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夏の雨天時の服へのまとわりつきようは尋常じゃない(1)

 この世とは全く違う原理を持つ、魔界に長く暮らし続け、まったくちがう生態を持つにいたった元人間、死霊族。

 魔界で身につけた特殊な力を手にし、人間界で新たな役割を求めた彼らが、こちら側の世界に順応するすべを学ぶべく作りだした、「安国学園」と名付けた高等学校。

 しかし、すでに人間であることを失った彼らがこちらの世界で日常生活を送るには、いろいろと支障が多い。


 まず、彼らはその無限の再生力ゆえ、普通の人間が持ってしかるべき「苦痛」という感覚をなくしている。

 そのため人間では耐えられない環境でも平然と居座ることができる。

 人間とは違う感覚で、こちらの世界に住み続けることが、いったい何を意味するのか……


 そんな彼らの世界に飛び込むことになってしまった人間。

 おれ、「結城新介(ゆうき しんすけ)」はまたしてもその弊害(へいがい)のひとつを味わうことになる。





「ってなんなんだこのムシムシした環境はっっ!

 いくら梅雨(つゆ)の季節だからってムチャクチャすぎるだろっっ!」


 おれは湿気にぬれて完全に肌に張り付いてしまったYシャツをはがそうとするが、うまくいくわけもない。


「おい見ろよおれのシャツをっ!

 一枚着で下つけてないから肌が透けて見えて裸みたいになってるじゃねえか!

 乳首も透けてて恥ずかしいよ!」

「にゃはははは、いいんじゃない? なかなかセクシーに見えるよ?」


 そう言ってほおづえをつくタタミちゃんはいつものバクハツヘアをやめてしまい、セミロングの金髪をぴっちりとほおに張り付けてしまっている。

 ぬれる白いYシャツのしたには赤いタータンチェックのキャミソールが見えてしまっているが、気にしてはいないようだ。


「湿度が高すぎるだろこの教室は!

 おかげで夏服を着てても意味がないぞっ!」


 校則では白シャツにネクタイと校章の入ったワッペンをつけるのが決まりだが、それさえウザくておれは外してしまっている。

 もっともうちの学校はユルいので誰も気にしないが。


「ここは年中空がガスってる地帯だからな。湿度も年中高いんだ。

 今の季節は特に湿度が高いから、お前にとってはつらい季節だな」


 後ろの席に座るヒャッパはこだわりがあるのか、律義にネクタイとワッペンを付けている。

 タタミちゃんも首にリボンをつけているが、そんな生徒は少数派で、半分くらいはおれのように白シャツだけにしている。

 タタミちゃんの反対側に目を向けた。

 沙耶は校則通り、白い半そでシャツにセーラー服の典型である真っ黒な大きい(えり)をつけているが……


「沙耶ぁぁぁっ!? 大丈夫かよ!

 お前ワキのほうからブラジャーのヒモが完全に見えてるぞっ!」


 湿気にぬれて少しヤワくなってしまっている参考書に目を向けていた彼女が、こちらの方を向いてもあっけらかんとしている。


「平気よ?

 女性は下着を身につけるものと決まっているんだから、変な柄のものでもない限り気にしていてもしょうがないわ」

「うっ、さすがにそこまで平気でいることはできない。負けた……」

「なにをくやしがってんだよタタミちゃん。

 ぶっちゃけキャミソールも下着のうちに入るんだぞ? もっともセンスがいいから気にしないけど」


 その時、茶太良先生が教室に入ってきた。

 おれは完全にしけってしまった教科書をにらみつけながら、おとなしく授業に集中することにした。





「……ローマ帝国は今述べた通り野蛮(やばん)な部分もあるわけだが、一方で近代的な側面もあり、見習うべきところも多い。ゆえにただ単に非難することもできない。先生はむしろそのあとに訪れたキリスト教の時代のほうが大きく文化が停滞(ていたい)したこともあり、総合的にはローマ時代を評価したい気持ちだ。しかし次週から行うキリスト教の時代も光と闇の部分があり、我々は学ぶべきところが数多くある。それをじっくりとたどっていこう」


