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第七十ニ鈴 不合理のスキル

惑星909にて生存者を探す響達は手がかりがあると思われたパラダイス2にて人間の肉片を発見する。その夜、ルミリの姉のルアナの墓に寄ることになった響達はルミリの姉が惑星調査隊隊長であるルアナ戦士長であること知る。その戦士長と言われる強さ、彼女の力を付与された瞬間をルミリは話し始めた。

ルミリは幼い頃、内気な性格であり周りからからかわれていた。

その日も同じクラスの生徒がカエルで遊んでいるのを止めていじめの標的になってしまった。


「やだー!ルミリちゃんなんでカエルなんて触れるの!」


「こ、この子嫌がってる…やめてあげて」


幼いルミリは気弱であったが行動力はあった。しかし集団に立ち向かう勇気は無かった。


「ベトベトしててきもち悪いー!ちょっとあっちいってよ!」


「ルミリちゃん変なの!」


ルミリはクラスの友達に囲まれて悪口を言われ続けていた。


ドン!


一人の少女が、ルミリをいじめをする子の一人を蹴り飛ばす。


「ルミリをいじめる奴は私が絶対に許さない!」


その少女はルミリの姉ルアナ出会った。彼女はそう言って意地悪をしてくる生徒に立ち向かう。



「姉は小さい頃から私を守る勇敢な戦士だった」



◇



澄み渡った空の中視界を埋め尽くしそうな程大きな宇宙船が惑星909の空を埋め尽くす。


天界世紀110年、パラダイス2が惑星909へ着陸した。


プシュー!!


宇宙船パラダイス2のゲートが開く。


「ようこそ惑星909へ!よくきてくれました!」


「パラダイス2の方々到着を待ってました!」


惑星909へ先に着陸していたパラダイス1の人々はパラダイス2の人々を待ち焦がれていた。


「ルミリさんついに来ましたね」


「えぇ、私の生物研究がこの惑星でうまくいくことを願うわ」


ルミリは生物研究員として惑星909に到着した。


「みんなこれで安心ね」


ルミリは人類が生息できる新たな惑星に到着して安心していた。

宇宙船という閉鎖的空間で生物を研究するリスクがどれほど危険であるか知っていたからだ。


「私の研究してた子達も羽を伸ばせるみたいで喜んでいるわ」


ルミリは興奮気味に話していた。


「ルミリさんずっと生物のことばかり…人間には興味ないんですか?」


「もちろんあるわ!私の姉がここにいるの!戦士になってから私は姉に会えてなかったから会えるのが本当に楽しみだわ!」


ルミリは迎えに来ているパラダイス1の人々の中から姉を探す。

しかし姉はどこにも見当たらない。


「戦士って…ルミリのお姉さんってもしかして…ルアナ戦士長ですか?」


「そうよ、知らなかった?」


「いや、教えてくださいよ!彼女無しじゃこの惑星調査は出来なかったと言われているんですよ!」


「ふふ!それが姉の特殊能力の力だとしても妹としてとても誇らしいわ!」


ルミリは研究員達とパラダイス2を降りる。


「すいません、ルミリさんですか?」


突然パラダイス1の警備兵にルミリは呼び止められた。


「はい、何でしょう?私の生物達の様子を見たいから、手短にお願いね?」


「実はルアナ戦士長が先住民によって殺されました」


警備兵の一言はその後のルミリの行動を大きく変えてしまったのであった。


それから数日間ルミリは部屋に引きこもってしまっていた。


「ルミリさん、今日も部屋から出てこないね」


「あの戦士長が亡くなったって話だ。一人にさせてやろう」


ルミリの部屋の前を他の研究員が通っていく。その声はルミリにもしっかりと聞こえていた。


「姉が亡くなったからって…私は今までと変わらないのに…でもなんで…どうして!」


ルミリは涙が止まらなかった。

ルミリとルアナは2歳差の姉妹であった。


「あなたは私を守るって約束してたじゃない」


賢いルミリに対してルアナは脳筋でなんでも力で解決しようとする。

ルミリは姉の覚醒した時の記憶を蘇らせていた。



◇



学生時代、ルアナは不良生徒に絡まれていたルミリを助けていた。


「おい、そこのゴミクズども!妹に手出だしすんだったら駄々じゃすまないよ!」


ルアナは腕を組みルミリの前に立つ。


「お?なんだ?やんのかよネェちゃん!」


「そもそもその変なトカゲがここに来たのが悪いんだろ!?」


「この子はラズベザンダー、ドラゴンの子なの!地上の光に興奮して暴れてしまったのは悪かったわ。でもあなた達が彼女を傷つけていい理由にはならない!」


ルミリが実験していた生物が誤って外に逃げてしまい暴れてしまった。その報復として不良生徒はそのドラゴンを囲み傷みつけていたのであった。


「おい、俺たちが悪いってか?こいつ俺たち相手に喧嘩売ってやがるぜ!」


ルアナは迫り来る不良生徒を睨みつける。


「よくもまあ!そんなこと言えたよな!」


長身な不良生徒は巨人のようにルアナを見下ろす。


「今から謝ってもっぼぶ!」


ルアナは不良の顔面に鉄のアクセサリーのついた鞄をぶつける。


「ってめぇ!やりやがったな!ごふっ!」


次にでできた不良生徒の股間を蹴り飛ばす。


ゴスッ!


「くっ!」


しかし反対側から不良生徒に殴りにかかった拳にルアナは直撃を喰らう。


「ってめぇ!おんなだからって手加減すると思うなよ!」


どんっ!


