!
響のスキルが発動した。
しかし響の体の中には何の害がなく響には何にもノーツが見えない。
「あ…」
響は声を発する。
「あーあー…」
「おい?響…?」
「おい、ねぇちゃん?」
「なっ!てめぇ!!!響に何をした!?」
「リュウを殺した異世界人め、お前の気の流れを確認してもらった。お前は耳で攻撃を把握していたな。息子の仇だ。お前の聴覚を止めさせてもらったぞ!!」
「あ…」
「何だと?大丈夫か?響?」
のなかが響に声をかける。
「あーーーー!!!!!」
響は声を大きく出す。少しでも自分の声が耳から聞こえないか確認したかったのだ。
「あーーーー!!!!」
耳が遠くなっている。そんな感覚であった。響の世界に無音が続く。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!!!」
響はパニックになり叫び続けるのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
新キャラのナンジと言うキャラが登場します。このキャラはクソガキを具現化した性格の悪いキャラクターです。
現在モサ子いない為、この3人での冒険が始まります。
次回トラウマ回です。どうぞお楽しみください!