 授業が終わりに近づくのを待って、おれはゆっくりと手をあげた。


「なんだ新介。ローマ帝国の文句だったらまったく聞かんぞ。さんざん述べただろ」

「あの、そうじゃなくって。

 先生が今日配ったプリントなんですけど、ところどころ水で濡れて見えなくなってます。

 あと教科書も湿気が多すぎて若干波打ってんですけど、今後もつんでしょうか……」


 かすれ声で言い続けると、むき出しの歯しか見えない顔は額を思い切り手のひらで叩き、のけぞった。


「くっそう、そこをつかれたか!

 たしかに死霊族は湿気ごときで根をあげはしないが、日用品にまで被害が及ぶのはたまらんな!」


 ここでこのあいだの中間テストで見事1位を勝ち取った学級委員の沙耶が手をあげる。


「わたしも苦言をていします。

 この状況が続くようであれば、我々の学業に大きな弊害をもたらすことになると思われます」


 気を取り直した(らしい)茶太良は机に両手をおいてみんなを見回した。


「沙耶の言う通りだ。

 実は先生もこれには大いに不満があって、全教室に除湿機を設置するよう要請(ようせい)している。

 さすがに運営側もこれを重く受け止めたようで、予算を組んだようだが、残念ながら工事は夏休み期間中になる予定だ」

「うへぇ!

 じゃあ今年の梅雨はこの状態で乗り切れって言うのかよ! たまんねえよ!」

「ううむ。新介にはつらい季節だな。

 だが除湿機を設置したところで、これだけの湿気じゃ相当強くかけなきゃいけない。

 相当寒くなるはずだから、お前にとっては悪環境になることは変わらないはずだぞ」


 言われておれはがっくりと机に顔を伏した。


「もうやだ……死霊族の生活にあわせるのも疲れる……」





 授業が終わった後、おれは必死に素肌からYシャツをはがす作業に必死になった。


「あ~ベタベタするっ! マジでこの湿気はなんとかしてくんないかなぁっ!」

「あ~それわかる。アタシら暑いとか寒いとかよくわかんないけど、服が肌にまとわりつくのはなんとなく気持ち悪いもんね!」


 タタミちゃんも苦笑いを浮かべて、張り付いたシャツをつまみ続けている。


「そーいえばさ。死霊族って痛みとか苦しみとかはわかんないんだろ?

