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第五十六鈴 対峙する側

魔王城を目の前に響達一行は洞窟の村で最終決戦の準備をする為、一晩休ませてもらうことにした。勇者ハリオはこの村の人達に恩返しがしたいと狩の手伝いをしないかと響達に提案するのであった。

響達一行と勇者ハリオは魔王城近くの洞窟の村に宿を借りて魔王討伐の準備をしていた。


「わ!日が登ったよ!朝だー!」


「やっぱり太陽見ると気持ちがいいね!」


響とモサ子は伸びをする。


「一晩泊まらせてもらって良かったな」


「ああ、それじゃあ魔王討伐に向かおうと思うのだが…一つ狩の手伝いをするのはどうだろうか?」


ハリオがそう提案する。


「狩り?」


「そうだ。昨日あんなにご馳走をいただいていたしな。魔王討伐後、俺がまた時間を巻き戻したら今回親切にしてくれた人達に感謝は出来ない…」


「まぁ、ハリオが言うなら付き合うよ」


「あ、ほらちょうど狩の人達も出かけるみたいだよ」


洞窟から弓矢を背負った人達が出てくる。


「どうした?あんさん達、魔王討伐にいかねぇのかい?」


「ああ、昨日の借りだ。貴方の狩を少し手伝わせてくれないか?」


そう言ってハリオと響達一行は狩の人達と一緒に出かけ、岩肌を抜けた湖に辿り着いた。


「見えるか?あの鹿だ」


「水を飲んでるね」


「ああ、ここはいろんな動物が集まりやすいんだ」


狩の人がそういうとハリオは草むらから立ち上がる。


「よし、ここは俺が狩りをする」


そして持っているレンガを鹿めがけて放つ。


ヒュン!


風を切るその動き。ハリオの投げるレンガの速さは音速を超えていた。


ギュン!


鹿は倒れた。


「どうだ!これで数日は飯に困らないだろ?」


自慢げに話すハリオ。


「いや!勇者様なんてことしてくれてんだ。これじゃ食える部分がねぇじゃねぇか!」


ハリオの攻撃の威力は強すぎて獲物の体半分を粉砕していた。


「なるほどな、弓矢を使うのはそういうことか」


ーーーチリン


ハリオはスキルを使って意識を狩りをする前に戻す。


「うっ、頭が!」


狩の人が頭を抱える。


「はっ!」


響はデジャブを感じ、狩の人の反応を見てハリオがスキルを使ったことに気づく。


「あ、ハリオもしかしてスキル使った?」


「ああ、少し失敗したからな」


ハリオはそう言って弓矢で鹿を打ち抜く。


「おお!お見事です勇者様!」


こうして、響達一行とハリオは村人達が住む洞窟に狩った獲物を持ち帰ったのであった。





狩に一日を使った響達はその晩も洞窟に泊まることにした。宿の部屋で響はのなかと話す。


「ねぇのなか」


「なんだ響?」


「頭痛した?」


「頭痛?なんの話だ?」


「ほら、ハリオがスキルを使った時の」


「あー、確かに変な夢みたいなのは見るよな。あれ」


「そう。私達ずっと一緒に戦ってたからあんまり気づかなかったけど…もしこの世界の人達が同じ記憶を何度もみていたら?」


「そりぁとんでもねぇ情報量だ。苦しむどころじゃ済まないだろ?…ちょ、まさか!」


「うん、そう…ハリオなんじゃないかな?」


「あいつが?」


「まあ、実際はハリオのスキルのせいだと思うんだけど…」


「じゃあどうするんだよ」


「私がハリオを気絶させた時覚えてる?」


「ああ、あの、初めて会った時の手合わせか」


「そう。ハリオの戻れない時間が発生した時。それ以降みんな頭痛が治ったの覚えている?」


「たしかにそうだったな。大規模な記憶の情報量がリセットされたと言うわけか」


「そう。そして子供達が苦しみ始めたのって私達がダンジョンにいた時だと思うの」


「時系列が同じだな」


「だから、私…もう一度ハリオを殴ろうと思う」


「へっ?」





ハリオとモサ子は子供達がいる部屋にいた。


「モサ子はね!モササウルスなんだよ!」


「おねぇちゃんモササウルスってなに?」


「モササウルスは私だよ!」


モサ子と子供達が話している隣でハリオも子供達と話していた。


「またきたぞ。すぐにお前達を楽にしてやるからな。待っていろよ」


「勇者様今日も来たの?」


「早く魔王倒してほしいのに?」


子供達は頭痛に苦しんでいて昨日よりも元気がなかった。


サッサッサッ


その後ろから響が静かに近寄ってくる。


ーーーチリン


「オンステージモード」


「ん?みんなどうした?おー、響か…」


ダンッ!