ルアナは大きく地面を踏み込む。


「私は!!ルミリを怖がらせた貴方達を絶対に許さない!!」


ルアナは不良生徒を殴り一撃を喰らわす。


「だったらお前達二人ともそのトカゲと一緒に仲良く殴り倒してやるよ!」


不良生徒はルアナの手を掴み、手が出せない状態でルミリに向かって腕を振り上げる。


「私の妹に…」


無力。


制限された力の上では本当に守りたい相手を守れない。


無力。


今の自分ではルミリを守ることもできない。


ルアナはルミリに向かう汚い拳をしっかりと目に書きつけた。


「私の妹に触るなーーーーーー!!!!」


ーーーチリン


雨が降ってきたようだった。


一雫の大きな光の塊。


その塊はポツンと音を立ててルアナの左耳に雫型のイヤリングに変わる。


ドンッ!!!!


ルアナを中心に衝撃波が巻き起こる。


「な、なんだ!?…何が起きたんだ…」


不良達は違和感を感じるが何が変わったのかが分からない。


「てめぇ!なにをした!?」


「お前は重力にも耐えきれない。地面にくたばれクソガキ」


ーーーチリン!


ドンッ!!!


ルアナがそう言うと一人の不良生徒は頭をものすごい力で地面に叩きつけられたように土下座をさせられる。


「おいお前!何やってんだ!?」


「なんだよ!何やったんだよ!」


「言語を忘れろ。黙れカス」


ーーーチリン!


ルアナのその一言でルアナに声をかけた不良達は一切声が出せなくなった。


「おおおおい!こいつがどうなってもいいのか!!」


「お姉ちゃん!た、助けて!」


一人の不良生徒はルミリの髪を掴んで人質にしようとしていた。


すっ


ルアナは両手をあげて降参したように見せる。


「わかった分かった。あなたは私が倒してあげる」


そう言ってルアナはゆっくりと不良生徒に近づく。


「あなたはサンドバック、私に殴られる為に生まれてきたの」


ルアナは拳を突き上げ思いっきりルミリの髪を掴んでいる不良生徒を殴る。


ギュルルル…


ルアナの拳は筋肉質な一般女性の普通の拳であった。しかしその威力は彼女の想像以上の威力に変わり、不良生徒は空に飛んでいった。


『不合理のスキル』それは常識を非常識に変える能力。


「ルミリ、私はあなたを絶対守る。だからあなたは自信を持って生きていいのよ!」


ルアナはドラゴンの脱走の件で生物研究の道に自信をなくしていたルミリに助言をする。


「お姉ちゃん…」


ルミリに映る彼女は誰よりも頼もしく暖かいオーラで包まれていた。


生物への興味と自分への自信がなくなり前に進めなくなったルミリはその日生物研究の道に進むことを決めた。


天界世紀元年、政府はルアナの能力を高く評価し、以降人類の惑星移転計画『パラダイス計画』が開始した際。彼女を惑星調査隊隊長として戦士長の称号を与えたのであった。


天界世紀100年、惑星909の原生生物達はルアナ戦士長一人で討伐された。


もちろん惑星909の先住民は黙っていなかった。彼らはルアナ戦士長を倒すべく異能力を研究して彼女に挑んだ。


結果ルアナ戦士長は先住民に殺されてしまったのである。


ルミリは惑星909に着いてから悲しみを背負いながら生きてきたのであった。



◇



そして現在、ルアナ戦士長の墓を前にルミリは姉の話を終えた。


「そしてここにお墓が出来た。私はこの惑星に来てからよくここへ訪れて姉を近くに感じていました」


「そうなんですね。ルミリさん」


「一つ疑問だ。その不合理のスキルっていうのは今誰が保有者しているんだ?」


「スキルの保有者ですか?」


のなかは質問をする。


「そうだ不合理のスキル。常識を非常識に変える能力。今聞いただけでも恐ろしい力だ。それを誰が持っているかで生存者の確率も変わるんじゃないか?」


「言われてみればそうですが…スキル保有者はどうやって変わるんですか?」


「もしスキル保有者が殺されたのであればスキル保有者を殺した奴に力は移る」


「…先住民ですね」


「そうだな。そのルアナを殺した先住民が今不合理のスキルを持っているってことになる。ルミリは先住民はどこにいるか分かるか?」


「実は姉がいなくなってから全くもって姿を見せなくなってしまいまして」


「怪しいな。もし先住民が生きていればこの爆発も難なく生き延びている可能性もある」


「確かに!」


「ルミリは先住民達の情報は何か持っていないか?」


「残念ながら私は持っておりません。しかし、姉がよく訪れていた遺跡が近くにあると聞いてます。まだ残っていればいいのですが…」


「先住民に関しての何か情報があるはずだ。そこに行ってみようぜ!」


「のなか、ずいぶんやる気だね」


「不合理のスキル…そして消えた先住民どうも嫌な予感がするんだ」


「嫌な予感?」


「俺たちはスキル保有者を倒して力を増幅させていた奴らを知っている」


「それって…」


「ああ、響きの想像通りだ。可能な限り早めに見つけたい」


ルミリに案内されて響達一行はルアナがよく訪れていた先住民の遺跡に向かうのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

惑星調査編の真実編へ入りました。ここからは毎話どんどん過去の出来事が判明していきます。

ルアナ戦士長は全てを拳で解決する強気な姉さんです。そんな人にスキルがつくのは怖い話ですね。

『不合理のスキル』は最強のスキルです。戦闘相手に一つだけ自由に設定を付け加えることができます。

相手はその設定の下戦いを余儀されます。スキル蓄積ができるモサ子でさえも使い方によっては負けてしまいます。今はそのスキルが誰に渡っているか不明です。『不合理のスキル』はこの惑星の地上を焼き払った爆発とは何か関係あるのでしょうか。

次回先住民の遺跡に向かいます。どうぞお楽しみください。

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