 感覚が鈍感になって、それで人間界にまぎれこんだら困るんじゃないのか?」


 するとタタミちゃんは、あろうことかここぞとばかりに小バカにした表情になった。

 おれは思わずにらみつけて「なんなんだよ?」とつぶやいてしまった。


「にゃははは、新介もずっとアタシたちと共同生活してて、気付かない部分もあるんだねー。

 アタシらを何にも感じないドンカンな種族だと思われたら困るのだよ」

「なんだよ。

 まあたしかに、痛みを感じない割にはみんなケガするたびにヒィヒィ言ってるのは気になるけどな」


 ここで自慢げな笑みを浮かべたタタミちゃんは人差し指を立てたのだった。


「確かにアタシらは痛覚がなくなっちゃったけど、かわりに自分たちの身体の状態がどうなっているのか、はっきりとわかる感覚は残っているわけだよ。

 だからケガをすることに慣れてない子とかは傷ついたりするとショックが大きかったりするんだよね。

 たとえ治るとわかってても怖いし、傷口キモいし」


 前から振り返っていたキースが両手をあげて首をすくめた。

 ハーフの見た目も相まって外人っぽい。

「弥子なんか見ててわかるだろ。

 あいつなんか小指ちょっと怪我したくらいでヒィヒィ言ってるだろ?」

「あ、アタシはあの子場合、特別だと思うなぁ~」


 タタミちゃんが苦笑いするなか、おれはアゴに手を触れて感心した。


「へぇ、ますます便利な身体だな。

 で、暑さとか寒さとかの感覚はどうなってんだ?」

「寒いのは全然平気だよー。

 なんなら雪国でビキニ着てもいいくらい。鳥肌立つのはイヤだけど」

「おれも炎天下の中開放感たっぷりのタタミちゃんのほうがいいと思うよ」

「うっ、今さらそれを言うか。今度ビキニ着るときは顔を真っ赤にしてそう……

 ってこらこら、脱線しない。

 でも、夏はイヤだな。

 暑いとかはわかんないんだけど、身体じゅう汗ベタベタになると気持ち悪いってのはわかるんだよね。

 あと化粧落ちるのもイヤだし」


 そういうタタミちゃんは、眼帯をしていない方のアイメイクが薄い。

 いつもはわざとらしくまぶたにまつ毛を描いちゃってたりするのだが、この湿気じゃすぐにくずれるだろう。


「ってわけで、アタシも今の季節は大っきらいです。

 早く梅雨開けてくんないかな~」


 そう言ってタタミちゃんは天井を見ながらほおづえをつく。

 すると、とたんに着難しい表情になった。

 そしてすぐに上のほうを指差し、おれの肩をポンポン叩いた。


「ちょっとちょっと、あれ見てよ。

 天井のすみ、カビ生えちゃってんですけど……」


 完全に引いている彼女に視線を合わせると、指差した先にはごっそりと黒い斑点が発生していた。

 おれはかるくえずく。


「うぇっ! 気持ちわるっ!

 あらためて自分が尋常(じんじょう)ならざる世界に紛れ込んでしまったことを自覚させられるよ!」


 そして今までできるだけ意識していなかった、むせかえるような匂いに我慢が出来なくなって、思わず振り返った。


「影乃っっ! だいたいお前は臭いんだよっ!

 まるで死体みたいなにおい、って言うかお前は死体みたいなもんかっっ!」


 こちらに気づいた影乃。

 けっこうなイケメンでありながら、テキトーに伸ばした髪の毛と気くずした制服……ていうかお前まだ学ラン着てんのかよ!

 そのせいで陰鬱(いんうつ)な雰囲気を周囲に与える。

 ましてやその身体から鼻をつく臭いをまとっているのだ。


 影乃のとなりに座るヒャッパが、同意するように鼻をつまむ。


「その真っ黒な左手、消臭剤やっとけよ。支給されてるだろ?

 だいたい悪臭がするのは『腐敗部』からなんだから、その手はしっかりスプレーかけとけよ」


 腐敗部というのは死霊族のもっともわかりやすい身体特徴で、新陳代謝が異常なまでに発達した代償として身体の一部に必ず何らかの異常があることだ。

 腐敗部とは言うが、必ずしも影乃のように身体の一部が黒ずんで異臭を放つとは限らない。

 どういうわけか腐敗部は死霊族が個人個人持っている特殊能力に関連している部位にあったりする。


「ああ、すまん。忘れてた。

 どうもオレはそういうことに関してルーズみたいだな」


 申し訳なさそうな顔をする影乃。

 おれはみんなに呼び掛けた。


「ってことは、みんな消臭剤やってんの?」


 それを言われ、タタミちゃんとヒャッパは露骨にいやな顔をする。


「やめろよ。おれの腐敗部は体内にあるから、外までにおわねえんだよ。

 みんなみんなくっせぇみたいな扱いはやめてくれ」

「アタシの場合は眼帯だから、きちっと患部(かんぶ)を押えとけば大丈夫なんだよね。

 と言ってもこの眼帯に香水つけてますけど」


 そう言ってタタミちゃんは自慢げに黒い眼帯を指差す。

 中央に人差し指のマニキュアと同じピンクの花柄模様が描かれており、かわいらしい。

 それまで文庫本を読んでいた沙耶が突然パタンと本を閉じて会話に入ってきた。


「わたしは、背中全体が腐敗部だからかなりスプレーをかけないとね。

 そして毎日の香水はかかせないわ」


 おれは沙耶がつけているなんだかよくわからない和物の香水をかぎながら、思い切り机の上に身を投げ出した。


「うお~っ!

