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ホラー風味です
四郎が一歩踏み出した瞬間、目の前が闇に包まれた。そのままの状態で固まっていると、どこからか音が聞こえてくる。
ぐじゅ、グジュッーーぐじゅ。
濡れ雑巾を踏むような、粘土質の水溜まりをゆっくりと歩くようなそんな音が暗闇の先から聞こえてくる。四郎の目が暗闇に慣れてくると意を決して音のする方へ音をたてないように歩いていく。
ぐじゅーーじゅっ、……グジュッ。
四郎のいる場所は剥き出しの岩肌のある通路だった。奥に進んでいるのか入口に歩いているのか解らないまま音の方に進んでいく。そのうちに四郎の鼻に嗅いだことのある臭いが微かに届いた。
ーー血臭。
近づくにつれて強くなっていくその臭いは息をするのも辛いほどの臭いになり、片手で口と鼻を覆って進むしかなくなった。
何故、来た道を戻ろうとしないのか? その疑問が頭をよぎったが、その時にはもう遅かった。
通路の先に黒い入り口が見えた。壁に沿うようにして入り口に近づき中を覗き込む。
グジュッ。
中には薄暗く広がった空間と人型の何かがいた。いままで聞いていた音はそれが歩くときに立てる音だった。
薄暗い中でよく見るとその人型はいくつもの絵の具を混ぜ合わせてその色に闇を塗りつけて頭から被ったような色をしていた。
ぐしゅ、ぐじゅり……グジュ。
緩慢な動作で歩き回るそれから四郎は目を離せなかった。それどころかそのまま金縛りにでもあったように動けない。それが動く都度に目の奥が傷み、平衡感覚が狂っていくのを感じる。
(ここは人のいるべき所ではない)
そう思うがそれから目を離せず、動けないのに体が揺れるような感覚に吐き気を覚えながら逃げることができない。
気を失えないままそれを見ているとそれは足元を覗きながら何かを探しているように見えた。その思考はもう狂っていく平衡感覚と吐き気に散り散りなりそうな意識の片隅で考えた事だった。
『……な……こコ………ない』
雑巾を踏むような、粘土質の水溜まりをゆっくりと歩くような足音に混じってそれの小さな呟きが聞こえた。
『こ…に……い。この……に……。』
足元の何かを掴み広げていく。
『このな……も、ない』
暗い中、手で広げているものが見えてきた。
『……かにも、ない。』
それが広げていたものは人間の臓物だった。臓物だけでなく人形を切り開き内側にあるものを全て引きずり出し広げていく。
「%$@&∞▼→∫」
四郎は声にならない悲鳴を上げた。全身に鳥肌が立ち金縛りにあった体を無理矢理動かそうとしてそのまま中へ倒れ込んだ。
そして倒れ込んだ目の前にそれが立っていた。
『何処にもない。ここに……』
四郎に腕を伸ばすその先が四郎に触れる瞬間、白い鉈がその腕に突き刺さった。
『そこまでよ! 禍神』
白い鉈の先にはカーリンの姿があった。




