表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/61

第五十五鈴 洞窟の村

魔王討伐に向けて『地獄の砂粒』『暗黒のダンジョン』を攻略した響達一行は魔王城の近くにある洞窟の村を発見する。

響達一行と勇者ハリオは暗黒のダンジョンを攻略し外の世界に出た。


「ねぇハリオこの先はなにがあるの?」


「何もない。ただの岩しかない場所だ。それよりもここまで来ればもう魔王城もすぐ近くだ」


ハリオはそう言って少し残念がる。


「俺の冒険もここで終わりか」


ハリオは響との戦いで気絶した為それ以前の過去に戻ることができない。


「ハリオ、そんなこと言わないで。私達との冒険も充分楽しかったでしょう」


「響達との冒険か…」


ハリオは今まで一人でしか冒険をして来なかった。幾度となく一人で魔王を倒してきたハリオにとって仲間との助け合いや言い争い、全てが価値のあるものであった。


「そうだな。確かに楽しかったな」


「よかった!じゃあこれで魔王倒した後も戻らなくて済むね」


「…それは話が違うな」


「えーなんでー!」


「魔王との戦いが最高に刺激的でなければ満足しないだろ?」


「言ってる意味がわからない」


「正直今の魔王は弱い。と言うのも魔王の討伐は腐るほどやってきた。なんだったらやつの叫び声も真似できるほどだ」


「え…なんか、それって気持ち悪い。って言うかサイコパス…」


「じゃあハリオはどうすりゃ納得いくんだよ?」


のなかは呆れたようにハリオに聞く。


「そもそもそれぞれのエリアのボスが弱い。それが問題だ」


「意味がわからない。暗黒のダンジョンのボスは強かっただろ?」


「ああ、確かにな。それはお前達と一緒だったからだ」


「は?」


「仲間を助けてながら戦うと言うのは大変だということが分かった」


「お前な!最後は響に無双してもらってよく言えたな!」


「あの程度、俺のタイムリープを使えば試行回数100回未満で倒せたずだ」


「それだと100回負ける気満々って感じだね」


「ハリオかっこわるーい」


「これが俺の戦い方だ。その中で勝ち筋を見つける。その探究するのが楽しい」


「でも私達と一緒の冒険も楽しかったでしょ?」


「まぁ、悪くはなかったな」


そう言ってハリオは少し微笑むのであった。


「ねぇー!なんかあそこ誰かいるみたいだよ!」


突然モサ子が洞窟に指を指す。


「なにまさか新手の敵か!?」


「魔王城が近いって言ってたしね!」


のなかと響も構える。しかしハリオは全く持って警戒していない。


「あいつらとは関わるな。先を急ぐぞ」


「ちょっハリオどう言うこと?」


小走りで歩いていこうとするハリオを響が止める。


「なに?ハリオ…まさか勇者ハリオか!?」


「なに!ハリオ様が来てくれてたのか!?」


洞窟からたくさんの人々が響達を囲むように出てくる。


「わわわ!すごいたくさんの人たちだ!」


「俺たちを襲うつもりか!?」


困惑するのなかとモサ子。


「勇者ハリオ!この度は魔王の魔力を弱めていただきありがとうございます!!」


村人達はハリオに感謝を言うのであった。


「…いったい何の話だ?」


「数日前に我々がずっと苦しめられていた頭痛が止まったのですよ」


「もうずっと苦しくて起き上がることすらできなかったんで、久々に日の光を見ることができて嬉しい限りです」


「砂漠を超えた村からこれが勇者ハリオ様の力によって抑えられたと聞きました」


「本当にありがとうございます。ハリオ様」


ハリオはみんなに感謝された。


「頭痛か…特に俺はなにもやっていないのだがな」


「そう言えば、向こうの村の人達もよくなっていたね。やるじゃんハリオ。何をしたかよく分からないけど」


「ハリオは良い人なんだね!食べちゃわなくて良かったよ!」


「でも、俺たちずっと一緒だったのに何も知らないのってのおかしくないか?」


「魔法って不思議だからね。なんなんだろうね」


ハリオは不思議な力を持っているんだと響達はそう思うことにした。


「ハリオ様これから魔王城に向かうのですか?」


「ああ、そうだ」


「それなら是非、私達の村に寄って準備をなさっていってください。料理、宿なども無料で手配いたしますぞ」


村人はそう言って洞窟に案内した。


「そうか、だが、俺たちは先を急いでいるからな。悪いが…ぐっ!」


