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カーリンが突き刺した白い鉈は腕を切り裂いた。
「カーリン!」
『はい、さがって、さがって~』
四郎がカーリンに駆け寄ろうとするとその間に布団が割り込んできて止める。
『永眠したくなければ下がる~』
「その前に布団から出ろよ」
『このパーフェクトディフェンスお布団が守っているので~、無理』
「名前、ながっ!」
『お兄ちゃん、そこから近づかないで。禍神に捕まって死んじゃうよ』
ヒピュスを退けてカーリンの加勢に行こうとする四郎をディーニュが側に来て止める。
その間にもカーリンが禍神を切りつけているがそれを気にせずに禍神は何かを探して彷徨いている。
『やはり、神では禍神を倒せないのか?』
苛立ったようにカーリンが呟く。
『ここにも……ない。ない! ナイ~!』
『爪も効かない!』
呟く禍神の背に爪を立てるアルッテが声をあげる。
『このまま、退くよ~』
ヒピュスが四郎を禍神から隠すようにして後退する。
「あれはどうすんだよ!」
『今は無理かな~。形も何も定まってないもの』
『今のあれは壊れた神の集合体。云わば混沌だから神でも倒せないの。そしてこの状態のあれは人を襲うの』
この場にあったダイス商会の死体は禍神に引き込まれてしまった哀れな人達なのだ。
『お兄ちゃんに気がつく前に逃げるの!』
四郎を引っ張り通路に逃げる。それを追ってヒピュスが布団のまま跳ねて続く。
「カーリン達は大丈夫だよな?」
『大丈夫だと思うよ』
『取り込まれなければですけどね~』
「……っ! 取り込まれる?」
四郎の脚が止まる。
『混沌だからね~。無いとは思うけど、捕まったら解んないね~』
『大丈夫! お兄ちゃんがいる方が危ないんだから』
「いや、でも……」
戸惑っている四郎に声が聞こえてきた。
『お姉さま! ここはウチに任せて先に行ってください!』
『バカ言ってないで走れ!』
足音と共に二人の姿が見えた。そしてそのまま四郎達を追い抜いて行ってしまった。
『ここに……ない。ここにも……』
背後からその声が聞こえてくる。走り出す前に四郎がヒピュスを見る。
「ヒピュス! この通路を埋めろ!」
『ん? いいよ~』
四郎達の背後で通路が崩れ落ち埋まってしまう。
『これでいい?』
「よし、逃げるぞ!」
『ここも崩れるからね~。早くした方がいいよ~』
「……え?」
ヒピュスの言った事に聞き返そうとした時に頭上から石が降ってくる。
「何でこうなんだよ!」
『通路を崩したから』
「それはそうだけどさーー!」
四郎は落ちてくる石や土砂にま巻き込まれないように泣きながら全力で走った。




