第七十七鈴 残された未来
ルミリによって惑星909での爆発の原因であるトアの存在が判明された。響達一行はこの惑星に残されたルミリ達に異世界への冒険へ行かないか尋ねるのであった。
響達一行はルミリからこの世界で起きた爆発の真相を聞いた。
「彼は全てを破壊するスキル保有者。自身を爆発落ちのスキルと言ってたわ」
「爆発落ちなんてサイテー!」
「世界の循環を行う者。自分の力によってこの惑星のバランスを保っていると」
「それはそいつのエゴでしかない」
「そのトアって人の気分によって私達の人生が左右されるなんて酷い話だよ」
「全くです」
「私は彼を止めるべく頑丈なカプセルを作り彼を捕まえようとしていたわ。しかし作戦は失敗に終わり、罠に気づいたトアが私をカプセルに閉じ込めて爆発を起こしてしまいました。ラズべザンダーの言う通り彼を復活させてしまったのは私の責任です。彼のスキル保有者ということ。そのことに自信がありませんでした。しかし今回姉の記録、そしてラズべザンダーの記憶を確認して確信ができたわ。みなさまこんなにもここまで協力していたただきありがとございます」
「ルミリさん…」
「じゃあ、ルミリはこの後どうするんだ?」
「私…ですか…」
「私達と一緒に異世界の冒険に出る?」
「異世界…まだ知らない未知の領域…生物の研究としてはとても魅力的な場所ですね」
「まぁ、へんな敵と戦うからそう思えるのはいいことだ」
「響さんせっかくの誘いですが、申し訳ございません。私はこの世界に残るわ。パラダイスの方々はもういなくなってしまいましたが、私にはまだ研究していた生物達の自然環境への適応を観察する義務があります」
「たしかにそうだね。ラズべザンダーもルミリと心を通わせてくれるかもしれないしね」
「そのお話ですが、ちょっと宜しいですか?」
タモが話に入ってきた。
「モサ子さんとラズベザンダーの会話を聞く限り瞳の輝きを通して脳に直接話しているそんな様子を確認しました。もし可能でしたらモサ子さんを少し調べさせてもらってもいいですか?ドラゴンと会話ができる装置ができるかもしれません」
「おお!すごい!タモさん!」
「タモさん本当ですか!?もしあれば助かるわ!」
「いえ、皆さんのお役に立てることであればなんでもやらせていただきます!モサ子さんミドルロケットのコックピットに来ていただけますか?」
「はーい!」
モサ子はミドルロケットに乗り込んだ。
「そしたら、俺たちの役目はここまでか」
「そうだね、のなか。ルアナさんのスキルを奪った魔法使いがこの世界から逃げたとなるとここで俺達の冒険は終わりだね」
「スキル保有者である3人のおかげだわ。ここまでありがとうございます」
ルミリが深々とお辞儀をする。
ドドドドドドドド…
そこに地響きがなる。
「なんだこれ?」
ザザザザザザザザザ…
「嘘でしょ」
洞窟の中のマスクローチ、そしてサソリのジールの大群が響達を囲んできていた。
「そう言えばラズベザンダーがここの生物達はスキル保有者の反応にトラウマのレベルの恐怖を持ってるって言っていたな。こいつらは特に敵対意識が強いんだろうよ」
「さぁ、どうしようかのなか。モサちゃんの一口で簡単に片付くけど。タモさんの邪魔はしなくてないもんね」
「その通りだ!」
「決まりだね!じゃあ一気に片付けるよ!」
ーーーチリン
響はスキルを発動してマスクローチを弾き飛ばしていく。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
「俺もいくぜ!!MPSマーク 28 剣神改全てを切り刻む!」
ガチャンガチャン!
のなかはストックとして運んでいたスーツに着替えてサソリのジールに向かっていく。
ザンッ!ガキンッ!ザッ!
サソリのジールの攻撃は硬いがMPSも耐久性は負けていない。
「おりゃ!」
のなかはサソリの腕のハサミ部分の関節を切り落とす。
ブンッ!
しかしシッポで吹き飛ばされていく。
「くっ!やるじゃねぇか!」
サソリの針のついた尻尾がのなかを襲う。
ダンッ!
