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第六十鈴 倒したい相手

勇者ハリオは響と協力をした魔王を討伐し、唯一勝てない相手響に最後の勝負を挑むのであった。

ーーーチリン


スキル発動の音と共にハリオと響の戦いが始まった。


タタタタタタタタ!!!


ハリオはすでに数回時間を遡り戦いを繰り返していた。


タンタタタタタンッ!


「ハリオ!また時間戻したね!途中から曲が変わってる!」


「戦闘スタイルを変えて攻撃をしても全て弾かれる。さすがだな!響!」


タタタタッ!タンタタタタタタタタタン!


ハリオの攻撃は繰返す度に早くなる。そしてその速度によって威力を増していく。


タタタタッ!タン!タタタタ!タンッ!


しかし響のノーツの弾きはその攻撃を弾くコンボ回数によってさらに威力を増していく。


タタタタタタタタ!タン!


二人の連撃の波動は周辺の建物に広がっていくのであった。





「な!なんなの!いったい!?何が起きてるの!」


魔王の扉の前に獣人化スキルのミルが響とハリオの戦いを覗いていた。


「魔王に侵入者が来たこと伝えに来たのに…時すでに遅しなの!」


ミルは横たわる魔王を確認する。


「魔王…やられてるの!わたしも逃げたほうがいいの!」


ミルはその場を逃げようとする。


ピクッ!


倒れた魔王の指が動くのをミルは感じた。


「あ、魔王…生きてるの…でもあの二人の戦い…絶対巻き込まれるの…」


ミルには魔王を助ける義理もなかった。それ以上に自分を手下にした魔王を恨んでいた。しかしミルは真面目であった。自分に任された任務、自分の立場を人一倍大事にしている。


「…魔王を助けるの!」


ミルは魔王を響とハリオの戦いから距離を置く為に動くのであった。


ーーーチリン!


ミルはネズミの姿になって走り出す。


「まずは近づいて魔王のところに行くの!」


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!


ハリオの連撃は続き、響の弾きも続いていく。


「感じる!来るの!」


ミルは危険を察して立ち止まる


ダン!ダン!ダン!


目の前の瓦礫がリズムよく砕けるのがわかった。


「ひぃぇ〜〜この二人化け物でしかないの!」


ミルは獣人化スキルによって感覚が鋭くなっており飛んで来る攻撃も獣の勘で避けることができた。


「私の空間スキルで!」


ーーーチリン!


ミルは空間スキルを使って魔王の近くに来た。


「魔王!起きるの!ここじゃあ二人の戦いに巻き込まれるの!」


しかし魔王は反応がない。


「魔王を逃す!」


ーーーチリン!


ミルは空間スキルを使い魔王を空間の中に落とした。


ビュン!


ミルは魔王の椅子の後ろに空間を出してそこに魔王を寝かせる。


「ここなら、大丈夫なの。でも魔王の顔色がすごく悪いの…毒なの?」


ミルは毒を食らった魔王を心配そうに眺めるのであった。





ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!


響は手を抜いていた。


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!


聞こえてくる曲、流れてくるノーツ。全てが響にとってフルコンができる当然のノーツであった。


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!


(ハリオにとっての楽しい戦いってもしかして私の戦いと同じなのかな)


ダンダンダン!!


(私も今のままじゃたらない。もっと刺激的なノーツが欲しい…これが戦いの高揚感ってことかな)


響は自分とハリオの戦いに対しての考えが似てることに気づいた。


(でも違う、私の戦いは一回限り、ハリオのやり直しとは違う!)


響はそう思いながらノーツを弾いていく。


ダンッ!ダダダ!ダンッ!


「ハリオ!とっておきを見せてごらんよ!」


「言われなくても!今までのどの攻撃も俺にとってのとっておきだ!」


「だったら、本当に弱いよハリオ」


ハリオはその言葉に感情の全てを一撃に込めようと決めた。


「響…お前に俺の全力を見せてやる」


「いいね!良い顔なってきたじゃん!ハリオ」


ハリオは一度距離を取り手に持つレンガに自身の持っている魔力を全てこめる。


ジュッ〜ジュオ〜バリッ!ビリビリ〜!