ハリオが口走る前に響がハリオをどつく。


「ハリオせっかく村の人達がこんな丁寧に誘ってくれているんだよ」


「そうだぜ!ハリオ!休憩も大事だろ?」


「料理たくさん食べたーい!」


響達は洞窟の村で休む気満々であった。


「仕方ない。一晩休ませてもらうか」


ハリオは村の人達と響達の押しに負け洞窟の村のある洞窟に入ることにした。





洞窟の中は廊下としての通路が少し狭いが大広間や宿の部屋は広く快適な場所であった。響達は食堂と呼ばれる広場に集められ、そこで豪華なご馳走をいただいていた。


「わーー!!美味しそう!!」


「こら、モサ子!ちゃんと『いただきます』するんだぞ」


「はーい!いただきまーす!」


モサ子は目の前のお肉の料理を笑顔で食べ始めた。


「私も、いただきまーす!」


響も食べ始める。暗黒のダンジョンの周りは基本的に岩でできた場所であるが、体を治療する魔法の温泉があるなど、野生の動物達が集まる不思議な場所である。彼らは魔王城の近くである危険な場所で狩りをしながら生活をしていた。


「そう言えば、ハリオどうしてこの村に来たくなかったの?」


「響はハリオに問う」


「今は元気みたいだかな。俺も心配で一度訪れたんだが…その時彼らは魔王の魔力によって弱りきってしまっていてな。もう助からない。そう思っていた」


「あの頭痛のせいだよね」


「そうだ。砂漠を超えた向こうの村に行けばメム達に薬をもらえることを伝えていたんだが、それでも彼はこの場所を離れようとしなくてな」


「何でだろ」


「故郷だからだ。彼らの豊かな村に魔王城が現れたとしても彼らは洞窟に入り決してこの地を離れようとしないのだ。彼らの気持ちは尊重するが、俺にはその気持ちで苦しむ人々を見るのが耐えきれなかった」


「そうなんだ。なんか聞いちゃってごめんねハリオ」


「いや、いい。魔王の討伐をすればこの人達の苦しみも解放される。だが、魔王の討伐前に毎回この苦しい光景を見るのは本当に辛い」


ハリオは手をぎゅっと握りしめるように言った。


「ハリオ様もしよければ、子供達にも挨拶していただいてもよろしいですか?」


村人がハリオに声をかける。


「ああ、良いだろう」


ハリオは村人の後について歩いていった、響達もその後についていく。


「確かにこの村で子供達はら見てなかったね」


「保育園みたいなところで遊んでるんじゃないか?」


響とのなかはそんな話をしていた。


「こちらです。どうぞお入りください」


案内された部屋の中には20人ほどの子供達がみんな寝込んでいた。


「いったいなにがあったんだ…」


ハリオは恐る恐る聞く。


「実は昨日から急に頭痛に苦しめられてしまいまして。それまでは私達と同じく回復していたんですけどねぇ」


子供達は唸り声を上げながら寝込んでいる。


「ひどい。これも魔王の仕業なの…」


「辛いな…」


ハリオは子供達に近づき手を握る。


「…あ、ハリオ様だ!」


「あ、本当だ!ハリオ様きてくれたんですね!」


「無理に起きるな。そのままでいい」


「お前達。いいか。この勇者ハリオがかならず魔王を退治してお前達の病も必ず治すとここに誓う。それまでもう少し我慢してもらえないか?」


「はい!ハリオ様!私達はハリオ様を信じます」


「どうか魔王を退治してきてください!」


子供達は皆頭痛に耐えながらハリオの手を握る。


「すごい!ハリオってかっこいいんだね!」


「あいつが勇者っぽいことしてるのなんて初めてみたぜ」


のなかはハリオの似合わないセリフを聞いて呟いていた。そんな中響は一人考え込む。


「どうした響?」


「んー…なんかこうもやもやするなって思って…」


「まぁ、あんなハリオを見ればもやもやもするわな」


「いや、それとは違うんだけどね…んー何だろうこのもやもや」


村人達を襲う魔力による頭痛、そして一時的に治ったと言う人達がいる。

響はその晩考え込むのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

洞窟の村になります。イメージ的にはラスボス前の休憩スポット的なイメージで考えました。

この奇行な勇者編はここからが醍醐味になります。

次回この世界の人々を襲う頭痛の原因がわかります。どうぞお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