ギリギリのところで響がサソリを吹き飛ばした。
「油断しないでね、のなか!」
「言われなくても!」
響とのなかが戦うなか、ルミリは槍でマスクローチと戦っていた。
「くっ!この数!生かしておきたいけど!ごめんなさい!」
ルミリにとって生物を殺めることは心苦しかった。
「響さんものなかさんもこんなに戦ってくれている…でも、私のレベルはこんなもの…三人がいなくなったらこうやって戦える戦力も何もなくなってしまう」
ルミリは自分の無力感を感じていた。
この旅も響達スキル保有者がいたおかげで進んでこれたが、それもここまでとなった今、ルミリが生物達と戦える戦力は何もなかった。
「…私も異世界に行くべき…?」
ルミリは一瞬悩み始めた。姉が守ってくれたこの世界。そしてタモをパラダイス復興の為に生かしていたことを知った今も、自分の無力差に嫌気が刺してしまった。
「ルアナ姉さん…私諦めたくない」
「ルミリさん!できました!」
その時ミドルロケットからタモの声が聞こえた!
「タモさん?」
「ルミリさん試作ですが!できました!ドラゴンとの通信デバイス!『ドラゴンアイズ』です!」
タモはペンダント型のデバイスをルミリに渡した。
「こ、これが…!?でもどうやって!?」
「ラズべザンダーを呼んでみてください!きっと答えてくれます!」
「わ、わかったわ!」
ルミリはペンダントを握りしめてラズベザンダーを思いそして叫ぶ。
「ラズべザンダー!私に答えて!」
ピカッーー!!
ペンダントは光を放ちその光に反応して地面に倒れていたラズベザンダーは空高く舞い上がるのであった。
グオオ!!「ルミリの声がはっきりと聞こえる。まさかこんなことが本当に起きるとはな」
「ラズべザンダー。以前の私の行いを許していないかもしれない。しかし私は今あなた達と共に生きていきたいと強く願っています」
グオオ!!「そんなこと知っているわ!話せるようになると嬉しいな!わしも力を貸すとしよう!」
ラズべザンダーはルミリの近くに舞い降りる。
「おい、響あれ見ろよ」
「え、あれって…」
のなかと響はルミリの後ろに舞い降りたドラゴンの羽がルミリと重なったシルエットの見た目が遺跡で見た天使の絵にそっくりであった。
「響みろよ、ルミリはこの世界を救う救世主なのかもな」
「うん、きっとそう。誰にも負けない強い人だもん!」
ルミリはラズベザンダーに乗り周りのサソリのジール、マスクローチに火炎放射を浴びさせてた。
グオオオ!!
ラズべザンダーは咆哮をして威嚇をする。
「皆さん。落ち着いて聞いてください。私は生物との共存を願ってるわ。今のこの戦いは無意味でしかありません。一緒にこの惑星での生存の道を考えていましょう!!!」
ルミリは生物達に声をかける。
「ルミリさん…」
タモはそんなルミリの後ろ姿がルアナ戦士長にそっくりであることに気づく。
「ルミリさん私はあなたについていきます」
タモはそう言ってゆっくり歩き出した。
ザザザザザザザザザ…
響達を襲った生物は一斉に逃げ帰っていった。
「結局ルミリの声はあの生物達に届いたのかな?」
「いえ、届いてないでしょう。でもラズベザンダーの咆哮はその意味も含めて叫んでくれたんだと思ってます」
グオオ!!
