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鍋の中で煮込まれる音や、包丁のまな板を叩く音が聞こえる中、
「なあ、俺達も食えないの?」
勇者が聞いてきた。
「……食うの?」
「いい臭いさせてんのに食えないの? 食わせてくれよ」
「味見させてもらってきたら?」
「よし、もらってくる!」
料理している二人の元に飛んでいく勇者はしばらくして両手に皿を持ち戻ってくる。片方が四角い肉をタレに着けて煮込んだもの。もうひとつが野菜が混ぜられた肉団子だ。
「いただきまーす!」
最初に肉団子の方を口に入れた。口に入れてしばらく目を閉じて味わっていたが、
「普通だ……」
ディーニュが少しムッとした顔でこっちを見た。ディーニュの肉団子だったようだ。そして次は煮込まれた四角い肉を口に入れた。
ーーバリバリッ! バリバリッ!
「服が弾けとんだ!?」
勇者の服が(おもに腹部)が弾け飛び、全身がたるみ頬も弛みきり垂れ下がってしまった。
「うまかったデブ」
『何か、語尾まで変わった!』
「どうかしたデブ? ででデブデブ?」
『言葉まで!?』
「言語中枢にも影響があるのか……」
「デブ?」
もう、そこには勇者はいなかった。ただの脂肪星のデブリン星人がいた。
「キャーー! キモい!」
「イヤー! プヨプヨしてる!」
「デデブ?」
「こっち、くんニャ!」
勇者の仲間を追いかけるデブリン星人を兵士達が取り押さえる。
「食ったらああなるのか。食ってみる?」
『絶対、食わない』
カーリンが嫌そうに首を振る。せっかく筋肉を取り戻した神官も勇者の姿を見て震えて絶望していた。
「大丈夫だ。ディーニュがやってくれる」
『ディーニュに任せなさい! 今日は特別だよ~。そんな脂肪なんか燃焼させて筋肉の糧にしてやるのだ!』
『そうはいかんブー』
『おー、ひさしぶり?』
女の側に汗っかきのデブが現れた。“過食と脂肪の”神のようだ。背油上等とかかれた特攻服を着てディーニュを睨む。
『ゲテモノ野郎がどこから戻って来やがった』
『うっせえ! 燃やしてやろうか? 油カス!』
「やめて~! ディーニュちゃんが不良になっちゃう!」
メンチ切り出す二人に挟まれて女がオロオロしている。
『こっちはできたか?』
「は、はい」
『最後の仕上げをしてやろう』
煮込まれた肉の上に腕を持ってくると力こぶをつくる。そこから汗ならぬ油が出て腕を伝い肘から皿の上に落ちる。
『さあ、食え!』
「「イヤだーー!」」
神官達が泣いた。
『つべこべ言わすに食えや!』
口に突っ込まれ無理矢理食わされる。服の破れる音の後、
「「デブデブ~!」」
デブリン星人が増えた。