炎、雷、水、ハリオの持っている属性の魔法が全て込められる。


「俺の最大限を。この一撃に込める」


ハリオは腕を回転させて一気にレンガを放つ。


バシュッ!


レンガは全ての属性をまとい響に向けて放たれる。


「ハリオの本気受け止める!」


響は再び鈴を鳴らす。


「ダイレクトブレイクモード!」


響の周りに空気が流れ込み、その空気は全て飛んでくるレンガに集まる。そして響の手のひらにエネルギーでできた携帯タブレットが現れる。


ビュン!


レンガの威力のノーツが全てタブレット上に現れ響はそれを親指で弾き始める。


タタタタタタタタタタタタタタタタタツタタタタタタタタタタタ!!!!


ハリオは裏魔法を使っていた為魔力を周りの空気中から集めて放っている。レンガを放ったその後もハリオは魔力をレンガに送り込む。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!


空気中の魔力はハリオを経由して響に放たれる。空気中の魔力。それはこの世界に漂う魔力全て。つまり終わりのない魔力量であった。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!


「どうだ!響!!これなら手出し出来ないだろう!?」


ハリオは満足気に言う。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!


その通りであった。ハリオの放つ魔力は終わりが尽きない。それはこの世界規模と響の長期戦とも言えることであった。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!


響は淡々とノーツを弾く。その指の動きには一切の迷いが無い。正確に、正しく、完璧なタイミングでノーツをしっかりと弾いていく。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!


響のノーツを弾く親指その速さからまるで4本あるように見える。親指勢難所の四点同時押しのノーツも難なくこなす。


タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!


5分経過


「った!やっぱり!ノーツ弾くのたまんない!」


響はノーツを弾きながら叫びを上げる。


パキッ


「はっ!」


ハリオは気がついた。響の目的は攻撃を弾くことではなく。その衝撃波を使いハリオが投げた世界一硬い素材のレンガを砕くことだった。


「このままだと…レンガが!」


ハリオはレンガを見た。レンガはハリオにとって最大の武器であった。魔王の討伐が終わった今、響との戦いこそが全てであった。響こそ倒せば後はどうだっていい。ハリオはそう思い魔力を注ぎ続けたしかし!


ガリッ!


レンガの破片がハリオの頭に直撃する。


ゴンッ!!!


「がっはっ!!」


ハリオは意識が遠のき、その場で気を失うのであった。





「…お、おれは…」


ハリオは目を覚ます。


「くっ…また戻れる時間が…」


ハリオは頭にレンガの破片による傷を負い手を押さえながら立ち上がる。


「ハリオ、おはよ!」


響は明るくハリオに挨拶をする。


「な、お前は!まさか!魔王か」


ハリオは響の後ろから魔王がミルに支えられながら立ち上がるのを確認した。


「…響…まさか俺との戦いは時間稼ぎだったのか?」


「なんのこと?」


とぼけた顔で響は言う。


「俺が魔王に放った毒は猛毒だ。回復なんてするはずがない」


「魔王には効かなかったってだけじゃない?」


「何百回とこの方法で魔王を討伐したことがある。そんなはずはない」


しかしハリオは思い出していた。初めて響と戦った時、響にも毒が効かなかったことに。


「響!やっぱりおまえが!!」


「それよりも、魔王はまだ生きている。ハリオの使命『魔王討伐』はまだ終わってないよ」


「響…そうか。お前との戦いは魔王を討伐してからだ」


ハリオはそう言って魔王を見る。


「魔王!まだいけるよね?」


響はミルに支えられながら立ち上がるの魔王に声をかける。


「はい!響さん。解毒関してはありがとうございます」


「そう言うこと言わなくていいよ!ハリオもまだまだ戦い足らなそうだから頑張ってよね!」


「はい!」


魔王はミルにお礼を言ってハリオに近づく。


「勇者ハリオ、今回はこっちがやり直させてもらったぞ」


「自分が繰り返される敵と戦うなんて新鮮でしかない!魔王!来い!決着をつけてやる!」


ハリオと魔王の第二ラウンドが始まったのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

長らく続いたこの章もついにクライマックスです。

ハリオと響達の戦いを最後までお楽しみください。

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