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「あのー、これどうしたらいいですか?」
ディーニュに、邪眼草を持てるだけ持たせられた黒い少女が泣きそうな声で言った。
「鹿を獲ってきたぞ!」
『よし、解体だ!』
『お姉さま、飛べない鳥です』
『捕まえてきて』
『はい!』
『……zzzz』
『ああっ! 穴に落ちた! 何するんですか!』
「ディーニュ、火はこれくらいでいいか?」
『串刺しにした肉を回りに刺して』
「話をキケーー!」
無視された少女の叫びにみんなが止まる。
「「ああ、腹が減ったんだな」」
勇者達の声に涙を流して地団駄踏む。
『はいはい。それじゃ回収するね』
ディーニュが少女から邪眼草を回収してポケットに入れる。まだむくれている。少女を連れて座らせる。
『はい』
焼けた串焼きをとり、少女に渡す。それを一口かじり、
「普通の肉ね。塩コショウした」
まだ膨れっ面してそう呟いた少女の横で、
「ふ、ふ、普通の肉だぁぁぁっ! 普通に塩コショウだけの普通の肉だぁぁぁ!」
その横で涙を流しながら肉を頬張る四郎のテンションにドン引きした。彼女は知らない。筋肉を見すぎて肉拒絶症になったことや、“過食と脂肪の”神の所で作られる油の真実を知り、唐揚げを食べられなくなった事を。
『ここで特製油をーー』
「てい!」
こっそりと油の入った瓶を取り出すアルッテに四郎の手にあった串が飛ぶ。
「アルッテ、余計な事はするな」
『お姉さまの言葉以外聞く耳持ちません。お姉さまも油で揚げた物とかほしいですよね?』
「ダメだ! ここは塩コショウで味付けして肉から滴る油の味を楽しむ為に来たんだ! その得たいの知れない油はポイしなさい。ポイ!」
『そんじゃ、ポイ!』
アルッテの手から放られた瓶は火の中に落ちた。瓶の割れる音と共に炎が爆発的に広がる。
「退避、退避ーー」
『これで肉がよく焼けるな』
「焼けるじゃねえ! こげるんだよ!」
『誰か水を……』
『……zzzzz。熱い』
「熱いじゃないよ! 逃げなきゃ焼けるからね!」
『……神が焼けたら食えるのだろうか?』
「ディーニュちゃん、危険な呟きはやめて!」
燃え広がる炎の前で右往左往する四郎達の前で黒い少女が炎に向かい、
「《水の精霊よ。天空より粒となりて、我が敵を穿て! アクア・レイン》」
その手に持ったジョウロで水をかけた。
「「…………」」
『『…………』』
「あまりの大魔術に声も出ないようね」
ジョウロの水で鎮火した現場を見て黙りこむ四郎達を見て得意気に胸をはる少女。
「ジョウロだ。それも象さん」
「呪文の後にあれだから言葉がでなかった」
四郎と勇者は少女の手に持たれた象さん型ジョウロに驚いていた。そして、
『あれって“草木支える恵みの”神の力?』
『すっごく珍しいね。それで消火するのも』
ディーニュが火が消えた場所を見ているとそこからビデオの早回しのように草が生えてきて、辺り一面にできた鈴なりになった目玉がじろりと少女を見た。
「ひぃぃー、キモい」
『ジョウロから出た水は植物を育てるんだけど、ジョウロ持った人が最後に持っていた植物が優先されて生えるから余り使う人はいないんだった』
ワタワタして隠れようとする少女を追いかける邪眼草の視線を見ながらディーニュが言った。この後にディーニュが全てポケットに入れた。
『これでお兄ちゃんの魔改造計画が進むね』
少女の名前付けてなかった!




