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それは四郎が異世界に落ちる数年前。
とある王宮の地下深くに作られた広大な地下室。そこには“道を繋ぐ”神の神官が魔方陣を前に祈りを捧げていた。その隣には何故かカジキ釣りに使われるような備え付けの竿を支えるフードを被った神官がいる。
「この地よりかの地へ様々な理不尽を越えて繋げ……よし、今だ!」
“道を繋ぐ”神の神官が何かが繋がった感覚を感じとり合図を出す。
「求めるものをつり上げよ! “一本釣りの”神!」
竿から垂れた糸が魔方陣に落ちてそのまま吸い込まれていく。糸の出ていく音がリールから長い時間続いたが、
「かかった!」
竿がしなりリールが止まる。フードを被った神官は竿を掴み左右に引かれて暴れる竿を操りリールを巻いていく。
「そこだ! フィニッシュ!」
思いきり引き上げた竿に釣られるように魔方陣の中から何かが飛び出した。それは空中で不自然に落下する速度を落とすと石畳の上に静かに落ちた。
「成功だ! 王に報告を……」
石畳に延びている黒髪でアニメの付いたシャツを着ているどう見てもオタクにしか見えない青年を見て叫んだ。
「おお、勇者よ。よくぞ来てくれた」
「すいません。ドッキリですか? カメラはどっちに?」
目を覚ました青年は王座の間に連れて来られきらびやかに飾られた硬く座りにくそうな大きな玉座に座る王に面会した。青年は質の悪いドッキリだと思っている。
「貴様! 王の前で無礼だろう!」
金髪の凛々しい騎士が腰に差した剣に手をかける。
「サータニア、よい」
「よい、下がれ」
王の声に剣から手を放して下がる。その際に青年に殺気を飛ばすのを忘れない。
「勇者よ。ここはソックス王国でワシはそこの王だ。ワシが部下に命じて勇者を召喚してもらった」
「あれを召喚と言うのはおかしいだろ?」
目を覚ました時に見せられた魔方陣と据え付けられた大型用の竿を思い出して小声で呟いた。
「この国に危機が迫っているのだ! 勇者よ、力を貸してくれ」
「そうは言っても僕には力がないし……」
「大丈夫だ。勇者に選ばれたからには力はある。それに優秀な教師をつけてやろう」
そう言うと何処かに合図を送り、暫くして王の隣に青年より少し若い女性が表れた。
「彼女はワシの娘でサクラという」
「よろしくお願いします」
緩くウエーブのかかった髪に白く決め細やかな肌。青く澄んだ真っ直ぐな目は美しく赤い唇に微笑みを浮かべれば見る人を虜にするだろう。
そんな彼女を覚めた目で見た青年は、
「チェンジでお願いします!」
速攻で断った。
「無礼者!」
先ほど剣に手をかけたサータニアは堪忍袋の緒が切れたのか即座に抜刀して、
「えっ?」
目の前に立つ青年に驚いた。
「僕は貴女に教えてもらいたい」
「な、何を言っている!」
貴族の3女に生まれて親に勧められ騎士団に入り、今では背も高く婚期を逃しかけているサータニアはその言葉に狼狽える。青年の方はやせ形だが少しだけサータニアより背が高くその目が優しく見下ろしている。
「貴女のその足を見ながらならばどんなことにも耐えられそうだからです!」
「はあぁ?」
「出来ればそのおみ足で踏んでください!」
そう言って足フェチの青年はその場に土下座した。回りのみんなはドン引きしている。
「よ、よし。教育係はサータニアに任せる!」
「ちょっ、王様!?」
こうしてソックス王国に足好き勇者が誕生した。
因みに王女は少しだけ太かった。




