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村から出て2日目の夕方。今日はここで野宿をするはずだった。
「行商人は!?」
『遥か向こうだ』
ヒピュスの指差す方向に猛スピードで逃げていく馬車が小さく見える。
「速っ! もうあんな所行ってる」
『鍋も食料も投げ捨てて逃げってったね』
もったいないと言いながらディーニュが食材を拾っていく。
『まったくだ。 たかが熊が出たくらいで』
「いや、普通なら逃げるからな」
熊の被り物にツッコム。
「説得して帰ってもらえ。お仲間だろ?」
『失礼な! ウチをあんなのと一緒にするな!』
『喋ってないで、手伝え!』
体長3mで白銀の体毛を持つ熊を相手に鉈2刀流で戦っているカーリンが叫ぶ。
「お姉さまが呼んでるぞ」
『まだです。お姉さまのピンチに颯爽と助けなければデレないので待ってます』
「いや、デレないよ! ……たぶん」
『たとえ100分の1の確率だろうともウチはやる!』
そう言って動こうとしないアルッテの前で、
『うるさい。落ちろ』
ヒピュスの寝言と一緒に熊の足元に穴が開いて胸元まで落ちる。そして穴は縮んで熊を捕まえる。
『ヒピュス、でかした!』
カーリンの鉈が煌めき両腕と頭を切り落とし熊を絶命させた。
『ぐぬぬ……お姉さまに誉められるなんて……』
「普通に助けに行っていたら頭撫でて貰えたかもな」
マジで? って顔で四郎を見て自分の選択が謝ったものだと覚ったアルッテ。
『で? 四郎は何で来なかった?』
笑っていない笑顔で四郎に鉈を突きつけるカーリンに、
「行商人を追おうとしてたんだよ。それにカーリンなら平気だと思って」
『ほう』
「ごめんなさい! 間違ってました。だから首に刃を押し付けないで!」
両手を上げて降参する四郎から鉈を放そうとした時に、
「まて! 人を殺すことはこの勇者が許さん!」
森の中から出てきた男が、つっきて来た際に付けた折れた草木を払いもせずに叫んでいる。
『ディーニュ、この熊はどうする?』
『持っていくから血抜きよろしく』
『ヒピュス、出してくれ』
『ZZZ……(コクリ)』
「無視すんな!」
「君、誰?」
無視される男を憐れと思い四郎が声をかける。
「勇者よ、勝手に行くな! 私たちの事も考えろ!」
「早すぎニャ。この子を忘れるところニャ」
「むにゃむにゃ……」
甲冑を着た女性と猫耳付けた女の子、それに背負われて寝ている子が男を見つけて詰め寄る。
「いや、すまん。メダルが反応したもんで」
「反省の正座ニャ。誠意を見せろニャ」
『そうだ。四郎も正座して反省しろ』
「ちょっと、カーリン」
「待ってくれよ」
「『正座!』」
「「……はい」」
こうして勇者と四郎は出会った瞬間に仲良く正座させられるのであった。




