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「さすがに飽きたな」
宿で1週間グータラしていた四郎は昼過ぎに目を覚まして外に出た。この間、ディーニュはホーリーの所に遊びに行き、カーリンはアルッテにくっつかれて街を散策していた。時たま鉈に血がついているが裏路地とかで物取りにでも会って返り討ちにしたのだろう。ヒピュスは四郎にくっつくようにして寝ていた。時折、抱きついてくる時の胸の感触を楽しんでいたのだがその時はカーリンがいつの間にか部屋にいて上から見下ろしている。その為にヒピュスと距離をとるようにしていた。
屋台で買い食いしようと歩いていると四郎の方を見てヒソヒソ話をする人がいる。回りを見るとすれ違った人の大半がそうしている。
「おいちゃん、1つくれ」
気にしないことにして、一口大の肉をタレを付けて串で焼いた物を売っているおやじの所に行った。
「ほら」
その手には2つの串が渡され、
「人生色々あるさ、くじけずガンバんな」
「え?」
おやじは四郎の肩を叩くと何も言うなという風に仕事に戻った。腑に落ちないものを感じながら串焼きを食べる。そうしていると何人かの子ども達が四郎をじっと見ていた。それを見ていると一人の子どもが四郎を指差し、
「ヒモの兄ちゃんだ」
そう言った。側にいた母親らしい女性がその子の手を引いて急いで四郎から離れる。
「何故にヒモ?」
ヒモ……女に養われている働かない男のことである。四郎には納得がいかない。
「アルッテの野郎か?」
『呼んだか?』
「どっから出てくんだ! 何時からいた?」
どこから現れたのか四郎の串焼きを奪い取り食っている。
『おやじにガンバれって言われている時から』
「大分前だな」
『その横の鳥の丸焼き売ってるとこで手伝いをしていた』
「お前、そんな事してたの? それは置いといて、おいらがヒモってどういう事だよ」
『それは横に流して、ダイス商会の捜索隊が帰ってきたんだが……』
「見つかったのか?」
『逆に行方不明者が増えた』
四郎がグータラしている間に捜索隊は4、5人のグループに別れて森に入った。そのグループ内で一人二人いなくなる者が出てきて途中で中止して戻ってきたらしい。
『それで、アマテーラス様に聞いたらグータラして働かないヒモ野郎を生け贄に出せばいいって聞いてそんな男を探しているんだ』
「……おい、ちょっと待てよ」
『この1週間で、男達は手に職を持たないものもどこかで仕事をするようになってな。やってないのは四郎くらいだ』
「おい、それは教えろよ!」
『お姉さまは教えようとしたんだが、お前が自分で動くのを待とうとウチが説得した』
「説得の方向が間違ってるだろ!」
『それだから、ヒモ野郎はダイス商会と行方不明者の捜索がてら生け贄として置いていかれる』
「逃げるぞ!」
『そう逃がすわけないだろ?』
いつの間にか四郎の腕を取って逃げられないようにしていた。
『大丈夫だ。最後を見届けるためにウチらも着いていくから』
「ぜんぜん大丈夫じゃねえ!」
こうして四郎は強制的に連れていかれる事になった。
『アマテーラス様は言っていた。その者の名は四郎と言うと』
「あのチッパイが~!」




