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(3)

 中に入ると、目の前には圧倒的なスケールでそびえ立つ巨大な装置があった。


 天井近くの左右には巨大なコイルが並んでおり、そこから時おりビリビリとすさまじい電流が放たれている。

 中央には人影らしきものがはりつけにされており、載せられた台自体が光っていたためよく見えないが、やはりハヤタのものと思われた。

 その目の前にある高台の左右にはいくつもの人影がうかがえる。中には車いすに座っている者もいた。

 あれは……


 すさまじい電撃音とともに、何者かの声が聞こえる。

 おれたちは急いで目の前にある巨大な機械の影にひそみ、その会話に聞き入ろうとするが、いかんせん英語であるためによくわからない。

 ヒャッパがうめくようにつぶやく。


「くっ! やっぱり強彦だ!

 なんであんな変態鬼畜(きちく)博士のいいなりになんなきゃなんないんだ!」

「よせっ、声が出すぎだ! 意外とひびいてるぞ!」


 キースが肩に手をおいて彼をいさめる。

 タタミちゃんは思い切り顔をしかめている。


「いったいあそこで何の会話してんのよ?

 アタシ英語苦手だから通訳してくれる?」


 沙耶がこっくりとうなずいた。


「コイルから放たれた電撃のおかげでよく聞こえないけど、おそらく沖潮先生はスタイナー博士をいさめているようだわ。

 やはり本心は乗り気ではないのね」


 それを聞き、影乃はむしろいぶかしむ表情になった。


「だったら、なぜ彼はスタイナーのいいなりになっているんだ?

 いったいどんな方法を使えば、ただの人間が死霊族に無理やり言うことを聞かせられるんだ?」

「そんなことあとで聞けばいいんじゃん。

 今はとにかく、ここからどうやってハヤタ君を助けだすか、考えようよ」


 そう言って様子をうかがおうとするタタミちゃんを、おれは腕をつかんで引きとめた。


「待て!

 奴が先生を(おど)している手段がもし物理的な方法だったら、おれたちも危ない可能性がある。

 どうなってるのかはわからないけど、それを考慮(こうりょ)するにこしたことはない」

「なるほど、もっと慎重に行動するべきということね。さすが新介君ね」


 沙耶のほめ言葉におれは気恥ずかしくなった。


「や、やめろよ。とにかく、今はもっと用心深くまわりの状況を……」

「……きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」


 いきなりタタミちゃんがさけんだ。

 見れば彼女の身体が一瞬電流に包まれていた。手を離していなかったら危ないところだった。


 倒れ込むタタミちゃんの背後に、レトロチックな造形の銃に似た装置をかかえる白衣の男がいた。

 そいつはタタミちゃんに続き他のみんなを攻撃しようとするが、沙耶のほうがすばやく動き、長い髪の中から伸ばした日本刀の切っ先でそれを真っ二つにしてしまう。


「動くなっっっ!」


 しかし相手は1人ではなかった。

 気がつけば周囲には、何人もの白衣姿の男たちの姿があった。

 おれたちと同じ年ごろから少しシワを刻んだ中年まで、年齢は様々なようだ。


「よろしいっ!

