第六十一鈴 戦いの高揚感
あらゆる敵も一撃で倒すタイムリープのスキル保有者:勇者ハリオは響達からの戦いを勝ち進みついに魔王城で魔王を毒で討伐するも響によって解毒されていた。再び立ち上がる魔王との最終決戦が始まる。
毒から復活した魔王はゆっくりとハリオに向かう。
「ハリオ、これで終わりにするぞ!」
魔王の大剣が振り下ろされハリオと魔王の戦いは再び始まる。
シュン!ガキン!
魔王の一撃をハリオはレンガで受け止め、そのまま宙に舞う。
タッ!
魔王の剣に乗ったハリオはそのまま魔王の顔面に殴りかかる。
「ふん!」
ドンッ!
それを魔王は頭突きで弾き飛ばす。
ドスッ!
ハリオはレンガを使って頭突きを防いだ。
(近距離からの頭突き攻撃。これはきっと響から教わったものだろう)
ハリオは一度距離をとり、再び攻撃に回る。
ダン!
しかし魔王も攻撃を休めない。一度離れた間合いに剣を振りかぶった状態で大きく踏み込む。
ドンッ!
地面が大きく揺れる。
「ふん!」
地面に裂け目を入れるほどの威力。ハリオは間一髪で避ける。
「だったら!」
ハリオも負けじと連撃を繰り出す。
「…曲が聞こえる…」
響のノーツ化スキルを魔王が使い、魔王目の前にハリオの攻撃のノーツが出現する。
「なんだ、この曲は…」
魔王は優しくノーツをタップする。
ダン!
そうするとハリオは想像以上の勢いで飛んでいく。
ダンダダダン!
もう一度ハリオの連撃に合わせてリズムよくタップする。そうするとハリオもリズムよく弾かれる。
(やはりこのノーツ化スキル面白い…)
魔王は聞こえる曲とノーツの配置を確認して、再びノーツを弾く。
ダンダダダンダンダン!
魔王は連打をリズムよく弾き、ハリオは弾かれる。
「響のスキルがどれほど強くても!俺はお前を超えて見せる!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
ハリオと魔王の連撃の撃ち合いが始まる。
(魔王の動き、俺の攻撃を全て読んでいる。響と同じだ)
ハリオは繰り出す全ての技が魔王によって弾かれるのを目の当たりにする。
「しかし!さっきはタップが間に合わなく攻撃をくらっていたな!お前の反射神経を超える連撃ならばお前に攻撃を与えられるわけだ!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
「負けてたまるか!ハリオ!」
ハリオと魔王の攻防は続く。響ほどではないが非常に激しく建物を揺るがすほどの振動であった。
「ハリオ、魔王、良い勝負してんじゃん!」
響はそう言って魔王に力を送りノーツ化スキルを共有していた。
「戦いの高揚感…逃げられないギリギリの闘い。そうだ!ハリオにもノーツ化スキルを共有してあげれば…」
そう言って響はハリオにもノーツ化スキルを共有する。
「ん?なんだこれは?」
ハリオは耳元に曲が流れ、一度攻撃を離れた。そして自身の足元に譜面の円盤がついていることに気づく。
「これは…罠か?響!いったい何をしたのだ!」
「私のスキル、ノーツ化スキルだよ!逃げられないの最高の譜面バトル、ハリオも絶対気にいるよ」
ハリオは目の前に浮かぶノーツを確認する。
ノーツは魔王の剣に重なって浮かび上がっていた。
「これが!ノーツ化スキル!」
ハリオは魔王の攻撃を弾いていく。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
魔王もハリオの攻撃を弾いていく。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
ノーツ化スキルを使った二人のバトル。二人には『シャインスターライト』というエンディングにピッタリの曲が流れていた。
「レベル的には互角だが、こうやって闘えるのはすごく楽しい!」
「そうか!ハリオ!俺はお前を満足させられるほど強くなれたと言うことか!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
「お前の力なのか、響の力だからか分からない。だが、今のバトルはすごく楽しい!!」
「そうか!それなら決着と行くぞ!」
魔王は剣に魔力を貯める。
「必殺:絶死弾!!」
魔王の剣はどこまでもクリアに光輝く。まるでノーツ化スキルのノーツが弾けたようなそんな明るい光。魔王はずっとその光だけがハリオを止められると思いそして探していた。そしてその光は響との出会いによって見つけることが出来たのだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
「いくぞ勇者ハリオ!」
「ああ、いくらでもかかってこい!」
ハリオも手にしているレンガに全ての魔力を込める。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ビュン!!