響はハリオの首に手刀を決める。


「ガハッ!」


ハリオはその場で泡を吹いて気絶した。


「よっと!」


それをすかさずのなかが受け止める。


「ふーっ!まさか本当にやりやがるとはな」


周りの子供達は大騒ぎする!


「うわー!おねぇちゃんが勇者様を殺しちゃった!」


「うわー!!魔王の仲間だー!」


「ままー!助けてー!!」


子供はそのまま走り回る。しかし一人モサ子と話していた子供がポツンと残っていた。


「あれ?頭痛がなくなったよ!!」


それを聞いて響が安堵する。


「わーー!よかったね!響いったいなにしたの?」


何も知らないモサ子が響に聞く。


「やっぱりハリオが原因だったみたいね」


「さあ、どうする響?ハリオは目覚めた後もスキルは使うと思うぜ?」


「決まってるでしょ?ハリオが満足する戦いを作り上げる!」


響はそう言い放った。





数時間後、魔王城の守りが簡単に破られ、魔物達は大混乱に陥っていた。


「なんだ?いったいなにが起きている?」


「魔王様!大変です!守りの門が突破されました!」


「何だと!?絶対に城の中には入れるな!」


「魔王様!もう敵は城の中に入っています!」


「おい!ミルはどこだ!?奴にこの城の防衛を任せているぞ!」


ドゴーン!


魔王の部屋の扉が開く。そこには響、のなかモサ子がいた。


「ここなの…」


ミルはハムスターの姿をして涙目で魔王に報告する。


「ミルが言っていた異世界からの冒険者…」


ミルは響に摘まれていた。


「魔王!話がある!」


響は声を大きくして話す。


「何だ?」


「私達を仲間にして!」


「は?」


「貴方は弱い!そしてこの城の魔物達も全員弱い!私達が仲間になってあげる!」


「目的を聞こう」


「勇者ハリオを倒す為!」


「…ふっ!ふ…ふはははははは!!!」


魔王は高笑いする。


「面白い仲間割れか。良いだろう。なにがあったかは知らないがその復讐心いいだろう。お前達を我の手下にする」


シュルル!


響、モサ子の首にチョーカーが巻かれる。


「あ?何で俺だけ顔なんだ?」


のなかだけチョーカーがハチマキのように頭に巻かれる。


「仲間の証だ!もし裏切るようなことがあればそのチョーカーがお前達を絞め殺す」


「ふふ!これでお前も魔王の手下なの!ミルとおんなじなの!」


なにを誇っているのかドヤ顔でいうミル。


ーーーチリン


「スピリチュアルダイブモード」


響は首に接触した部分にノーツを集中してチョーカーを弾き破り切った。


ーーーチリン


「もくもくなるよ〜」


モサ子は毒のスキルを使って煙状になりチョーカーが地面に落ちる。


「こんな部分にあったら邪魔でしかない」


ブチっとのなかは力ずくでチョーカーを破く。


「なっ!なんなんだお前達!」


「チョーカー巻いてるのミルだけなの!?」


魔王とミルを気にせずに響は準備をする。


「じゃあ、のなか、モサちゃん二人は作戦通りお願いね!」


「わかった!響も気をつけてね!」


そう言ってモサ子は空間スキルを使って消えていく。


「おう!可能な限り時間を稼ぐからそっちは任せたぞ!…おい!そこの魔物達倒れているならついて来い!」


のなかは複数の魔物を連れて歩いていった。


「魔王!」


響は魔王に呼びかける。


「な、何だ!?」


「あなたにリズムゲームを教えます!」


響は満面な笑みで魔王に語りかけるのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

響達一行は魔王陣営につくことになりました。主人公が闇堕ちではなく敵側に付く展開というのを描いてみたくどうにか小説で作ることができました。果たして勇者ハリオを満足させる戦いの作戦とは。

どうぞ次回もお楽しみください。

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