表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/116

85

「……シャリシャリシャリシャリ」

『お兄ちゃんが虚ろな目で野菜食ってる……』


 勇者の家で四郎はキャベツに似た野菜を一玉持ってかじっている。


『薬草採りの依頼は終わったんだろ?』

『終わったら、菜食主義者になってた』


 毎日のように見せつけられる筋肉に四郎の心は拒絶反応を示して肉を食べられなくなっていた。


「この野菜は甘みがあってうまいな」

『ここにレアで血の滴るステーキ!』

「ギジャァァァ!」


 ステーキを見たとたん、猫のように毛を逆立ててステーキに威嚇する。そして半径1mを保ったまま周りを回りだした。


『ちなみに、魚をやると』


 近づいて臭いを嗅ぎ、うろうろしながら魚をつついている。


『こんなのお兄ちゃんじゃない!』


 ニンジンを与えて生でかじってるのを見てディーニュが泣いた。


「おお、こんな所にも薬草採りの犠牲者が……」

『誰?』


 アルッテが振り返るとそこに線の細い老人がいた。勇者の家で見たことがない人物だ。


「私は『筋肉被害者の会』会長のコブトリーノです。私達は薬草採りの帰りに筋肉を見せられる事で拒絶反応が出た者で神殿に抗議活動をしている団体です」

『ほう。まあ、ステーキでもどうぞ』

「ヒイィィィ!」


 アルッテの出したステーキを見て悲鳴を上げるコブトリーノ。すかさずその周りをステーキで囲む。コブトリーノはその真ん中でうずくまっている。


『うむ、本物だ』

『……その確かめ方もどうかな?』

『ついでに四郎も囲んどいた』

『お兄ちゃん!?』


 四郎は囲まれたステーキにイラつきながらうろうろしている。


「依頼を終わらせてきたぞ。四郎はどうして……」


 四郎達があてがわれている部屋に久しぶりに帰ってきた勇者が入ってきて部屋の中を見て固まった。


「ペットボトルで囲まれた猫のマネ?」

『そんなのあるのか?』


 勇者は猫避けのペットボトルを思い出したようだ。


「こんなことに食い物使うなよ」

『大丈夫だ。後でメイドスタッフがおいしくいただくから』

「そんな事にうちのメイド使うんじゃねえ!」


 勇者の怒鳴り声にアルッテは鼻で笑った。


『四郎がこうなってすでに5日。その間にあらゆる肉に対する反応を見るためにメイドには頑張って貰った』

「ま、まさか……」

『メイドの皆さんに3食、おやつすべて肉を食ってもらい、腰周りどころか足もむくみはじめてきたためダイエットに頑張っている』

「あの細くて美しい足が……」

『適度にふっくらとしてきているぞ』

「ノオォォォォ!」


 崩れ落ちる勇者を見てディーニュが呟く。


『もう、アルッテは“平然んと心折る”神に改名した方がいいんじゃないかな?』

『改名するなら“お姉さまを守る”神の方がいい』

『それはないかな?』


 カオスな状況はカーリンが戻ってくるまで続いた。そしてステーキはアルッテが全て食べさせられました。



 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