二人の攻撃は同じタイミングで放たれた。
ーーーチリン
響はそのタイミングでノーツ化スキルを閉じた。
「やるじゃん二人とも」
◇
暗黒のダンジョンの上空をモサ子が巨大なモササウルスの姿になり空を飛んでいた。
「うわーん。ハリオに負けちゃった〜響に怒られちゃうかな〜」
モサ子がそう呟いていると暗黒のダンジョンの中からモサ子に向かって叫び声が聞こえた。
「おーい!モサ子!おーい!」
「ん?あ!のなかだ!」
のなかに気づいたモサ子は人間の姿になり、上空から暗黒のダンジョンに落下する。
「おおお!!うわー!!いきなり落ちてくるな!!」
のなかはモサ子を受け止めるのであった。
「ったくお前がもう少し時間稼ぎしてくれればもっと良い作戦できたのによ」
「え〜私のせいなの!?のなかが弱いだけだよ〜」
「なんだと〜!」
二人がそんな会話をしていると魔王城から物音が聞こえる。
ドゴーーーンッ!!!
「うわーっ!」
「な、なんだ!?」
モサ子とのなかは魔王城を見る。大きな爆発と共に魔王城が崩れていくのがわかった。
「魔王城には響がいたはずだ!!急ぐぞ!!モサ子」
「うん!」
モサ子とのなかは急いで魔王城に向かったのであった。
◇
のなかとモサ子が魔王城に着くとそこは瓦礫の山でしかなかった。
「おーい響!いるか!?おーい!」
のなかの叫び声に遠くから女性の声がする。
「あ!のなか!モサちゃん!こっちだよ!」
響はのなかとモサ子を呼んだ。響の前にはハリオと魔王が向き合って立っていた。魔王の体半分は円形の穴が空き立っているのが奇跡であった。
「うお!なんだこれ!?どういう状況だ!?」
のなかは困惑していた。
「勝負が付いたんだよ」
響は静かに話す。
「勇者ハリオ俺はお前を満たすほどの敵になれたか?」
「ああ、充分だ。今まで闘ってきたどのバトルよりも楽しかった」
「そうか。それは良かった、これでお前の呪いからも解放されるな」
「…これから先いくら巻き戻しても最後に気絶して目を覚ました村からだ。このバトルはそれまでの経緯があったからこそ味わえるバトル。一度きりなんだ」
魔王はハリオの言葉を聞いてその場で崩れ落ちる。
「そうだ。お前を満たせる戦いができて満足だ」
魔王は自身を強力な魔力で強化しているただの一般人と変わらなかった。
戦いが終わった後魔王の魔力は切れ、そのまま黒い灰となり消えてしまった。
「…楽しかった…」
ハリオの言葉と共にハリオのこの世界を覆うタイムリープの力が解け空はいつもよりも澄み渡った空をしていた。
「ハリオ。今ハリオが感じているその気持ち、それはいくら時間を巻き戻しても二度と手にできない一度きりの経験だよ。初見で感じた感動、そしてその敵を倒した高揚感は再現できない。もう時間を巻き戻す必要はないよ」
「寂しいな、だがこの世界での最後と戦いとしては満足だ。ありがとうな魔王」
戦いに対して、物足りなさを感じていたハリオだったが心が満たされた瞬間を初めて実感した。
響達はハリオに全力でぶつかり、ハリオの心を満たす戦いを行うことができた。
「時間を進めるとしよう」
魔王討伐以降の時間がついに動き出すのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「勇者ハリオの心を満たす」それ故の戦いという形になりました。
もちろん主人公の響ちゃんとの戦いの決着はまだついていないので、ハリオとの戦いは今後ありそうですね。
次回『奇行な勇者編』最終話です。どうぞお楽しみください。




