36
岩肌の間にある削り取られた場所に石造りの家が立ち並んでいる。その大部分の家の煙突から黒煙が立ち上っている。
「ここがゴセットですよ。今日は鍛冶の日ですかね?」
耳を澄ますと鉄を打つ音がいくつも聞こえる。その音の中を進みルーデイ商会御用達の宿に着いた。そこで別れて四郎達は商人から修了書をもらいギルドに報告に行った。
「ディーニュは?」
『ホーリーと一緒にいるって』
(ホーリーの側でローリーが近づかないか見張る気か? 物陰から見てるローリーの絵しか浮かばないんだが……)
実際、物陰から息を荒げて見ているローリーがディーニュに見つかり、料理の失敗作を食わせられて泡を吹いているのだが。
『それでどうする? 鍛冶師の紹介は明日だと聞いていたから今日は神殿にでも行くのか?』
「ここは“鍛冶”の神だっけ?」
四郎の脳裏にはごつい髭もじゃの親父が鉄を打っている姿が描かれていた。
『ハンマーを持った女性だったか?』
「すぐ行こう!」
駆け出す四郎の背後でニヤリとアルッテが笑った。そして石造りの神殿に入り祈りを捧げる。
「チックショー! 騙された!」
髭もじゃツルピカのずんぐり親父の出現に泣き崩れる四郎。
『そう泣かれても困るんだが……』
『こいつは精神が不安定何で気にしないで下さい』
『そうか?』
納得がいかない顔で四郎を見る。アルッテがその背中から首に手を掛けて閉め落とす。泡を吹いている四郎を哀れみを込めた目で見て、
『それで、こいつにメダルをやればいいのか?』
『そうじゃ、ありません。お姉さまの鉈を見てほしいのです』
カーリンが腰に差していた鉈を引き抜き“鍛冶”の神に見せる。
『神白鋼製の鉈か。神になった時のものだろ?』
『強化出来るか?』
『そりゃ、出来るが……』
『ここでも作るつもりだがこっちもしておきたいんだ。信仰心は少しだが……』
カーリンの手の中に光が溢れる。ここまでの旅で手にいれた信仰心の塊だ。メダルにすれば銅メダル100枚分になる。
『なら少し預からせて貰う。それとメダルもそいつにやっといてくれ』
弾いたメダルが四郎に落ちる。そしてそのまま“鍛冶”の神が帰っていった。
『それで、四郎はどうすんだ?』
『隅に置いておけばいいでしょう』
『扱いがむごくないか?』
『いつもの事です。私にはお姉さまがいれば良いのです』
『四郎が呼んでくれるからここにいれるんだがな?』
『あくまであれは付属品です』
結局、四郎は目覚める事なくにカーリンに背負われて宿に帰った。
四郎は付属品です!