 みなのものでかした、そいつらを目の前まで連れて来い!」


 広間の奥で声が鳴りひびく。

 白衣の1人がレトロ銃で移動をうながすと、おれたちはおとなしく言われたとおりにした。

 電流を浴びて思うように動けないタタミちゃんを、キースと影乃が支える。

 それを見たヒャッパはうめいた。


「すまない、最初に声を出した時点で気付かれたかもしれない」

「ち、ちがうかもよ……

 アタシのほうこそ、なんだかんだでこそこそ動いてたから……」


 顔をしかめつつタタミちゃんは言うが、部屋の奥からひびく声は告げた。


「いいや、君たちの行動はすべて見抜いていたよ」


 はりつけ台のそばに立つ人影が、前に進み出る。

 頭が大きくハゲあがり、残った左右の髪がここぞとばかりにバクハツしている、老人に近い西洋人の姿が見えた。

 手にはタブレットよりも大きな携帯端末を手にしている。


「我々は最初から逃げも隠れもするつもりはなかった。

 教員たちが手を出せないとなれば、必ず君たちのほうが引っかかると思ってね。

 ここに来るのを待っていたのさ」


 声は2つ鳴りひびいている。

 スタイナー博士は日本語を覚える気がさらさらないようで、いつも強彦先生の開発した翻訳(ほんやく)装置を使っていつも会話をする。

 それにしても流暢(りゅうちょう)な自動音声だ。まるで本人がしゃべっているようにしか聞こえない。


「ちくしょう、ワナだったのか。オレとしたことが……」


 くやしげな表情を浮かべるヒャッパに、強彦のシルエットが声をあげる。


「ヒャッパ! すまない!

 僕がふがいないせいで、君をも巻き込んでしまった!」

「どうしてだ強彦! いったいどうしてあんたがおどされちまったんだ!?」


 車イスに座るシルエットは、光るメガネをはげしく左右に振った。


「僕の脳に、寄生虫が仕込まれている!

 魔界からやってきたもので、命令に逆らえばいつでも殺すことができる!

