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「はい、それでは依頼をお願いします」
四郎をボコってストレス発散したためか機嫌の良い受付の女性に依頼を受理してもらいギルドを出る。
『四郎、もういいぞ』
「いや、まだ獲物を見るような視線を感じる」
カーリンが振り返るとこっちを見ている受付の女性が見えた。
『お金貰えるんだから我慢しろよ』
『次、アルッテな』
『お姉さま、それはないです!』
『悲鳴をあげて逃げ回る四郎がお気に入りらしいからな……』
ギルドの女性職員の斬撃から逃げ回りどうにか負けなかった四郎はギルドカードを作ってもらったのだが、その恥も外見もない逃げっぷりにSっ気を刺激されたのか時々相手をして欲しいと頼まれたのだ。
『月に数回付き合う書類にサインしたのは四郎だからな』
「あんな時だけ胸を強調するなんて卑怯だ」
四郎はこの時に女性の恐ろしさを知った。
『その胸に手を合わせて、うんうん言ってたのは誰?』
「それはおっぱい教の信者だからです!」
力いっぱい叫ぶ四郎に冷たい目を向ける女神達。
『依頼だったな』
「近くて簡単で直ぐに戻ってこれる依頼だそうだ」
『……そんなのあるのか?』
「見ろ! この依頼書を」
『……薬草採り?』
「神殿の裏手の森の入口付近で薬草をできるだけ採って来るのだ!」
『それ、女子供でもできるよな?』
『それを……四郎に?』
「薬草採りは何でか子供はダメだそうだ」
『……怪しい』
『よく見せてみろ。……ここの隅の方に小さく何か書いてあるぞ』
依頼書を覗き込んだアルッテが指差したそこには、
「200束以下は受け付けません。揃うまで毎日採りに行ってもらいます。途中で辞めた場合、罰金……」
『最低でも200束?』
『罰金とも書いてあるが……』
「でも、行って直ぐにでも、いくらでも取れるって……」
『むちゃくちゃ怪しい』
『でも受けちゃったしな……』
『依頼を受けたのは四郎だから四郎だけ行ってくれば?』
そう言いながら神殿に行けるゲートの前に着いた。兵士が立って行く人を整理している。
「神殿に用かね?」
「薬草採りの依頼で来ました」
「そうか。ガンバってくれ」
「通っていいですか?」
「ちょっと待て……」
そう言って兵士は四郎の胸元に赤い布を付けて薬品を握らせる。
「これは?」
「何かあった時の用心だ」
『何かあるのか?』
「……さあ、通りたまえ。次もつかえている」
『何故、目を合わせない?』
「…………」
無言で目を合わさない兵士を尻目にゲートを通る。神殿ではいやに丁寧に裏手まで案内された。その時に等間隔に置かれた膝下位の高さの丸い石あったのだが、それの持つ役割には気がつかなかった。
森の入口には一面に薬草が生えていた。
「マジに取り放題だけど?」
『ホントにナニがあるんだ!?』
『とにかく早く終わらせよう。できれば今日中に200束』
四郎達はせっせと薬草を集め始めた。
「これで100……」
『後、半分……』
『残りは明日だ。諦めよう』
3人で分けて持っていこうとすると、
「それはこちらの方でギルドに渡しておきます」
そう言って神官が筋肉を見せつけながら薬草の束を持っていった。
「それでは、薬草はよろしくお願いします」
「わかりました。こちらこそよろしくお願いします」
そう言って神官は深々と頭を下げた。四郎達はそれを見て首をひねりながら裏手からゲートに向かうドアを開けた。
ドアの先には石の上で様々なポーズをとる神官達が待っていた。
「はっ!? ここは?」
四郎は気がつくとゲートの前につっ立っていた。兵士が気の毒そうな目で見ている。
『……そうか。だから受けたがらないんだ』
『ううう……気持ち悪い』
顔を青ざめさせながら、踞るアルッテの背中をさするカーリンがいた。
『明日から四郎だけな』
「マジで?」
『迎えぐらいは来てやる』
こうして四郎は筋肉を見せられる日々を送ることになった。




