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「おっちゃん、仕事くれ」
「誰がおっちゃんだよ! まだ若いんだよ」
「えっ? どこが?」
「どこ見てんだよ!」
無言のまま、カウンター越しに頭を指差す四郎の手を叩き落とした。
『ゆでダコだね?』
『怒ってるだけ。タコじゃない』
『あれは食えないかな?』
アルッテ達の呟きが聞こえたのか更に赤くなる。
「さあ、ここでさらに弄られたくなければ仕事ください」
「誰がやるか!」
カウンターに手を叩きつけてそっぽを向く。
「なあ、ギルド職員てこんなに短気だっけ?」
『……四郎のせいだと思うぞ?』
「……?」
「何で、首捻ってんだよ!」
四郎達が来たときはギルドには人がほとんど居なかった。ゆっくりしすぎていたため、出遅れたようだ。そこで、職員に聞こうとしたらタコにあたった為にこうなっている。
「ユダッタさん代わりましょうか?」
「こいつら相手してやる意味はねえぞ! 時間の無駄だ」
「なるほど、ゆで上がる時間が欲しいと……」
「ぶっ殺すぞ!」
「まあまあ……」
そう言って代わったのは20代の女性だった。胸元がふくよかな為に四郎は拝みだした。
「……それではギルドカード出してください」
女性は四郎の事を黙殺して仕事をする。そのスルー能力にアルッテが驚いている。
「ははー、お納めください」
そう言ってギルドカードを出す。それを手に取って見る女性の眉間にシワが寄る。ユダッタの方に行くと二人して隅でこそこそ話している。暫くすると戻ってきて、
「他国の物ですよね?このカードは使えません」
「なら、ギルドで依頼を受けられないと?」
「こちらでカードを作って貰えばなんとか……」
ちらりとユダッタを見る。
「俺はしないからな!」
「戦闘で実力を見るのですが……」
困ったような顔で四郎を見る。
「おっぱーーお姉さんはできないんですか?」
「いえ、……あの……」
「俺の代わりにやってくれ」
「いいんですか?」
「俺がギルド長には言っておく」
「それならば……」
こうしてギルドの地下にある練習場に連れてこられた。
『それじゃ、アタシ達は見てるから』
「……えっ?」
『お兄ちゃんガンバってね!』
『死んだら骨は拾ってやる』
「不吉な事言うな!」
そうして練習場の隅に行ってしまうカーリン達。少しして紅い鞘を両手で持って女性が入ってきた。
「それでは、実力を見るための試験を開始します」
「はい」
「……死なないでくださいね?」
「……はい?」
首を傾げた四郎の目の前で鞘から剣が引き抜かれる。その刃は首を狙っている。
「はい!?」
カエルの様に飛び跳ねて間一髪で避けた四郎はバランスを崩して尻餅をついた。
「……たるんどる」
振り抜いた姿勢で女性が低い声で呟いた。
「剣を構えろーー!」
剣を持ち直すと上段から座り込んだ四郎に降り下ろす。
「わぁぁぁぁっ!」
慌てて横に転がり立ち上がる。
ーーザクッ!
女性の剣が四郎のいた地面に食い込んでいる。
『なあ、あれって……』
『“戦で踊る”神の剣だな』
『あの戦闘狂の?』
“戦で踊る”神は戦場で戦えない者も戦える力を貸す神である。そのメダルは様々な武器変わり持ったら止まらない戦闘狂になってしまう。彼女は元々大人しい性格で仲間と入ったギルドで足を引っ張ってばかりいた。その事を悩みある神殿に祈りを捧げた。
「来るな! 来るな」
「逃げるな!」
手に入れた剣は抜いたとたんに性格をがらりと変えてしまうほど強力だった。そうしてギルドで成果を上げることはできたのだが、仲間もドン引きする戦いぶりに仲間も引いた。彼女の美しさに言い寄る者も多かったが『剣を持たなきゃな……』と今現在、婚期を逃す一歩手前まで来ていた。
「何でハゲと一緒なんだよ!」
「知るかーー!」
こうして四郎は1時間ほど追い回された。
「それではこちらがギルドカードになります」
『……渡しておこう』
鬱憤が晴れたのか色艶の良くなった女性のからカーリンがカードを受けとる。そしてディーニュにしがみつき女性から距離を置く四郎を見て今日は帰ろうと思った。
こんな受付嬢は嫌だーー。