 選択の余地はなかった!」

「ククククク、魔界に生息する生物は、なかなか使い勝手がいいね。

 おかげで他の科学教師たちもうまくひきこむことができたよ」

「他の教師? はっ! 物理と化学の先生もいるわっ!」


 見れば、見覚えのある人かげ2人が沙耶の声を聞いてがっくりとうなだれる。

 スタイナー博士は満足げな笑みを浮かべ、目の前の鉄製の手すりに両手を置いた。


「今回の装置の開発には、物理と化学の知識も必要なのでね。

 ついでに装置のプログラミング開発の必要性もあったので、すべての科学教師を味方に引き入れたよ。

 寄生虫を紅茶の中に仕込んでから、覚醒(かくせい)させるまでに長い時間を要したが、待ったかいがあったというものだ」

「それで教頭たちも思うように動けなかったわけか。

 しかしなぜだっ! なんでそこまでして、お前はハヤタを実験に使おうと思ったんだっ!?」


 声を荒げるおれを見て、スタイナーは「ハンッッ!」と鼻で笑い、手すりから離れた。


「クク、結城新介(ゆうき しんすけ)君と言ったな。

 同じ人間同士、ある程度話が通じることを願うよ。

 さて、魔界というものは我々科学者にとって実に都合の悪い存在だ。

 あそこではすべてのものが流動し、こちらの世界の物理法則が一切通用しない」


 言いながら高台を歩きだしたスタイナーを見て、タタミちゃんが「いったい何の話をしてんの?」と言いだした。

 おれは「しっ!」と語気を強めてだまらせた。


「しかしここにいるネクローバー(死霊族の国際名称)の学者どもは、それとは逆の考えをしたほうがいいと抜かした。

 いわば、我々人間がすむ現世こそ、物理法則によってがんじがらめにされた世界だと考えた方がいいとな」

「がんじがらめの世界、ねえ」


 おれがつぶやくと、聞こえていたのかスタイナーは不敵な顔をこちらに向けた。


「ネクローバー側の識者(しきしゃ)は我らの世界を、

 『縛界(ばくかい)』、つまり物理法則によって秩序づけられた世界だといい、

 逆に自分たちの住んでいる魔界を『幽界(ゆうかい)』、つまりうつろでとりとめない世界だという。

 どうだね、これはこれで、なかなか面白い見解だとは思わないかね?」

「確かに興味深い話だけど、それとお前の趣味の話がうまくつながらないぞ」


 スタイナーは正面を向いた。


「話は最後まで聞け。

 ネクローバーもまた、縛界のあり方からは大きく逸脱(いつだつ)した存在だ。

 その生態は実に“滑稽(こっけい) ”の一言に尽きる」


 おれが「こっけい?」とオウム返しすると、スタイナーはおもむろに両手を広げた。


「もっとも、現代の科学知識で解明できる部分もある。

 ネクローバーは高度に発達した細胞(さいぼう)複製能力の持ち主だ。

 身体中のどこを破壊されても、軽いケガならものの数十秒、どんな重症でも数時間で元に戻ってしまう。

 それ自体はまさに驚異(きょうい)としか言いようがないのだが、1つ都合が悪いものがあるようだ」


 おれがだまったまま聞いていると、スタイナーは白衣のポケットに手を突っ込んだ。


「ほとんど不死身の存在と言ってもいいネクローバーだが、さすがに大量出血は恐ろしいらしい。

 そのため彼らの体内にある出血を抑えるための血小板が、人間のものよりも異常発達している。

 細胞が損傷し出血の恐れが発生した場合に、ネクローバーの血小板はすぐさま損傷部をおおい、必要以上の血液が体外に出血するのを抑えることができるようだ」


 スタイナーは、いったんため息をついた。


「しかし、細胞修復能力自体に関しては未知のままだ。

 おそらく細胞自体に驚異的な形状記憶能力が秘められているのだと思われるが、なにせ人知を外れた世界の住民のことだ。

 我々人間にそれを解明する機会は、おそらく永遠にあるまい。

 これはネクローバーが個体別に有している特殊能力に関しても言える」


 スタイナーが、ふたたび横を向いて高台の上を歩きだした。

 そこはちょうどハヤタと思われる張り付けられた少年の前を通り過ぎたところだった。


「ネクローバーの生態の中で、もっとも不可思議と言えるものがある。

 現世に移住し、長い時間が経過してなお、彼らの能力は全く(おとろ)えることがないということだ。

 本来あるべき幽界との接触を断っているにもかかわらず、縛界に身をおいてもなお、彼らは以前と何ら減退なく能力を発揮できる。

 どうやら一度幽界に順応した生物は、こちらの世界におもむいてもあくまで幽界の生物足り得るようだ」

「おい、いつまでもムダ話してないで、さっさと本題話せよ」

「やかましいっっっ!」


 キースのうんざりした声にス、タイナーは血走った目を向けて金切り声をあげた。


「お前の話など聞いておらんわっ!

 ただでさえバケモノだというのにわたしの話を理解できん低能に、あれこれ言われる筋合いなどないっっ!」


 おれは虫のいどころがよくなかったが、キース本人は低能呼ばわりされたせいか不機嫌な表情をくずさなかった。

 スタイナーはいったん息を整える。


「ふう、話を続けよう。さて、なんだったかな?

