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四郎はホーリーが箱入り娘になっていて、ダイス商会の行方不明者が出た場所に向かっていた。
「おい、カーリン」
『何だ?』
「おいらの待遇の改善、いや、体勢の改善を求める!」
四郎は狩られた獲物同然に棒に手足をくくりつけられてゆらゆらと揺られていた。
『楽でいいだろ?』
「そんな訳あるか!」
前後をカーリンとアルッテに担がれて歩調が合わないのかよく揺れる。そのうえ、
「この二人が重い!」
四郎の腹の上にヒピュスとディーニュが乗っているのだ。ヒピュスがのし掛かって眠り、その上にディーニュが乗ってはしゃいでいる。
『神は重くないのだ!』
「実際、手足が痛いんですけど!」
それに、
『おっと、手が滑った』
「痛い痛い! 背中が擦れる!」
アルッテの嫌がらせで、地面に背中を擦られて痛みに泣きそうになっていた。
『逃亡しなければいいのよ』
カーリンの言う通り、始め四郎は普通に連れられていたが、隙を見ては逃げ出そうとしたために腰にロープから始まり首に縄、足枷、そして今のように吊り下げられた形になった。
「もう、逃げません。と言うかここまで来たら逃げられないし……」
結局、四郎は獲物のように棒にくくりつけられたまま現場に着いた。
『それじゃ、放すよ』
『逃げる素振りを見せたら首に口が増えるからな』
「怖いわ!」
『もう、終り? もっと乗っていたい』
『……ごはん?』
四郎の上から下りたがらないディーニュと目を覚ましてご飯の時間だと思ったヒピュスを四郎から離して手足を繋いでいるロープをほどいた。
「あ~あ、手足に形が付いた」
『ご飯を食べたら森に入るぞ』
「無視? 無視なの?」
『ご飯はディーニュちゃんにお任せ。面白い爬虫類のお肉手にいれてきたよ』
『それ以外をもらおう』
『お兄ちゃんは食べてくれるよね?』
「ディーニュちゃんのはおいしいからね」
そうして馬車があった広場で食事を済ませる一同であった。
『話ではここから先に足跡があるんだったな』
『お姉さま、追跡はウチにお任せを』
アルッテを先頭に森に入っていく。四郎はカーリンとディーニュに挟まれ、最後尾にフラフラ揺れているヒピュスという形で着いていく。
足跡の消えた辺りでアルッテは立ち止まり、四方を見渡して何か残されていないか探す。
「夜に男達を見たのって確か……」
何かに気がついて四郎が足を踏み出した瞬間。
叩きつけるような強い風がカーリン達を襲った。その風には嗅いだことのない生臭さと腐ったような臭いが含まれていて思わず目を閉じて口と鼻を手で覆った。
『……四郎?』
風が通り過ぎた後、目を開くと踏み出した足跡を残して四郎が消えていた。




