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ただ焼いただけの肉を食べようツアーを終えて帰路につく四郎達。
「うぐぐぐぐ……」
その最後尾で布団にくるまったヒピュスを背負う少女がいた。帰ろうとする四郎達が気がついたらヒピュスが取り付いていたのだ。少女はヒピュスの重さでよたよたしている。
「それ、ポイしていいぞ」
「か、神を捨てる……なんて、出来ない」
『ウチがやろうか?』
アルッテが背負われているヒピュスに手をかけるとそのまま引き剥がして捨てた。
「あ、あの……いいんですか?」
ヒピュスを捨てて歩きだしたアルッテに話しかける少女の背後で、
ーーズルズル……ズルズル……。
そんな音がして振り返ると布団にくるまれたヒピュスがみのむしのようにはって着いてきていた。
「……神っていったい……」
「君にいい言葉を送ろう。気にしたら負けだ」
四郎の言葉に勇者がウンウンとうなずいていた。
こうして芋虫が背後から着いてくる集団がしばらく歩いていると、
「そういえば、名前なんだっけ?」
「そういや、聞いてなかった」
「今さら!?」
四郎と勇者は少女の名前を聞いていないのを思い出した。
「どうして今なのよ! 普通、気になるでしょ?」
「いや……」
「……そんなに」
四郎と勇者の視線が胸と足に向いた。どちらもお気にめさなかったようだ。その為に興味が無かったのだろう。
「何か侮辱された気がします」
少女がむくれる。
「ソンナコトないお」
「ソウデース」
「その片言が疑わしいわ!」
ハァハァハァーと陽気な外国人風にごまかす二人。
『それにしても、どうして女の子一人であそこにいたの? 家はどこ?』
「私は闇の使徒。その為に安住の地は持ちません」
ジョ〇ョ立ちして答える少女に、
「彼女はボッチだそうです」
「違うわ!」
「グフッ!」
そう手をあげて答える四郎に腹パンして黙らせる少女。
「私は闇に生きるもの。ダークネス・レインボーと呼びなさい」
「って事は、ダーク=闇としても闇野はないから夜野かな? そして名前はレインボー=虹で虹子さんでよろしいか?」
そう解説した勇者も腹パンされてうずくまってしまった。
『ならば、虹子ちゃんでいいよね?』
「違うーー! そんなダサい名じゃない!」
「そう言うな虹子」
「そうそう。虹子でいいじゃん」
「違うつってんだろうが!」
四郎と勇者はもう一度腹パンされ、うずくまる。
「いいパンチもってんじゃねえか。どうだい? 俺と世界を目指さないか?」
「やめなよ! いろいろと危ないから!」
「立つんだ! ジョ〇ーーー!」
「だから止めろって!」
「バカな! 不沈艦と呼ばれたおいらが腹パン一発だと!?」
『誰も呼んでないから』
そんなバカなやり取りの中、
「やはり、そのツッコミのセンスは転生者か転移者だな。虹子」
〇ョジョ立ちで指摘する勇者。
「うっ、しまった」
「しまったじゃないし。それに勇者よ、中二病に反応したときから気づけ!」
「四郎は気づいてたのか?」
「そういうのを考えるのも勇者の仕事だろ?」
「お前も気づいてなかったんだろうが!」
言い合う二人をよそに少女は暗い顔をしていた。
「私はどうなっちゃうんでしょうか? まさか、奴隷とかされて元の世界の知識とか吸い出されて要らなくなったらポイされるんですか?」
「そんな事はないぞ! 僕が保護する」
「この方をどなたと心得る? 前の福将軍、水戸光國公にあらせられるぞ! 頭が高い! 控えおろう!」
「ははーー!」
少女は印籠を前にした悪代官のようにひれ伏す。
「四郎、何やらせてんの! 違うからね! 僕はこの国に召喚された勇者だから!」
「勇者の御前である! 控えおろう!」
「ははーー!」
「だから止めろって!」
「冗談はここまでにして、勇者?」
「そうだ。僕がこの国の勇者だ!」
「そして、おいらが一般市民だ!」
「……はあ。」
「それでもこいつは落武者だから」
「ええぇぇーー!」
「違うわ! 転移者だから! 落武者やめーい!」
「そんな訳で同じようなものだ。安心していいよ」
「……その辺は同意してやる。でも落武者は止めろよ?」
「それで話を戻すが、名前は?」
「中二病引いた所でお願いします」
「……わかったわよ。私の名前は闇乃小路 虹香です。よろしく」
「「いや、だから中二病いいから」」
「そう言われるから、言いたくなかったのよ! ウワーーン!」
少女ーー虹香が泣き止むまで帰るのが遅れるのであった。
『お姉さま、ウチら空気だったですね』
『……そうだね』