 ああそうだ、幽界の生物が縛界でも能力を維持できることに関して、ネクローバーの学者どもはある定説を立てている。

 すなわち一見異なる次元で堅牢(けんろう)(へだ)たれている2つの世界は、実は何らかのつながりがあるのではないかと。

 つながりがあるどころか、2つの世界は密接につながっており、むしろ我々が別々と思い込んでいるだけで、両世界は一心同体ですらあると考える学者もいるようだ。

 分かれているようで分かたれていない世界、じつにSFじみているとは思わないかね?」

「悪い、おれもイライラしてきた。

 いったいいつになったら本題に入るんだ?」


 おれのいらだちまじりの声に、スタイナーは正面を向いて人差し指を立てた。


「そうあせるな。ここからようやく本題だ。

 我々人間の科学者は、この不可思議な生態を持つネクローバーに対し、数々の実験を行ってきた。

 目的はもちろん、医学への貢献(こうけん)だ。

 頭部を切り離して放置するか、脳に致命的な損傷を与えない限り無力化できないネクローバーは、人体実験に利用するには最適の存在だ。

 もちろん生態的な差異はあるものの、マウスや猿のような身体構造のまったく違う生物を使うよりはよほど人間のものに近いデータが収集できる。

 惜しむらくは脳に関する実験だが、これはネクローバーの人口10%を占める知的障害者を代用することでなんとでもなる。

 ククク、それにしても障害者率が10%か。なんとも非効率的な社会だ」

「まさか……お前今までも散々死霊族の身体をいじってきたのかっ!?」


 声を荒げたおれに、スタイナーはあっけらかんとした声で答える。


「それ自体は何の問題もないよ。

 我々はきちんと政府側、ネクローバー自治体側の承認(しょうにん)を得ている。

 我々は今までは相互理解を経てネクローバーの生態解明に尽力してきたつもりだ」

「今までは、という言い方をすると、今回はさすがにちがうんだろ?」


 おれが責め立てるような口調で告げると、スタイナーはいったん目を伏せ、笑いだした。


「クククク。ただ1つ、両サイドがまったく承認できない提案があってね。

 他国ならすぐに思いたちそうな用途が、この国ではまったく理解されんのだよ」


 スタイナーが、まっすぐおれの方を見た。


「ネクローバーの、『軍事利用』だよ。

 彼らを戦場に送れば、これほど恐ろしい兵器は他にはありえない。

 もちろんゲリラ戦でしか活用できんがね」

「人を……モノみたいにっっっ!」


 タタミちゃんの普段とは想像できないあらげた声に、スタイナーは立てた人差し指を左右に振る。


「チッチッチッ。君たちは人間じゃないだろう?