「そうなんだ。さすがだねラズベザンダー」
響はラズベザンダーに微笑む。
「ルミリ、ラズベザンダーとの会話はまだ続けられるか?」
「え、あ、はい。大丈夫そうよ」
のなかはドラゴンアイズというデバイスの機能を確認する。
「じゃあ、俺たちが去った後も問題はなさそうだな」
「あ、そっか。ラズべザンダーがルミリ達を守ってくれるんだね!」
「ああ、そうだ。それにそのデバイスを思いつきで作ったタモもいるだろ?」
「ぼ、僕ですか!?僕なんかで大丈夫でしょうか?」
「タモさん、あなたは響さんと異世界へ渡るかしら?」
ルミリはタモに質問した。
「いえ、ルミリさん。僕はこの世界に残ります。ルアナ戦士長に残されたこの命。僕はあなたと一緒にこの世界を築いていきます!」
「タモさん!」
「よく言った!タモ!よし。数日だったらお前のミドルロケットのカスタムに時間をかけてやろう!」
「のなかってば、そう言って自分のスーツのカスタムの参考にしようとしてるんでしょ?」
「まぁな。俺もいつ宇宙に出るか分からないからな」
「確かにね!」
「そしたらね、私はラズべザンダーといっぱいお話したいな!」
「えっと私はモサ子さんの体を時間のある限り調べさせていただきたいわ!」
「もうみんな自由だな。じゃあみんな好きなことやって気が済んだら旅立とうか」
響は呆れるように言いながらこの世界ももう一度振り返る。
「人と話せるドラゴン。少し見た目は違うけど天空の王国のケセパサさん達。もしかすると異世界のゲートを通じて生物は世界を渡ってるのかもしれない」
響達は思い思いの時間を過ごした。
タモは水力発電を作り燃料問題を解決した。また自身のミドルロケットを地上専用にカスタマイズしてこの世界で生きる生物達との共存ができる村作りを始めたのであった。
ルミリはドラゴンアイズでのラズベザンダーとの会話を行い。次第にデバイスがなくても会話ができるまでになっていた。
また他の生物とのコミュニケーションも次第にできるようになっていった。
◇
一週間後、
「響さん達のおかげでここまできました。ありがとうございます」
「いや、私たちもここまですごくなるとは思わなかったよ」
「ああ、タモ。お前のミドルロケットは最高だ。今後ともルミリの為に頑張ってくれよ!」
「のなかさんが手伝ってくれたおかげです。ありがとうございます。のなかさん!」
タモはのなかに頭を下げる。
「ラズべザンダーもまたね!ルミリ!いつもふみふみしてくれてありがとね!」
モサ子はラズべザンダーとルミリに手を振る
「ああ、モサ子さん。とてももちもちで天使のような存在でした。もっと研究がしたかった…」
「また会おうよ!」
「そうね!また会える日まで!」
「ところで皆さん。タモと私でこんなものを作りました」
タモとルミリは見開き型のタブレットを渡した。
「なんですか?これ?」
「これは私がまとめた生物図鑑です」
「生物図鑑?」
「響さん達の話を聞く限り、異世界に行って繁殖した生物や異世界から来た生物もいたことが分かりました。現状で私が見た生物の全てのデータを載せています。その習性や弱点、注意点など書いております。私の今後の皆さんの冒険に役立つか分かりませんがどうぞご活用下さい」
「ルミリさん…ありがとう!こんなすごいもの!絶対に冒険の時に助かるよ!」
「まぁ、響はずっとノーツを叩いて終わるがな」
「ちょっとのなか!」
「俺には必要だぜ?しっかりと相手と戦うからな!」
「なんか、強くないことを自信満々に言ってる気がするよ?」
「のなかよわーい!」
「うるさいぞ!モサ子!」
「わーー!!」
のなかとモサ子は走り回る。
それを見てルミリとタモは微笑むように笑えのであった。
「本当にありがとございます。ルミリさん、タモさん。お二人の今後の活躍応援してます!」
「ありがとう響さん!」
「じゃあな!タモ元気でな!」
「ルミリまたね!」
ーーーチリン!
モサ子の鈴が鳴りモサ子はモササウルスに変身した。
パクッ!
そして響、のなかを口に入れて異世界のゲートを潜っていく。
「行ってしまいましたねルミリさん」
「そうですね、すこし寂しくなりますね」
ビービービービービー!
突然ミドルロケットのアラームがなる。
「え!なんでしょうかこのアラーム!大気圏に未確認の飛行体が…!?」
タモはモニターを確認して上空を見上げる。
「え!?あれって!?」
「宇宙船パラダイス!?」
上空に浮かび地上に着陸を心がける船があった。
天界世紀100年。宇宙船パラダイスの試作船として黙秘に作成された船があった。ルミリ達がいた惑星の地上にいた人々はみなパラダイス2に乗っていたとされていたが、残された人々は試作船のパラダイスによって惑星909へきたのであった。
「電波は受信はしていたが、返事は返していなかった。お前達が生きてるなんて知らなかったからかな」
「ラズべザンダー、そういうのは早く言って!」
怒るルミリに対してタモは感動していた。
「ルミリさん。僕たちにはまだ希望があります」
「タモさん。ここからが本番のようね」
ルミリとタモの物語は始まったばかりである。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
惑星調査編メインストーリー完結です。今作は惑星の爆発の原因を調査するという形でさまざまな生物を登場させて異世界でであった生物達が他の世界にも行ってしまった可能性があるという設定を作りました。主人公たちの心情やストーリーとしての大きな変化がなく並行的な形で終わってしまったところが個人的に惜しく感じてます。
次回、この世界にお尋ね者達がきます。どうぞ次回もお楽しみください。