 どこをとっても完全無敵な超絶美少女の、よりによって背中が残念だなんて、なんておいたわしいんだっっ!」

「うんうん、それわかるぞ。

 しょせんこの世には何もかもが完璧な美少女など存在しないというのかっ!」


 ヒャッパがなげくように両手の爪を上に立てると、沙耶からしらじらしい視線が飛んだ。


「なんだかわたしが欠陥品(けっかんひん)みたいな物言いね。

 言っておくけどわたしはこれでも十分すぎるほど完璧だと思ってるから、あまり傷つくようなことは言わないでほしいわ」

「沙耶って、性格的にも変なところがあるよね。すっごい自信家なところとか。

 まあ沙耶はいいとこいっぱいあるから笑って許せるけどな」


 つまらなそうにほおづえをつくタタミちゃんにすました顔を見せた沙耶だが、顔をあげれば不快感をあらわにする。


「それにしても、あのカビは見ていてイヤな気持ちになるわね。

 換気扇(かんきせん)はついてるというのにこの調子じゃ、衛生環境的には非常に劣悪だと言わざるを得ないわ」

「おうおう、劣悪といやぁさ。

 いま学食なんかものひどい状態らしいぜ」


 ニヤリとするキースにおれはしらけた目を向けた。


「もともとひどいだろ。

 おれは一度だけ入った時のすえた臭いがまだ脳裏に残ってんだよ」

「それがもっととんでもないことになってんだよ。

 おかげで今まで平気だった学食ユーザーの足まで遠のいて、『ブッチャー』の売り上げは相当落ち込んでるらしいぜ」


 おれはエプロンを真っ赤に染めたブタマスクの姿を思い出し、鳥肌が立った。


「んなこと言ったってアイツ学校の給料で飯食ってんだろ?

 客足が途絶えたからって気にするタイプじゃないと思うんだけどな」

「いやいや、ところがそうでもないらしいんだ。

 学食に行った数少ない奴の話だと、奴はあからさまにイライラしてるらしい。

 ひょっとしたら人が来なくなったのは学食がカビ臭くなったからじゃなくて、生徒たちが自分を避けてるからなんじゃないかとカン違いしてるかも知れねえってよ」

「はぁぁ!?

 そんな繊細(せんさい)な奴なら、もっと学食をきれいにしろよ。

 おれはもうぬれた壁面がうっすら緑色に染まってるのを見るのはイヤだから……」

「……ブヒイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッッ!」


 廊下から突然の絶叫。

 それとともに大勢の悲鳴がこだまする。おれたちもそれにつられて廊下に飛び出した。


「たいへんだぁぁぁっっ!

 ブッチャーがぁっ、包丁持って暴れまくってるぞぉぉぉぉっっ!」


 どっかの誰かが指差す先に、どデカい中華包丁をひたすら振りまわすブタマスクの姿があった。


「……ブヒィィッッ! ブヒブヒブヒィィィィィィィィッッッッ!」

「ほ、本当に来やがったぁぁっ!

 ていうかアイツさけぶとブヒブヒ言うのかよっっ!」


 マスクをつけているというのに、口のあたりから大量のツバをまき散らす。

 わずかしか開いていないはずの目の穴からはわずかだが危険な視線を感じた。

 やたらめったら包丁を振りまわすので、逃げ回る生徒たちはみんな必死だ。

 それでも奴に斬りつけられてしまうのでなんとも哀れだ。


 当然それを見かねた沙耶が、すばやくかけだして前に進み出た。

 それでどういうわけかブッチャーの動きがピタリとやんだ。

 気が狂ってても警戒心はあるということか。

 長髪から日本刀を取り出した沙耶からは、たしかにすさまじい気迫を感じる。

 横向きにした(さや)からゆっくりと刀身を引き抜き、残った鞘(変換メンドくせぇ!)をふたたび髪の中に隠して、光を放つ剣をまっすぐ前に構える。


 一方のブッチャーは何か思うところがあるらしく、背中にかけていた刃物をもう一方の手に取った。

 刃渡りの長い三日月形のナタのようなものだった。

 マスクの中からにらみつける目が怖い。ブッチャーは2つの武器を手に仁王立ちした。


「ゲッ! あいつなかなかいい構えすんじゃんか!

