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「勇者よ、よく戻った」
豪華だが大きすぎて座り心地の悪そうな玉座に座る王の前で頭を下げる勇者。
「それで、その者達は?」
「人生を転落した者とメダルを渡した神です」
「それは違うからな!」
「失礼。呼ばれてないのに来た者です」
「それも失礼だな!」
勇者の後ろで頭を下げていた四郎も思わずツッコんだ。
「おいらは四郎と言ってこの馬並み勇者と同郷です。偶然こっちに落ちてきて今までアマテーラス神殿で生活していました」
「いろんな意味で馬並みなのか?」
ナゼか王が馬並みに食いついた。
「まあ、一部(足)ですね」
「そんなに凄いのか?」
「すごいも何も、馬さえも裸足で逃げ出す凄さだ!」
王の目が勇者の下半身に向き顔を青ざめさせる。
「……さすが、勇者だ」
「何かすっげえ勘違いされてる……」
勇者の声に気を取り直して、
「それでその者が連れてきた神をこの国の守護神に会わせるのだな?」
「どうか、許可をいただきたい」
「よし、神殿にお伺いをたてよう。その間はこの王宮に勇者と共にいてもらおう」
「ありがとうございます」
こうして王との謁見は終了した。
「こちらをお使いください」
ミニスカメイドに連れられて王宮の一室に案内される。そこには無駄に凝った装飾を付けた内装が施された10人位泊まれる部屋だった。
「寝室は隣になります。こちらから行けますので」
そう言って室内のドアを開ける。特大サイズのベッドが用意されてあった。
『ご苦労』
ヒピュスは真っ先に寝室に入り、自前の布団を特大サイズのベッドの中央に敷くと眠ってしまった。
「しょうがないな……」
四郎はカーリン他を呼んでヒピュスの布団の四隅を持って部屋の隅へ移動させた。
『これでみんなで眠れるな』
『ふかふか?』
『お姉さまの隣は譲りません!』
「いや、まだ日は高いよ?」
そう言って元の部屋に戻りテーブルに着くとメイドが紅茶を持ってきた。置く際に少しかがんでやるので四郎の頭が背もたれを滑り落ちそうになる。
「無駄だ! 見えないからね!」
突然、ドアを開けて入ってきた勇者が告げる。
「僕の作ったスカートの絶対領域は何人の視線も通さない!」
「くっ、無駄に高い技術を使いやがって……」
「そう言いながら鼻の下を伸ばしてるのは何でだ?」
「見えそうで見えない……これがいい!」
ウンウンと頷き固い握手を交わす二人を軽蔑した視線を向けて退出するメイド。そうして用意された紅茶を飲んで言葉を交わす。
「それで、神殿にはいつ行けるんだ?」
「多分、明日だ。僕の連れてきた客だし直ぐに対応してくれるよ」
「あ、そう言えばここの守護神の事を聞いてなかったな」
「それは明日、神殿で聞いてくれ」
「何でだ?」
「守護神の名前は神官にしか教えられない決まりなんだ。僕でも知ってても神殿外ではしゃべることは禁じられているんだ」
「そうなのか……」
「ああ、それと食事もここに運ばれて来るからな。王様と食うのは嫌だろ?」
「そいつは助かる。人数分持ってきてくれるんだよな?」
「人数分?」
『アタシ達も食うからな』
首を傾げる勇者の背にカーリンの声がかかる。
「え? 神って食事すんの?」
『祭壇にお供え物するだろ?』
「するけど……」
「普通に持ってくれば食べるから」
『特盛で頼む』
「アルッテの言うのは聞かなくていいから」
『王宮の料理に興味はある。全部持ってきて』
「ディーニュもいいから」
「……ああ、うん。人数分頼んどくよ」
何処かあきれた様子で勇者は出ていった。
『……それで四郎の言っていた絶対領域ってなんだ?』
「……黙秘します」
この日、夜遅くまで四郎の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。




