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「……っと言うわけでこの子に鉈を作ってくれ」

「久しぶりに来たと思ったら、いきなりだな! おい!」


 ルーデイ夫妻と共に行った鍛冶師の家で、出会い頭に中にいたずんぐりした男に夫の方がそう話しかけ切り返された。


「商会の婿養子に入ったのにそういう所は変わらないな」

「昔から知ってるんだ。こっちの行動もわかるだろ?」

「てめえに振り回されてばっかだか、らわかりたくねえ!」


 幼馴染みの気安い言い合いの後に、こっちに紹介する。


「こいつはドワーフのドルガだ。こいつなら無茶を聞いてくれる」

「そんな紹介あるかよ! 鍛冶師のドルガだ。鍛冶場も持っている一人前だがここいらじゃ駆け出しだ。学ぶために何でもやるぞ!」


 丸い顔の中にに小さな目と大きな口が付いている。頭は手拭いで巻いて縛ってあり髪は見えない。体もよく見ると筋肉で覆われて猪の突進でもびくともしないように見える。


「よろしく」


 出してきた手を握る。そしてカーリンに鉈を見せて貰おうと振り返りカーリンが鉈を持っていないことに気がつく。


「カーリン、鉈は?」

『知り合いに預けた』

「……あ~~」


 昨日、気を失った神殿の事を思い出した。それと気を失う寸前の背中に当たった柔らかい塊に。


『……四郎?』

「何でもないです!」


 だらしなく緩む四郎の顔を見て、カーリンから殺気が飛ぶ。


「カーリンから大きさと形を聞いて作ってほしいんですが。それと材料にこれを使えますか?」


 ディーニュから受け取ったアカブチサメの歯を見せる。それを受け取って使えるか確かめる。


「魔獣の牙か?」

『そうだ。これで引き裂けるように作ってほしい』

「試しもあるからいくらか予備があればいいが……」

『これくらいでいいか?』


 目の前に積まれたアカブチサメの歯を見て目を剥く。


「これだけあれば十分だ」

『それと鉱物はこれを知り合いから貰ったから使ってくれ』


 目の前に出された鉱物を見てまた目を剥く。


「神鉄鋼じゃないか!」


 カーリンの鉈の神白鋼よりも劣るがここでもほとんど取れない鉱石だ。ドルガも使った事がない。


「うぬぬ。これは師匠に手伝って貰わないと……」

「あのジイサンまだ生きてんの?」

「ちゃんとその言葉伝えとくからな」

「止めてくれ! ハンマー持って追いかけられる」


 ホーリーの父が顔を青ざめさせて呟いた。昔からイタズラして叱られて今でも頭が上がらない相手のようだ。


「よし、こいつらは預かるぜ! できたら宿の方に連絡いれるからな」


 神鉄鋼をと歯をしまい、家にはいる。取り残された四郎達はホーリーの父の案内で町中を見て回る。


「あんな所に畑が……」


 町の外れに小さな畑がいくつもあった。


「ほとんど食糧を動物と外からの野菜で賄っているんだが、ここでも作ろうって事で今広げているんだ」


 四郎は柵を飛び越えて中の土をいじる。


「土の耕しが足りない」


 “農業で耕される土”の神から貰った鍬を顕現させると降り下ろした。ざっくりと突き刺さる鍬に満足してそのまま耕し始める。


「コラー! 俺の畑でなにしてんだ!」

「ドルガ? お前のとこか?」

「おい、そいつを止めろ! せっかく植えた作物が……」


 四郎が一鍬加えるつどに植えてある野菜の成長が良くなっていく。それを見てあんぐりしていると、一仕事終えた四郎が戻ってくる。


「何やったんだ? お前」

「耕しただけですよ。この畑の人を呼んでください。明日から指導します」

「はぁ!?」


 こうして、四郎のゴセット農業改革が始まった。



四郎は農家の血が騒いだ! (笑)

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