 沙耶、念のため気をつけて!」


 タタミちゃんの呼びかけは聞こえていたらしく、沙耶は片手だけをひょいとあげた。

 挑発されたブッチャーがすかさず前に飛び出した。


「ブヒィアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!」


 またしてもツバをほとばしらせながら、まるでイノシシのごとく突っ込んでいくブッチャー。

 一方の沙耶は冷静にその場にとどまったまま。

 思い切り三日月のナタを振り上げたとたん、沙耶は目にもとまらぬ速さでブッチャーのわきをすり抜けた。

 沙耶の長髪がふわりと舞うその横で、ブッチャーのわき腹から血吹雪が舞う。

 しかしブッチャーは一瞬身じろぎしたあと、すぐに振り返ってもう一方の包丁をなぎ払った。


「ブヒアァァァァァァァァァァァァァッッッ!」


 しかしそうなる前に、何かが飛んだ。

 おれはそれがブッチャーの包丁を持ったままの腕だと気づき、顔をしかめた。


 それでも、ブッチャーは残った腕で沙耶に斬りかかろうとする。

 三日月の攻撃を身を伏せてかわした沙耶は、下から思い切り剣を振り上げた。

 動きを止めたブッチャーが、ゆっくりとこちらに振り返る。

 次の瞬間、切り裂かれた腹から大量の何かが飛び出した。


「……うおぉぇっっっ!」


 思い切りえずいたおれの耳元で、ブッチャーの内臓がボトボトト床にこぼれる音がする。

 そしてドタァァンという衝突音がひびいて目を戻すと、ブッチャーの大柄な肉体は内臓を下敷きにうつぶせに倒れていた。

 それを見届けた沙耶は剣を素早く左右に振り、ゆっくりと鞘の中に戻していった。


「この程度の腕で、このわたしに勝とうだなんてね」


 前に聞いたことがあるセリフをよそに、廊下じゅうから「おぉ~」という声と拍手が鳴り響いた。

 それを見たタタミちゃんが腕を組む。


「動きはいいんだけどね~。

 何も考えなしの猪突猛進(ちょとつもうしん)じゃね~」

「おいおいそんなこと言うのかよ。

 それじゃ沙耶みたいな腕のいい奴がいなかったら、ブッチャーますます大暴れじゃねえか。

 拘束しとく必要があるんじゃないか?」


 困った顔でおれが言うと、タタミちゃんはあきれ半分に笑った。


「にゃははは。そんなこと言ってもこいつだって正規の職員だしね~。

 変なうらみでも買ったらあとあと面倒じゃね~?」


 しばらく考え込んだおれだったが、突然思いついたことがあってぽんと手を叩いた。


「あっ! そうだ!

 だったらもう一度学食に人が集まるように、思い切って大清掃(だいせいそう)しちゃえばいいじゃんかっ!」


 少々あ然とする仲間たちに、おれはあらためて向かい合う。


「ついでに、学校内の一斉清掃しちまおうよ!

 せっかくだから全校生徒集めての大掃除だ! そしたら誰も文句は言えないだろっ!?」

「おいおい、お前またずいぶんとんでもない提案してくれるな。

 採用されて毎年の恒例行事になったらどうすんだ?」


 ヒャッパはいかにもな表情で首をすくめるが、おれはひるまない。


「とにかく! やるといったらやるっ!

 さっそく今度の土日は全部活動を停止させてでも校舎内一斉清掃を実施するからな! 覚悟しとけっ!」


 いきり立つおれに、廊下じゅうがあきれ返った表情になったが、もはやだれも止める術はない。

 すみません。また掃除ネタになってしまいました。だって梅雨時のネタなんてうまいこと思い浮かばないし……

 できるだけ内容を面白くするつもりでおります。

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