 私が君らを自分と同列に扱うと思うかね? 感情移入してやる義理はないよ」


 スタイナーははりつけられているハヤタのほうに目を向けた。


「しかし、ネクローバーを兵器として利用するためには大きな問題がある。

 彼らの能力の源が異界の力である以上、その生態を解明してこちら側の人間に適用することはできない。

 そこで次に、我々はネクローバーのクローン化を試みた。左右を見たまえ」


 言われその通りにしても、そこには空になっていた丸いガラスケースがいくつも並んでいるだけだ。


「それも失敗に終わった。

 ネクローバーの細胞を採取してクローンをつくりだしても、たいていは中途半端な能力しか覚醒(かくせい)しない。

 どうやらネクローバーは無理やり増殖(ぞうしょく)しても本来の力を発揮できないようだ。

 さらに知性も大幅に退行してしまいまったく使い道がないので、処分するよりなかったよ」

「なんてこと……

 生命をもてあそんでおきながら、その責任までとらないだなんてっっっ!」


 沙耶が怒りの表情をむき出しにして振り返るが、相手はケラケラ笑うだけだ。


「言っただろう、私は君たちを理解しないとな。

 私が君たちに期待するのは、科学的に利用できるかできないか、それだけだ」


 そう言って、スタイナーは目の前のはりつけ台をコンコンと叩いた。


「そこで、私はようやく1つの結論を出した。

 数を増やせないのなら、1体1体を強化した方が結果につなげられる、とね」


 知性も感情もある死霊族をわざわざ「1体」と数えるのにも腹が立ったが、今はそれどころではなかった。


「ハヤタを、いったいどうするつもりだっ!」


 スタイナーはこちらに人差し指を立て、そのまま携帯端末をいじくりはじめた。

 巨大装置の右側にある、誰も前に立っていない金属製の筒のようなものが、下にスライドしていく。


 おれたちは思わず口をふさいだ。

 現れた培養液の中には、うねうねと気持ち悪くうごめく昆虫のようなものが浮かんでいたからだ。


「先ほど説明した、ここにいるネクローバーの学者たちに寄生させた魔界虫の応用だよ。

 寄生虫を遺伝子操作して、まったく別の生態を持つ生物へと進化させた!」


 スタイナーはさらに端末をいじる。

 すると培養液の中の生物が激しく動き出し、まるで吸い込まれるように上に消えた。


 巨大装置の上部にある2つのコイルが、ゆっくりと回転を始める。

 同時に天井から何かが現れた。中央に太いチューブが仕込まれた、巨大なロボットアームだ。

 ロボットアームの先がはりつけ台のほうまで近づくと、そこから小さなアームが4つ伸びて、気絶しているハヤタの手足をつかみ取った。

 そのショックのせいか、寝ていたハヤタがはっと身を起こしたが、その時にはすでに遅く裸の上半身にロボットアームの中央部ががっちりと密着してしまう。


「なっ、何が起きてんだっっ! 助けて、助けてくれぇぇぇっっ!」

「おいやめろスタイナーッ!

 そんなことしたら本当に後に戻れなくなるぞっ!」


 思わず手を伸ばすが、銃でおどされているせいで身動きが取れるわけもない。


「ハハハハハハハハァァッッ! バカめぇぇっ!

 科学者というものは成果だけ出せば、後はどうなってもよいのだっっ!

 ハハハハハハハハハハァァァッッッ!」


 スタイナーの狂ったような笑い声は、巨大コイルが激しく回転するせいで聞こえなくなってくる。

 電流まじりに高速回転するコイルが、外れるのではないかと心配になった。

 スタイナーは血走った目で端末をいじり、いったん手を離した後、勢いをつけたように人差し指をたたきつけた。

 するとロボットアームのチューブから、巨大な影が現れる。


「ああっ! いけないっっ! ハヤタ君が取りつかれてしまうっ!」


 沙耶は言うがすでに遅く、チューブを通る影がハヤタにたどり着いたとたん、彼の身体が激しく痙攣(けいれん)しはじめた。


「ぐわあああああああああああああああああああああああっっっ!」

「「「「ハヤタ(くん)ッッッッ!」」」」


 あまりに壮絶な悲鳴に、おれたち全員が絶叫をあげてしまう。

 その中で、おれはかすかに周囲の白衣たちもまた装置に目を向けていることに気がついた。


 急いで沙耶の身体に触れると、彼女はその意図を理解したかのように素早く動いた。

 彼女は長い髪で白衣の1人が持っていたレトロ銃を奪い取ると、それを別の白衣に向かって発射した。

 タタミちゃんも動き、ブラウスの中からすばやく手裏剣を放つと、顔を刺されてうめいた白衣の男たちに手の先から伸ばした分銅をたたきつけた。


 最後にキースが首にはめている円盤を引き抜くと、それをあとあとから銃を突きつけてきた白衣に向かって投げつけた。

 相手は目のあたりに円盤が突き刺さり、倒れ込んだ。


「まったく!

 同じ死霊族が大変な目にあってるって言うのになんとも思わないのかなぁっ!?」


 タタミちゃんが白衣の1人を蹴りつけるのを見て、おれはいさめた。


「自分の意志とは限らないだろ? それよりハヤタはどうな……!」


 何かがはじける音がひびいた。思わず身をかがめ、様子をうかがう。

 ゆっくりと前方をうかがうと、巨大コイルは火花を飛び散らせただけで、完全に動作を停止させてしまったようだ。

 しかし、部屋が薄暗くなってなおスタイナーは笑っている。

 はりつけ台の照明は消えていて、ハヤタの様子は見えない。


 突然、広間を別のライトが照らしだした。

 うっすらと見えたロボットアームが、グググと上にせり上がっていく。


 と思いきや、いきなりはじかれるように天井に叩きつけられた。

 アームから火の粉が飛び散り、おれたちはそれを頭の上にかぶってしまった。

 あわてて高台に目を戻すと、手すりの上に何者かが器用に立ち上がっている。

 腕をがっちりと組むそれは、あまりに異様な外見をしていた。


 全身を甲殻(こうかく)におおわれ、背中からは昆虫の羽根のようなものが生えた、まったく別の生き物。

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